音楽ナタリー Power Push - 「シン・ゴジラ」公開記念特集
DJ KOO、ゴジラを語る
伊福部先生から多分にご利益をいただいている
──「ゴジラ」シリーズの音楽の魅力について聞かせてください。
ほかのクラシックとはひと味違った重厚さが感じられるし、ホーンのフレーズには緊張感や危機感があるんですよね。ラドンの登場のときなんて、特にすごいし。あとおなじみなのが自衛隊のマーチ。あのマーチに乗って怪獣に立ち向かっていく姿には、少年心をくすぐられました。
──そういった「ゴジラ」シリーズの音楽は、KOOさん自身の活動に影響を与えているのでしょうか。
影響というか、もう……伊福部先生は神ですから。多分にご利益をいただいている、といったような感覚です(笑)。以前番組で伊福部先生の功績をたどる機会があったんですが、先生は胡弓のための曲など、和楽の曲もたくさん書いていらっしゃって。なので、「ゴジラ」の音楽を通して日本のいろいろな音楽のエッセンスを深く感じられるんですよ……ちょっとカッコいい答えですけどね(笑)。和楽器を自分の音楽活動で使うことは難しいけど、TRFの「BOY MEETS GIRL」では和楽器奏者の仙波(清彦)さんがパーカッションを叩いてくれたりしているし、「深いところでつながっているのかな」なんて思えたりするんですよね。あと、1つの音楽をシリーズの中のいろんな場面で流用していたりする、そういう個々の作品を超えた大きなつながりがあるところもいいですね。
ゴジラは完璧を超越した存在
──では改めて、KOOさんの思う「ゴジラ」作品の魅力について教えてください。
いつでも自分の子供心と大人心を思いっきり楽しませてくれるところですね。子供心っていうのは冒険心。宇宙であったり南の島であったり、ゴジラはいろんなところに連れて行ってくれる。大人心っていうのは科学技術の推移であったり、バイオテクノロジーのような最先端技術を作品の中に多分に詰め込むところ。登場する科学者たちもまた、いいんですよね。科学者たちが人には理解してもらえない悩みを嘆くセリフは、アーティスト心をくすぐります(笑)。
──そして7月29日には「シン・ゴジラ」が公開になります。KOOさんはこの作品にどんな期待をお持ちですか?
もう「シン・ゴジラ」っていうタイトルがすごいな、と思って。相当自信がある作品なんだろうなという印象をまず受けますよね。今までにないタイトルじゃないですか。「シン」って、どういった意味があるんですかね?
スタッフ 今はまだ、正解が明かされていないんです。
「新しい」っていう意味もあるし、「神」も「シン」ですしね。どう解釈しても、観る前の段階では不思議ですよね。観終わってから、この投げかけの意味がわかればいいなと思います。
──庵野秀明監督についてはいかがでしょう?
ハリウッド版のゴジラが巨大さを強調したものですごく迫力があったので、日本人の監督がまた新たな作品を作るのは大変だろうなと思うけど、ハリウッド版よりも身近に感じられる、日本ならではのゴジラを作っていただきたいな、とも思います。
──“国産ゴジラ”としては12年ぶりの作品です。
そうですね。ゴジラは日本のお家芸ですから。庵野さんは今までにない“ゴジラ演出”をしてくれるんじゃないかなと期待しています。
──小さい頃はゴジラになりたかったと先ほどおっしゃっていましたが、今のKOOさんにとってゴジラはどういった存在でしょう。
美学ですね。完璧を超越した存在です。立ち姿のカッコよさ、背びれの動き、強引すぎるほどの尻尾の長さ……すべてに迫力があってね。本当に、完璧を超す創造性を見せてくれる存在です。
「『キングコング対ゴジラ』<完全版>4Kデジタルリマスター」
日本映画専門チャンネル、スカパー!4K総合
7月14日(木)21:00~23:15 ※テレビ初放送
7月29日(金)19:45~22:00 ※再放送
ゴジラシリーズ最大のヒット作にして初のカラー作品として知られる「キングコング対ゴジラ」の、ゴジラシリーズ初となる全編4Kデジタルリマスター版。長らく行方不明だったネガフィルムが発見されたことにより、1962年公開当時のオリジナル版が4Kデジタルリマスターで甦る。
TM&©1962 TOHO CO.,LTD.
「ゴジラ ファーストインパクト」
日本映画専門チャンネル 毎週木曜 21:00~
8月までオンエアされる特別番組。ゴジラシリーズへの出演経験を持つ宇崎竜童、お笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅ら計10名のゲストが初めて鑑賞したゴジラ作品と、鑑賞当時の思い出を語る。7月のゲストには「シン・ゴジラ」主演の長谷川博己および石原さとみ、「ゴジラ2000 ミレニアム」などに出演した佐野史郎らが並ぶ。
なお、抽選で555名に特製ゴジラTシャツが当たる「ゴジラ初体験記」投稿キャンペーンが7月31日まで特設サイトにて開催中だ。
DJ KOO(ディージェイコー)
TRFのリーダーでサウンドクリエイター。高校時代にダンスミュージックと出会い、その後新宿のディスコ「カンタベリーハウス」「B&B」でDJを務める。1986年にはDJ HONDAとTHE JG'sを 結成し、数多くのリミックスを手掛けた。その後1993年に小室哲哉のプロデュースするユニット・trfのメンバーとしてシングル「GOING 2 DANCE」および同時発売のアルバム「trf ~THIS IS THE TRUTH~」にてデビュー。1990年代から2000年代にかけて、数々のミリオンヒットを世に送り出した。近年はバラエティ番組などにも活躍の場を広げている。
衣装協力 / KINSELLA、SALMON HARAJUKU
2016年7月28日更新