ナタリー PowerPush - GLAY

それぞれの“GLAY”を刻んだ 20周年シングル「BLEEZE」

覚悟を決めた男というのは強い

──「BLEEZE」は9月20日に宮城・ひとめぼれスタジアム宮城で開催される「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」のテーマソングです。記者会見のとき(参照:東北に元気を!10年ぶり「GLAY EXPO」9月に宮城で)にTAKUROさんがTERUさんに曲を書くことを提案したと言ってましたが?

TAKURO そうですね。20年も続いてるバンドにとって音楽的な積み重ねやスキルも大切なんですけど、それと同じくらい、長きにわたり紡いできた物語も大事だと思っていて。わかりやすく言うと、東北でやるEXPOのテーマ曲はやっぱりTERUが書くべきだということ。彼は東日本大震災直後から積極的に被災地に赴き、現地の人たちと交流を持ち、Twitterやその他のメディアでいろんな情報を集めては俺らに「今こういう現実らしいよ、見てきた現場はこうだったよ」と伝えた。東北に対する思いは日本人ならいろいろあるでしょうけど、俺の中ではTERUは飛び抜けて積極的だと思っていたので、そのEXPOのテーマ曲にはTERUが感じたことを表現していけば、それはちゃんとGLAYらしいものになるんじゃないかと思ったんです。

──TAKUROさんにはそういう思いがあったんですね。

TAKURO はい。でも最初、彼は「シングルは大変だからいい」って断ったけど、それでも何か思うところがあって引き受けたんでしょうね。彼は「頭の中で『東北のEXPOでみんなが笑顔になって大声で歌う姿』をイメージしながら書いた」って言ってましたけど、それは俺ら4人の気持ちを代弁したようなもので。最初にデモを聴いたときから「ああ、これがシングルだったらもう大丈夫」っていう自信があったし、絶対に東北の人たちの背中を押してくれる、そういった曲になるだろうなと確信してました。

──実際お2人はTERUさんの書く曲に対して、どういう印象がありますか?

TAKURO 俺は器用だなと思っていて。90年代半ばぐらいに「レッチリが好きなんです」って言ってたらレッチリみたいな曲を書いてきたり、「Radioheadが好きなんだ」っていうときはRadioheadみたいな曲をね(笑)。そこにあの声が乗るわけだから、レッチリでもRadioheadでも何でもない、GLAYなんですけど(笑)。そのとき彼の中でブームになってる音楽が書く曲にそのまま色濃く出ていて、今回の「BLEEZE」もたぶんそうなんでしょうね。今制作している別のTERUの曲も、やっぱり「BLEEZE」みたいに爽快感のある、スカッとしたものでしたし。彼はそういう意味じゃ純粋なリスナーとして音楽を楽しみながら、GLAYのフロントマンとして活躍している、そんな感じですね。

HISASHI(G)

HISASHI 今回は特にまっすぐな部分というか、彼の人間性がそのまま音と歌詞に詰まってると思います。添加物がまったくないというか。だからまぶしすぎて直視できなかったですね(笑)。

TAKURO 太陽のような。

HISASHI デモテープの段階からいろんなアンサンブルがきっちり決まっていて、ピアノとかストリングスとかすでに入ってましたから。だからギターに関してもここまでアプローチの定まった曲はないってくらい、レコーディングもスムーズに進みましたね。

TAKURO やっぱり覚悟を決めた男というのは強いですよね。そこに有無を言わさぬ説得力があるというか。歌詞を見てもキラッキラだなあって思うけど、どことなく強い意思も感じる。それは、この曲が東北EXPOのテーマソングなんだっていう決意なんでしょうね。

TERUが持つメジャー感は本当に信頼に値するもの

──そしてTAKUROさんが書いたのは2曲目の「外灘SAPPHIRE」。事前にTERUさん、JIROさんにお話を聞いたとき、今回のレコーディングで用意してきたTAKUROさんのデモテープがいつも以上に熱のこもったものだったという話を聞いていまして。

TAKURO HISASHIにも相談したんですけど、今回はGLAYの中でギターロックというものをもっと派手に鳴らしたいなと。ベースやドラムはそれぞれシンセベースや打ち込みでも補えるけど、ギターってなかなか代え難いものだと思うんです。そのギターサウンドが持つ人間臭さとか熱さとか、GLAYの曲の中でもっと強く打ち出したいと。それは亀田さんも同じ考えだったみたいで、曲を聴いたときにそう感じ取ってくれたようです。HISASHIの「黒く塗れ!」もそうですけど、まず耳に飛び込んでくるのはギターの激しいサウンドっていう。それは強く意識しましたね。

──確かに「外灘SAPPHIRE」はGLAYの楽曲の中にあるロック色の純度をより高めたものになっている印象があります。でもTERUさんの歌が入ることで、言い方が正しいかどうかわかりませんが……ちゃんとポップミュージックとしても成立している。このバランス感って、それこそ「灰とダイヤモンド」の頃から追求してきたものの1つでもあるわけですよね。

TAKURO そうですね。どんな曲でもTERUが歌えば最終的にGLAYのポップミュージックとして成り立つという自信があるんで。TERUが持つ太陽のようなメジャー感は本当に信頼に値するもので、逆にどんな変化球を投げても彼がまっすぐ突き破っちゃう。そういった安心感があるんです。

──HISASHIさんが書いた「黒く塗れ!」もかなり攻撃的な曲ですね。

HISASHI 曲も歌詞もここまでロック的なアプローチっていうのは、僕の中でも珍しかったです。デビュー20周年を迎えた僕らの考えるロックミュージックを、ダイナミックに楽しもうっていうバンドの姿勢というか。

──それこそ4者4様で、曲調だけじゃなくて歌詞にも人柄や個性がハッキリ浮き出ていますね。その中でもHISASHIさんの歌詞はかなり個性的ですが、ご自身では歌詞を書く際にどういうところに注意していますか?

HISASHI 一番言いたいことをロジカルな言葉でぼやかしながら言う傾向があるのかな。あとはサウンドに負けない、強くてエグい言葉を選んでいるっていうか。言葉の意味よりも、その言葉の響きに魅力を感じることが多いので、例えば今回だったらナードコアとかリスカとか、そういう耳に残る言葉を意識的に選んでますね。

ニューシングル「BLEEZE~G4・III~」/ 2014年7月9日発売 / loversoul music & associates
CD+DVD 2052円 / PCCN-00013
CD 1512円 / PCCN-00014
CD収録曲
  1. BLEEZE
  2. 外灘SAPPHIRE
  3. 黒く塗れ!
  4. YOU
DVD収録内容(※CD+DVD盤)
  • 「BLEEZE」MUSIC VIDEO
  • 「BLEEZE」MUSIC VIDEO MAKING
  • IVAN による東北六魂祭 in 山形 DOCUMENT & LIVE
  • 六魂fes!×GLAY「BEAUTIFUL DREAMER」「SOUL LOVE」「everKrack」
「BLEEZE~Loppi・HMV×GLAY EXPO2014 TOHOKU応援チャリティエディション~」 / CD+DVD / 1080円 / BRCA-00058
CD収録曲
  1. BLEEZE
  2. BLEEZE KARAOKE VER.
DVD収録内容
  1. 「誘惑」from GLAY EXPO ’99 "SURVIVAL"
  2. 「グロリアス」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in TOKYO STADIUM
  3. 「口唇」」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in HOKKAIDO
  4. 「HOWEVER」from GLAY EXPO 2001 "GLOBAL COMMUNICATION" in KITAKYUSHU
  5. 「春を愛する人」from GLAY EXPO 2004 "THE FRUSTRATED"
  6. 「BLEEZE」MUSIC VIDEO(Loppi・HMV VER.)
  7. 「BLEEZE」LIVE VER. FROM 六魂祭
Blu-ray Disc / DVD「GLAY 20th Anniversary LIVE BOX VOL.1 DVD & Blu-ray」/ 2014年6月18日発売 / loversoul music & associates
[Blu-ray Disc 3枚組]14904円 / PCBE-53335
[DVD3枚組]14904円 / PCXE-53335
アルバム「灰とダイヤモンド Anthology」/ 2014年5月25日発売 / loversoul music & associates
[CD2枚組+DVD]6999円 / PCCN-90001
GLAY(グレイ)

函館出身の4人組ロックバンド。TAKURO(G)とTERU(Vo)を中心に1988年から活動を開始し、1989年にHISASHI(G)が、1992年にJIRO(B)が加入して現在の体制となった。1994年にシングル「RAIN」でメジャーデビュー。1996年にはシングル「グロリアス」「BELOVED」が立て続けにヒットし、1997年に「HOWEVER」がミリオンセールスを記録したことでトップバンドの仲間入りを果たす。1999年7月には幕張メッセ駐車場特設会場にて20万人を動員するライブ「MAKUHARI MESSE 10TH ANNIVERSARY GLAY EXPO '99 SURVIVAL」を開催。この人数は単独の有料公演としては、日本のみならず全世界での史上最多動員記録となっている。その後も数多くのヒット曲やヒットアルバムを生み出し、2010年4月には自主レーベル「loversoul music & associates」を設立。GLAYメジャーデビュー20周年となる2014年は、デビュー日にあたる5月25日にインディーズで唯一リリースしたアルバム「灰とダイヤモンド」の特別仕様「灰とダイヤモンド Anthology」を発表。6月18日には未発売のライブ映像をまとめた「GLAY 20th Anniversary LIVE BOX VOL.1 DVD & Blu-ray」を、7月9日には50枚目のシングルとして「BLEEZE~G4・III~」をリリースした。同作の表題曲「BLEEZE」は初のTERU作詞・作曲のシングル表題曲であり、9月20日に宮城で行われる大型ライブ「GLAY EXPO 2014 TOHOKU 20th Anniversary」のテーマソングにも決定している。