ナタリー PowerPush - 銀杏BOYZ

峯田和伸×宮藤官九郎対談

曲なんか聴かせなくていい

宮藤 ライブのほうのアルバム(「BEACH」)はあれどうやって作ったの?

峯田 ライブの音源の素材は録ってあって、それを俺以外の3人がつなげていったんですよね。なんか普通のライブ盤だと曲がわかりやすく聞こえるんですけど、わかりやすくないほうがいいと思って。状況だけわかればいい、曲なんか聴かせなくていいやっていうところから始まったんです。だから前半は特にうるさい曲がバーッて入ってて、なんの曲かわかんない感じにしようって。で、うるさい音に慣れてきて耳鳴りかノイズなのかわからない感じになった中盤くらいで歌モノを入れてくと面白いかなって。

峯田和伸

宮藤 へえ、すごい。

峯田 ライブハウスに行って、もう曲なんて聞こえなくて、周りのお客さんが「ギャー!」って言ってる、そういう体験をそのまま音にできないかなって思ったんです。

宮藤 もともとの音源っていうのは、ちゃんときれいに録れてるの?

峯田 録れてますね。

宮藤 それが気に入らないんだ?

峯田 うん、録った音をそのまま聴くとリアルなんですけどリアリティはないんですよね。それをもっと汚くゆがませてくと、そっちのほうがライブの空間にいるような感じになる。

宮藤 客席で聴いてる感じ。

峯田 でもただ客席でレコーダーで録ってもああいう音にはならないと思う。

宮藤 なるほど。確かに最初のとこで何曲かウワーッていうのを聴いて「なんだこれ!」って思ってると、ふっと歌モノになったときになんか大気圏から宇宙に行って……無重力になったみたいなフワッていう感じがしますよね。最初聴いたときにそう思いました。

銀杏BOYZをやりたい

宮藤官九郎

宮藤 こんな話してるとやっぱりライブ観たくなりますね。アルバムの曲をライブで聴きたい。

峯田 ライブやりたいんですけどね。

宮藤 東北で2011年にやったのが最後?

峯田 そうですね。そこからイベントとかの出演依頼もあったんですけど、全部断ってレコーディングに専念して。で、終わったらパーッとツアー行こうかって言ってたんですけど、まあメンバーが抜けたりして。でもソロはやりたくなくて、4人の男のバンドがよくて、それでツアーできたらいいなと思ってるんですけど。

宮藤 え、じゃあメンバー募集するんだ?

峯田 これからオーディションやるんですよ。まずギタリストから始めようかなと思って。

宮藤 オーディションって何するの? どんな人を?

峯田 演奏がうまい人がいいですね。

宮藤 キャラクターじゃなくて?

峯田 チンくんも最初銀杏入った頃は普通の大学生みたいな感じだったから。だんだんああいうふうに面白くなっていったから、キャラクターはあとから変わるのかなって思いましたね。

宮藤 銀杏BOYZって名前でやるんですか?

峯田 はい。CD屋さんのラックに「峯田和伸」っていうコーナーがあるのイヤなんですよ。「銀杏BOYZ」のほうがいい。

宮藤 ああ、じゃあやっぱりバンドをやりたいんですね。

峯田 そうですね。銀杏BOYZって名前はずっと、どういう形態になろうが残していきたいです。

宮藤 それいいですね。

峯田 うん、やっぱ青春なんで。

左から峯田和伸、宮藤官九郎。
ニューアルバム「光のなかに立っていてね」 / 2014年1月15日発売 / 3150円 / 初恋妄℃学園 / SKOOL-021
「光のなかに立っていてね」
収録曲
  1. 17才
  2. 金輪際
  3. 愛してるってゆってよね
  4. I DON'T WANNA DIE FOREVER
  5. 愛の裂けめ
  6. 新訳 銀河鉄道の夜
  7. ボーイズ・オン・ザ・ラン
  8. ぽあだむ
  9. 僕たちは世界を変えることができない
ライブリミックスアルバム「BEACH」 / 2014年1月15日発売 / 2625円 / 初恋妄℃学園 / SKOOL-022
「BEACH」
収録曲
  1. はじまり
  2. 十七歳
  3. SKOOL KILL
  4. 日本発狂
  5. 若者たち
  6. 駆け抜けて性春
  7. 漂流教室
  8. BABY BABY
  9. べろちゅー
  10. 人間
  11. 東京終曲
  12. まだ見ぬ明日に
銀杏BOYZ(ぎんなんぼーいず)
銀杏BOYZ

2003年1月、GOING STEADYを突然解散させた峯田和伸(Vo, G)が、当初ソロ名義で「銀杏BOYZ」を始動させる。のちに同じくGOING STEADYの安孫子真哉(B)、村井守(Dr)と、新メンバーのチン中村(G)を加え、2003年5月から本格的にバンドとしての活動を開始。2005年1月にアルバム「君と僕の第三次世界大戦的恋愛革命」と「DOOR」を2枚同時発売し、続くツアーやフェス出演では骨折、延期、逮捕など多くの事件を巻き起こす。2007年からはDVD「僕たちは世界を変えることができない」や「あいどんわなだい」「光」といったシングル作品をリリースし、2011年夏のツアーを最後にライブ活動を休止。しばしの沈黙を経て2014年1月に約9年ぶりとなるニューアルバム「光のなかに立っていてね」とライブリミックスアルバム「BEACH」を2枚同時リリースした。チン、安孫子、村井はアルバムの完成に前後してバンドを脱退しており、現在は峯田1人で活動を行っている。

宮藤官九郎(くどうかんくろう)

1970年宮城県生まれ。1991年より大人計画に参加し、多くの作品の脚本、演出などを手がける。1995年からはパンクコントバンド・グループ魂を結成し「暴動」名義でギタリストとして活躍するほか作詞作曲も担当。俳優としてさまざまな作品に出演するほか、ドラマや映画の脚本・監督も数多く手がけており、最近の作品としては、映画「中学生円山」(監督・脚本)、「謝罪の王様」(脚本)、「土竜の唄」(脚本)などがある。2013年に脚本を担当したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」は国民的ヒット作として話題を集めた。