原因は自分にある。|際立つ個性背負った気鋭の7人組 2021年に“存在感”放つ1stアルバム完成

インタビュー

グループ名を聞いたとき、周りの大人を恨んだ

──皆さん自身は、原因は自分にある。の独特な世界観についてどう思っているんですか?

大倉空人 僕はこの世界観があってよかったなと思っています。ピアノロックをベースにした楽曲はダンスボーカルグループとしては本当に特徴的で、実際それが武器になっていますし。この世界観がなかったら、ここまでも来れてない気がする。

武藤潤 そうだね。

長野凌大

長野凌大 最初はね、「原因は自分にある。」っていうグループ名を聞いたとき、周りの大人を恨んだというか……。

一同 あはははは!(笑)

杢代和人 言い方(笑)。

長野 いや、「面白いな」とは思ったんですけど、一生この名前を背負っていくとなると……まさか自分がこんなことになるとは思ってもいなかったので(笑)。でも実際、作り上げられたコンセプトや曲、グループ名には何回も救われたし、そのおかげで僕らは今、上を目指せているので。

桜木雅哉 そうだね。

長野 こういう哲学的でちょっと不思議なコンセプトでダンスボーカルグループをやるというのはとても実験的なことだと思うんですけど、僕らはこのチャレンジを成し遂げたいし、もっと多くの方にげんじぶの音楽を聴いてもらいたい。だから、今はこれでよかったと思うし、今後は僕たちならではの世界観を7人でもっと突き詰めていけたらなと思っています。

すっごいの来たなあ!

──デビュー曲「原因は自分にある。」(2019年10月リリース)のインパクトが本当に大きく、皆さんの進む道筋を決定付けたのかなという印象です。疾走するピアノロックに難解で言葉数の多い歌詞が乗るというスタイルはすでにげんじぶの代名詞になりつつありますが、最初に「これがデビュー曲です」と曲を渡されたときはどう思いましたか?

大倉空人

大倉 「すっごいの来たなあ!」って思いました(笑)。BATTLE STREETから原因は自分にある。への改名発表(2019年8月)の前日くらいに初めて聴いたんですけど、「俺らのデビュー曲、ヤバくない?」みたいな。「カッコいい」のほうじゃなく、「大丈夫かな」のほうのヤバいが頭に浮かんで……(参照:BATTLE STREETが「原因は自分にある。」に改名)。

小泉光咲 でも、みんながどう思ってるかわからないから、その気持ちは1人ひとり内に秘めてたよね。

杢代 デビューしたばかりでただでさえ不安なのに、「この曲ヤバくない?」なんて言えないもんね(笑)。

吉澤要人 僕、凌大に「この曲、踊れなくない?」とは相談したよね。

長野 そう、それは僕も思って、要人と話していました。当時僕はピアノロックを好んで聴いていたから「原因は自分にある。」を聴いたときはうれしくてちょっとにやけちゃったんですけど、「これを踊るのか?」と思うと、急に不安になってくるというか。今となっては曲のジャンルとダンスの関係をボーダレスに結びつけて考えることができるけど、そのときは固定概念にとらわれていたので「ピアノロックで踊るの?」とビックリしたっていう。

──それが素直な感想ですよね。

大倉 BATTLE STREETの曲と、曲調が違いすぎたというのもビックリした理由の1つかもしれないです。

桜木 バトストの曲はバチバチのEDMだったからね。

チャンスをつかんだ「EBiDAN THE LIVE」

──デビュー曲披露のタイミングはすぐに巡ってきて、8月末のライブイベント「EBiDAN THE LIVE」にげんじぶは初出演しました(参照:超特急、DISH//らEBiDAN8組競演に幕張熱狂!新アンセムも響いた「エビライ」初日)。

長野 「エビライ」は僕たちにとってすごく大きな転機でした。7人それぞれがEBiDAN研究生時代からずっと出たかったライブだから、まず出られること自体がうれしかったんです。けど、だからこそ「このステージを成功させなきゃいけない」「ここで失敗したら次はない」とすごく強く感じていて……。

杢代和人

杢代 「成功しますように」という願いじゃなくて、「成功させないといけない」っていう使命感があったよね。

長野 大きなチャンスだったんですけど、同時にピンチでもあったんです。

──でも当日、皆さんは幕張メッセの大きなステージのビジョンまで意識したパフォーマンスを披露していて、楽曲自体のインパクトと共に鮮烈なデビューを飾っていましたよね。完全にEBiDANファンの心をつかむ成功を収めていた印象でしたが……その手応えはありました?

長野 それが、そこまでだったんです。

大倉 ステージが終わったあと、結構反省したよね。ダメ出しが多くて。

長野 僕たちもスタッフさんも「エビライ」にかける思いがすごく強かったし、何度も何度もリハーサルを重ねての本番だったんですけど……自分たちとしては、理想としていたものとかけ離れていた感覚があったんです。

吉澤 「エビライ」の結果があって今の僕らがいるといっても過言ではないので、結果的にはよかったんですけど、でもやっぱり悔しくて。

大倉 目に見える結果が欲しかったりもしたんですけど、「エビライ」直後のSNSのフォロワー数も、変化があまり見えなくて……と思っていたら、「エビライ」後のリリースイベントから、ファンの方の数が一気に増えたんです。

──そこで「エビライ」の成功を実感したんですね。

杢代 あ、でも僕、「エビライ」で自分たちのステージが終わって先輩と写真を撮ってもらっていたときに、たくさん「よかったね」って声をかけてもらったんです。よく覚えているのはM!LKの佐野(勇斗)くんがめちゃくちゃ褒めてくれて「すごいね、こんなグループでやっていくんだ。面白いじゃん!」って。そのときに「みんなヘコんでるけど、これもしかして成功したんじゃない?」って……。

一同 あはははは!(笑)

杢代 実はちょっと思ってました(笑)。

武藤潤
桜木雅哉

──デビューからは約1年半が経過しましたが、グループのムードはいかがですか?

武藤 新型コロナウイルスの影響で予定していた活動ができなくなったりしたんですけど、最近これからの活動について、7人で話し合う機会があったんです。

杢代 「メンバーだけで話す時間が欲しい」とスタッフさんに時間を作ってもらって、みんなで話しました。そのときに全員がそろって「これから僕らが羽ばたいていくためにはどうするべきか」と真剣に考えていたのがすごく印象的でした。誰一人後ろ向きなメンバーがいなかったのは、げんじぶの結束を感じられたところです。

武藤 まっさ(桜木)はどう思う? グループのムード。

桜木 僕はライブ前に円陣をするとき、特に7人のまとまりを感じます。

一同 おおー。

桜木 理由はわからないんですけど、自分の中でいつもすごく印象的なんですよ。ライブ前はすごく緊張してしまうんですけど、円陣でみんなと1つになると「がんばろう」って気持ちになれるんです。

なんて書いてあるか読めない! 僕らの曲だ!

──ここからはアルバムに収録された新曲を中心にお話を聞かせてもらえたら。まず1曲目の「柘榴」は、げんじぶの楽曲を数多く作っている久下真音さんが手がけた、げんじぶらしいエッジーさのあるパワフルな曲です。

小泉光咲

小泉 難しい漢字がいっぱいあって逆に安心します。「げんじぶっぽいな!」って(笑)。

長野 「なんて書いてあるか読めない! 僕らの曲だ!」って思うよね(笑)。

大倉 僕ららしさもすごくあるけど、新しい1歩を踏み出す曲でもあるかなと僕は思っていて。振り付けの中に7人がそろって前へ進む動きがあるんですが、「7人で新しい世界に飛び出す」っていう意味なのかなと捉えているんです。1stアルバムの1曲目でもありますし、自分的には新たな覚悟を持って表現したいなと思ってます。

──歌詞はシニカルで、抽象的な言葉選びが面白いですね。中でもサビ終わりの「今一度お見せします」という言葉のリフレインが印象に残ります。このパートを順に担当している杢代さんと吉澤さんの、セリフの言い方が違うのも気になりました。

杢代 僕は1サビ終わりと3サビ終わりを担当しているんですが、1サビのほうは「上から目線で相手を挑発するように」というイメージで歌いました。で、3サビのほうは上から目線じゃなく、ストレートに「お見せします」と。

吉澤 僕は和人のような作り込みはなく、自然な流れで言いました。ただ、自分はいつも慎重に歌っちゃうんですけど、ここはいい意味で捨てるというか。深く考えすぎず、少し崩すことは意識していました。

この曲は何色にする?

──「柘榴」にも言えますが、げんじぶの楽曲は一聴しただけでは理解できないような複雑な世界観が特徴だと思います。皆さんはグループとしてそれを表現するとき、どうやって世界観やイメージを共有しているんですか?

長野 “色”だよね?

吉澤要人

吉澤 そうだね。レコーディングの前に楽曲の解釈について話し合うことはないんです。レコーディングが終わって、振りも付いて、いざファンの皆さんの前で披露するとなったときに、その“曲の色”を決めるんです。

杢代 ライブの前日とかに決めるよね。最終リハで「この曲は初披露だけど何色にする?」って。そこから1時間くらいかけて話し合うんですよ。

──イメージを色で共有しているんですね。

長野 共通認識として、色のイメージが一番わかりやすいんじゃないかなと思ってそうしているんです。

小泉 曲が増えるにつれて色が被ってしまったりもするので、そういうときは情景を決めたりもします。

──面白いですね。色決めの話し合いでは、意見が一致するものなんですか?

一同 分かれます!

小泉 めっちゃ分かれるよね(笑)。

武藤 真逆の色とか全然ある。

大倉 分かれすぎて話し合いが進まないから、だいたい多数決で決めることになるんですけど(笑)。

──そうやって話し合いをする中で「みんなはこの曲をこんなふうに解釈していたんだ」と発見する感じなのでしょうか。

長野 まさにそうですね。だからすごく面白いですし、げんじぶならではの作業なのかなって思います。