音楽ナタリー PowerPush - GEEKS

ルーツを重んじ王道を鳴らす 孤高のバンド

言葉が通じないからこそ盛り上がる

──GEEKSは海外でツアーを開催したり、フェスにも出演していますが、海外のお客さんたちの反応ってどうでした?

エンドウ.(G, Vo)

エンドウ. 海外の反応はメチャクチャいいんですよ。勘違いして、天狗になって日本に帰ってきたら「あれ?」って思うくらい(笑)。

ミツ 国内とは反応が全然違う。「GEEKS!」「GEEKS!」って、みんな手を挙げていて。

エンドウ. まあ見た目が面白いのもあると思いますけどね。

ミツ 東洋人が派手なことやってるって(笑)。

エンドウ. 「お前らなかなかやるな!」みたいな空気を感じてます。海外で僕らのことをまったく知らないお客さんばかりでもモノにできますね。

──アウェイの空間でもライブが盛り上がるのはなぜなんでしょうか?

エンドウ. もしかしたら言葉が通じないからかもしれないですね。言葉がわからないぶん、僕らの出すロックサウンドをちゃんと感じてくれている。

ミツ 歌詞なんて、1カ所か2カ所くらい聞こえてくれればいいんですよ。

エンドウ. 僕らが昔The Beatlesを聴いてたときも、歌詞なんかわかりませんでしたから。日本では「歌詞がよかった」とか「言葉に共感した」みたいなのがしきりに言われてますけど、要はもう歌詞しか見てないんだろうなって思っちゃいますね。

ミツ 歌詞にばかり目がいってしまうのは、ちょっと寂しいですよね。

エンドウ. ロックはサウンドですから。

ミツ あと、向こうで盛り上がるのはお国柄もあると思います。

エンドウ. 日本のライブハウスってフェスとかじゃない限り「今日は1日全部のバンド楽しむぜ!」って空気があんまりないんですよ。でもアメリカはほとんどライブバーだから、まず飲みに来るのが当たり前で。特定のバンドが目的とかじゃないから、ただ盛り上がろうとしてるっていうのを感じますね。

爺さんがメロイックサインしてる

──海外でのライブではGEEKSのメンバーも競演者のライブを観たりするんでしょうか?

エンドウ. 日本よりはよっぽど観てますね。

キョウヘイ(Dr, Vo)

カオル アメリカのフェス行ったときは、さすがにみんなでいろいろ観ましたね。

エンドウ. みんなでMotorheadを観て。「もう何十年選手なのに、こんなに若者が盛り上がってる!」みたいなのは感動しました。アメリカ人はルーツを大事にしてるんだと思います。向こうの音楽雑誌の表紙って、今でもThe Beatlesだったり、Led Zeppelinだったりしますからね。

ミツ 日本ではロックが子供のものになっちゃってるんですよ。大人があまり聴いていないというか。アメリカでは爺さんがメロイックサインしてますからね。

──海外にルーツがあって、海外でも受け入れられているのに、GEEKSの歌詞が日本語ベースなのはなぜなんでしょうか?

エンドウ. やっぱり日本でリリースしてるし、僕も日本人だし。英語でコミュニケーションを取ったりはできるんですけど、思った通りの文章表現ができるかって言ったら怪しいんですよ。だから作詞に関しては迷いなく、日本語で書いてますね。英語メインの詞を歌うんだったら、ネイティブと同じくらいしゃべれないとダサいじゃないですか。

──もし英語をマスターしたら、日本を捨てて海外に出ていく選択肢もあるのですか?

エンドウ. いやー、海外はほら、雇用形態とか、社会保障とかどうなってるかわかんないし……(笑)。

ミツ あと治安もよくないですし。

カオル 向こうでやるのは検討してないみたいです(笑)。

世の中を塗り替えてやる!とは思わない

GEEKS

──GEEKSが先人たちのロックを受け継いでいるように、GEEKSもまた自分たちのロックを後世に伝えたいと考えているんでしょうか?

エンドウ. そうですね。自分たちも自分たちの先人も、みんながやってきたことをこの先も絶やしたくないと思ってます。ギター弾いてるときとか、曲作ってるときは「今からロックやるぜ!」っていうロックキッズのことも考えてますね。

──孤高の存在ではあるものの、シーンを変えたいという思いも持っている?

エンドウ. 本当に人生かけて向き合ってるものはどのジャンルもほんの一部しかないんです。でも世の中はその本物以外も好かれていて、それをとやかく言う筋合いはないかなって。だから「世の中の音楽全部クソだ! 塗り替えてやる!」なんて思わないんですよ。もともとそういうもんだし。

ミツ 今に始まったことじゃないですからね。食べ物だっておいしいものは少ないじゃないですか。

エンドウ. 料理人も「世の中の食を全部グルメにしてやる!」なんて思ってやってないわけですよね。わかる人にだけわかってもらって、できればこれが広まったらいいな、ぐらいというか。それよりも自分の料理とか、自分の音楽を追究するほうがずっと大事だと思ってます。

ニューアルバム「ALKALOID」/ 2014年11月5日発売 / 2160円 / OVERLAP RECORD / NKCD-6671
収録曲
  1. VERMIN KILLER
  2. ANATOMY RHAPSODY
  3. THUMBTACK PROMA DONNA
  4. GEEZER JERK
  5. GALLANT VAGRANT
  6. CHICAGO TYPEWRITER
  7. ROAD ROLLER
  8. 125MONOLOGUE
  9. PENNY BLACK
  10. BUCEPHALUS
  11. DECREPIT BUS
  12. VERMIN KILLER(TeddyLoid's Reworked Mix)
GEEKS(ギークス)
GEEKS

エンドウ.(G, Vo)、ミツ(B, Vo)、カオル(Key, Vo)、キョウヘイ(Dr, Vo)の4人からなるロックバンド。洋楽由来のメロディとぶ厚いコーラスワークを特徴とする。2008年の活動開始以降、精力的に音源を発表をする一方で2度にわたる東京・渋谷ハチ公前のゲリラライブ開催や、アメリカ・テキサス州のフェス「SXSW」に2年連続で出演するなど枠に捉われないバンド活動を続ける。2014年11月ニューアルバム「ALKALOID」をリリース。さらにアルバムの発売を記念した全国ツアー「投げナイフツアー」を開催している。