ライブナタリー presents GANG PARADE SAY HELLO!2MAN'25特集|ギャンパレ×9mmはじめまして対談 (2/2)

コロナ禍の“修行期間”を経て変化はあったのか?

──ライブについての向き合い方も聞かせてください。近年の大きな出来事として、コロナ禍がありました。無観客ライブや声が出せない時期を経て、ライブへの向き合い方や盛り上げ方に変化はありましたか?

ユア 個人的には、ライブ1本できることのうれしさや、メンバーとスタジオで会える尊さをすごく感じました。あの頃はお客さんだけじゃなくてメンバーと会う機会も限られていて、Zoomでオンラインミーティングをして企画を考えたり、オンラインイベントをがんばってやったり、企画で無人島に行ったり……いろんなことに挑戦しながら「私たちにはライブが本当に大切なんだな」と改めて実感しましたね。だから、今こうしてお客さんと面と向かって、魂のぶつかり合いをできることが本当にうれしい。こちらが全力でやった分、お客さんも返してくれるし、初めての人にもちゃんと音楽が届いていると感じられる瞬間がある。コロナ禍を経て、ライブできることのうれしさを改めて実感したし、1本1本、より大事に思っています。

ナス 私はWACKに入ったのが2020年で、コロナ禍に入る直前だったんです。当時はWAggという育成グループで3回くらいワンマンをして、WACK所属グループの合同ツアーを2回やったくらいのタイミングで、「ライブが楽しい」という感覚を知らないままコロナ禍に入って。そこから1、2年くらいは、フロアの規制がいろいろあっても「寂しい」という感覚すらあまりなかった。本当に何もわからないまま続けていました。

菅原 ライブがどういうものなのか体験できなかったんだね。

左からアイナスター、ユメノユア、菅原卓郎、中村和彦。

左からアイナスター、ユメノユア、菅原卓郎、中村和彦。

ナス はい。なので、規制明けは“初めて塩を知った人類”みたいな感覚でした(笑)。最初の1年くらいは声出しも禁止されていたし、Zeppとか大きい会場でも椅子に座って観てもらう形式だったから、初めて「声出しOK」のライブをやったときは本当にびっくりしたし感動して。声出しが正式に解禁されたのは2023年でしたけど、ちょうど入所して2年半くらいの2022年11月の幕張メッセ 幕張イベントホール(※BiSHを除いたWACK全グループが出演したライブイベント「Even without BiSH, this is WACK」)で限定的に解禁されたんです。過去のライブ映像で観たことのあるお客さんのコールをステージに立って受け止めた瞬間、「これが私が憧れていたギャンパレだ!」って感動しましたね。コロナ禍の2年間はライブの楽しさを知らないまま「あきらめられない」と思って続けていたけど、幕張のステージで声を浴びた瞬間、「こんなに楽しくて素晴らしいものがあるんだ」と実感して、本当にやめなくてよかったと思いました。

菅原 やっぱりお客さんの声が戻ってきたときは感動しましたね。「こんなにエネルギーがあるんだ」って。マスクをして声を出さずに観ているときも、お客さんがいてライブができるだけでパワーを感じていましたけど、そこから声が出て、リアクションが返ってきて、少しずつ変化していくたびに毎回感動していました。やっぱり全然違う。こっちもめちゃくちゃエネルギーをもらえるし、「ああ、ライブってこういうものなんだ」って改めて実感しました。あの時期には配信ライブもやったんですよ。新代田FEVERで撮影スタッフとライブスタッフの十何人くらいしかいない中で演奏して。そのとき、自分たちが演奏に入り込んでいれば大丈夫じゃんって思えたんですけど、それは単にその状況に対応していただけで。実際に現場で演奏してリアクションが返ってくると、「やっぱりこれじゃないとダメだ」と痛感しました。9mmは、そうやって反応を引き出そうとして、ちょっと「はみ出す」こともあるんですよね。

ナス はみ出す……?

菅原 ミスしちゃうとか(笑)。でも、それもライブだからこその出来事で。長くやっていると、普段の生活も「ライブのために」という意識になるんです。単純に「風邪引かないようにしよう」とか、だんだん人生の時計がライブ中心で動いているような感覚になる。ごはんを食べたり、寝たりする日常よりも、ライブの瞬間に「生きてる!」って感じるんです。僕にとってはここが日常で、ライブこそが家みたいな場所。そういうふうに思えるのがすごくうれしいし、コロナ禍を経てその感覚はより強まったと思います。

中村 それはたぶん僕らだけじゃなくて、ほとんどのアーティストがそうだと思うんです。コロナ禍を経て、ものすごくタフになった。精神的にもそうだし、バンドとしても。あの頃のフロアの光景って、今思えば本当に異様でしたよね。みんなマスクをして間隔を空けて立って、声も出せない。相手に表情もわかりづらいし、返ってくるものが見えない分、とにかく伝えようと必死でやっていた気がします。修行みたいな期間でしたね。

菅原 それは、ファンも同じだったんだろうね。

中村 そうだと思う。お互いに修行(笑)。もう一度「あの状況でやれ」と言われたら絶対に嫌ですけど、それを経たからこそ強くなれた実感はあります。

ユア 菅原さんの「人生の時計がライブ中心で動いているよ」って話、私もすごく共感します。自分にとってもライブが人生の時間軸の中心にあって、ライブがあることで自分も前に進める感覚はすごく似ていると思いました。ライブがないと「私の人生、何をしたらいいんだろう」ってなるから(笑)。

ナス ライブがない日、ユアさんはパンを焼いたり、プリンを作ったりするんですよ。

菅原 充実してるじゃん(笑)。

ユア そうやって手を動かしてないと、考えすぎてよくない方向に行っちゃうんです(笑)。

菅原 あとはもう、スクワットしながらパンを焼くとかくらいしかないですね(笑)。

一同 (笑)。

左からユメノユア、アイナスター。

左からユメノユア、アイナスター。

ギャンパレ×9mm、刺激的な夜になりそう

──10月12日のツーマン、いい化学反応が起こりそうで楽しみです。最後に、当日に向けての意気込みをお聞かせいただけますか?

ナス ギャンパレメンバーのいいところは、みんなすごく素直で、影響されやすいところなんです。素敵な先輩方のライブを観ると、舞台裏で泣きながら「めっちゃよかった」「自分たちもがんばろう!」って言い合う。これまで「SAY HELLO!2MAN」を通じて、たくさんの刺激やご縁をいただいてきたおかげで、本当に成長してこられたと思います。今回も9mmさんとのツーマンでたくさん刺激をいただいて、さらに成長したい。自分たちも胸を張って「これがGANG PARADEだ!」という姿を見せたいですし、GANG BOYZの皆さんと一緒に最高のステージを作りたいと思います。今日すごく緊張していたんですけど、こうしてお話させていただいて、より楽しみになりました。またすぐにでもお会いしたいです!

ユア 遊び人のみんなに楽しんでもらうのはもちろんですが、初めてギャンパレを観る方にも「面白い!」と思ってもらえるようにしたいです。人数が多いからこその迫力や、いろんな曲、ダンスを通じて伝わる面白さをステージで表現したい。そして、9mmの皆さんにも私たちのステージを初めて観ていただくので、「ギャンパレ、おもしれえじゃん!」と思っていただけるようなライブにしたいです。お客さんにも先輩方にも全力で届けたいし、私たち自身もめちゃくちゃ楽しみにしています。みんなで最高の1日にしましょう。お願いします!

中村 当日は、お互いガツンとやるだけだと思います。いい刺激を与え合えるライブにしたいですね。このライブが終わったあと「あのときのツーマンよかったよね」って思い返せるような、そういう1日になればうれしいです。

菅原 対バンって、後攻のアーティストのほうが熱いライブになることが多いんです。先攻のバンドが「今日めっちゃいいライブできた!」と思っていても、そのあとの仲間やアーティストのステージを観たら、バトンがつながってもっとすごいライブになっていく。今回は僕らが先にやって、そのあとギャンパレが出ることになりますけど、「このあとやりづれえな!」と思わせるくらいのライブをしたいです。そのあとギャンパレのライブを観てこちらが「ヤバい、もう1回やらせてくれ!」って思えるくらいの、そんな刺激的な夜になったら最高ですね!

ユアアイナスター がんばります!

菅原 あと、ライブで演奏してお客さんに向かっているとき、「自分が命を使ってるな」って感覚があって、それが充実感になっている。ライブの最中、必ず一瞬、「めちゃくちゃキラキラしてる、全部光って見える」みたいな瞬間があるんです。僕らは今、サポートギターを入れて5人編成ですけど、5人全員が同時にそう思っている瞬間、とんでもないエネルギーが生まれていると思うんですよ。ギャンパレはバンド含めて16人。16人でそれが起きる瞬間も見届けたいです。

左からアイナスター、ユメノユア、菅原卓郎、中村和彦。

左からアイナスター、ユメノユア、菅原卓郎、中村和彦。

公演情報

「ライブナタリー presents GANG PARADE SAY HELLO!2MAN'25」

「ライブナタリー presents GANG PARADE SAY HELLO!2MAN'25」キービジュアル

2025年10月12日(日)東京都 Spotify O-EAST
OPEN 17:15 / START 18:00
<出演者>
GANG PARADE with GANG BOYZ / 9mm Parabellum Bullet

<チケット>
先着先行(チケットぴあ / 先着):2025年9月13日(土)12:00~2025年9月23日(火・祝)23:59

公式サイトはこちら

プロフィール

9mm Parabellum Bullet(キューミリパラベラムバレット)

2004年3月、横浜にて結成。2枚のミニアルバムをインディーズで発表したのち、2007年10月に「Discommunication e.p.」でメジャーデビュー。パンク、メタル、エモ、ハードコア、J-POPなどさまざまなジャンルを飲み込んだ音楽性と、激しいライブパフォーマンスで人気を博している。2019年4月に結成15周年を記念して東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)、大阪・大阪城野外音楽堂で「東西フリーライブ」を開催。2020年9月に初のトリビュートアルバム「CHAOSMOLOGY」が発表された。2024年3月に結成20周年を迎え、10thアルバム「YOU NEED FREEDOM TO BE YOU」をリリース。2025年10月に東京・新宿FACEでフロアライブ「新宿FACE、死角なし。」を開催予定。11月からは、ツアー「カオスの百年~Never Ending Tour 2025~」を行う。

GANG PARADE(ギャングパレード)

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ココ・パーティン・ココ、ユイ・ガ・ドクソン、月ノウサギ、キラ・メイ、キャ・ノン、チャンベイビー、ナルハワールド、アイナスターの11人からなるアイドルグループ。2014年に結成された前身ユニットから2度の改名とメンバーの増減を経て、2019年4月にワーナーミュージック・ジャパンからメジャーデビュー。その後グループの分裂やメンバーの加入・脱退を経て、2022年5月より13人体制での活動がスタートした。2023年5月にリリースしたメジャー2ndアルバム「OUR PARADE」がオリコン、ビルボードで週間チャート1位を獲得。2025年6月にWANIMAらさまざまなアーティストからの提供楽曲を収めたメジャー3rdアルバム「GANG RISE」を発表した。精力的なライブ活動を重ね、8月には神奈川・横浜赤レンガ倉庫で野外ワンマンライブ「狂遊」を開催。また12月17日にメジャー8thシングルをリリースする予定。