学芸大青春ついに素顔解禁、“アーティスト”としてまっすぐに音楽と向き合う覚悟をした5人の思いとは (2/2)

自分たちならではの色“ピアノダンス”

──8月には5カ月連続で新曲を配信する企画がスタートしました。この企画はどんなふうに決まったものだったんですか?

優輝 顔出しすることを考えるにあたって、「自分たちならではの色がないといけないよね」という話になったんです。今までは2次元の姿があって、3次元では顔出しをしていないこと自体が学芸大青春の個性になっていたと思うんですけど、3次元でも顔を出すことによって、その個性は1つなくなってしまいます。そこでまずは音楽面で、蓮のピアノを取り入れた“ピアノダンス”というオリジナルのジャンルに挑戦して、それを5カ月連続の新曲という形でたくさんの人に聴いてもらいたいと思いました。

──「自分たちはこういうグループだ」ということを伝えるための5カ月連続リリースなんですね。すでにリリースされている3曲について聞かせてもらいたいのですが、まず第1弾シングル「アールビーワイ」はどんなふうに作っていったんでしょう?

 この曲は僕がO-liveさんと一緒に作詞作曲した“ピアノダンス”第1弾となる楽曲です。クラシックをサンプリングしたり、ピアノの要素をたくさん入れることにこだわりました。歌詞も自分たちらしさを出したいと思って、自分たちの年代に近い子の気持ちを歌った内容にしています。

──タイトルの「アールビーワイ」は「Red」「Blue」「Yellow」の頭文字で、信号機の色のように3色の移り変わりでデートのときの心模様が表現されていますね。

 そうなんです。僕がピアノで弾いているエリック・サティの「ピカデリー」は、よくCMで聴くイメージがあったので、誰でも耳馴染みがありそうな曲として取り入れました。クラシックの要素を入れるときは、先に曲を考えてから合わせていくときも、逆に引用するクラシックの曲を決めてから曲を想像していくこともあるんですけど、この曲の場合はクラシック的なコード進行から曲全体を考えていきました。ドゥーワップの要素も加えたオールディーズな雰囲気にすることで、普段から共同生活をしている僕たちのワイワイとした楽しさが表現できるかなと思って。

将綺 レコーディングもめちゃくちゃ楽しかったです。

優輝 この曲はラップのところも蓮がリリックを書いてくれたんですけど、「僕はこういうふうに作ったけど、優輝の好きなように変えてもらっていいよ」と言ってくれて。実際に僕が持っていったアイデアを取り入れてくれた部分もあって、蓮が僕から出てきたものを積極的に使おうとしてくれたのが印象的でした。

 学芸大青春って5人がそれぞれ違うものを持っていて、それを持ち寄ったほうがいいものができるので、みんなの意見も柔軟に取り入れたいと思ったんです。

仲川蓮

仲川蓮

──5人の個性が詰まっていてこそ、学芸大青春の音楽だと。

将綺 僕が声出しのときに何気なく優輝のマネをしていたところが曲に使われていたり、意図していない音もけっこう入っているんですよ。

優輝 共同生活をしているといろんな声が飛び交っているんですけど、その雰囲気が表れているなと思いました。

──楽しい雰囲気を伝えるための工夫がされているんですね。オールディーズ的にみんなでそろって声を重ねているコーラスからも仲のいい雰囲気が伝わってきます。

 実はコーラスも共同生活感を意識して入れた部分でした。

優輝 へえ、そうだったんだ!

陽介 僕らが素でレコーディングを楽しめるように蓮が考えてくれたからこそ、感情的に歌えた気がします。それが聴いてくれる方にも伝わりやすい曲じゃないかな。

勇仁 お互いにどういう音楽が好きなのかわかっているからこそ信頼できる部分もあって。いいコミュニケーションを取りながら進めていくのが本当に楽しかったですね。あと、この曲は蓮から「それだとうますぎるから、もうちょっと下手な感じで歌ってもらっていい?」と言われたのも新鮮でした。僕自身、自分の年齢よりもちょっと下のウブなイメージで歌ったほうが歌詞にハマると思っていたんですけど、「もっと下手に歌ってほしい」と。

──「うまく歌う」よりも「曲としての正解に持っていく」のが大切だったんですね。

勇仁 はい。「下手に歌って」なんて言われたのは初めての経験でした(笑)。

相沢勇仁

相沢勇仁

「戦え!」と鼓舞するジュネス流激しい応援歌

──9月にリリースされた第2弾シングル「DoDo tz Dotz」はどうでしょう?

優輝 例えば学生だったら部活動の大会があったり、社会人だったら大事なプレゼンがあるときのように、「うまくできるかな」と不安になって自分に負けそうになる瞬間が誰にでもあると思うんです。そういうときに「大丈夫、いけるぞ!」と応援できる曲になったらいいなと思って歌いました。そっと背中を押すというよりも「戦え!」と鼓舞するような感じで、実体験を思い出しながら歌いました。

 ひと言で言うと、「ジョジョの奇妙な冒険」みたいなイメージです(笑)。

勇仁陽介将綺優輝 ジョジョ!?(笑)

 この曲はもともとO-liveさんが作ってくださった曲で、その曲に僕がクラシックの要素を当てはめていきました。曲を聴いた瞬間に「ショパンの『幻想即興曲』しかない」と思って当てはめてみたら、コードもぴったりで! ただ、クラシックって4分の4拍子ではなかったりもするので、テンポを調節して曲に合うように工夫しました。

──DJみたいなことをしているんですね。ほかの皆さんはどうでした?

将綺 僕もこの曲を聴いたときに、ショパンの「幻想即興曲」しかないと思って……。

陽介 嘘つけ!(笑)

優輝 そもそも僕らは蓮のピアノが入った状態で初めて曲を聴いたから。

将綺 真面目に話すと、自分を奮い立たせてくれる曲だと思いましたね。サッカーをやっていた学生時代にこの曲があったら試合前に聴きたかった。

──この曲はダンスもとても激しくてインパクトがあるものになっていますね。

優輝 5作連続リリースにあたり、ダンス&ボーカルグループとして歌だけでなくダンスでも魅せていきたいと思って、プロデューサーの杉沢さんに「僕も振付をお願いする方の人選をリクエストしたいです」と伝えたんです。この「DoDo tz Dotz」はRIEHATATOKYOのKAITA(KAITA THE HATABOY)さんにお願いしました。KAITAさんはエネルギッシュでパワフルなダンスをする方で、スキルもすごいんですけど、表現力がすごいんですよ。振りも曲の世界観がより伝わるようなものになっていると思います。

南優輝

南優輝

勇仁 ラップは狂った感じで歌おうと決めていました。もちろん普段は全然狂ったりした経験はないですけど……(笑)、曲に合うんじゃないかと思ったんです。

──勇仁さんはむしろ、いつも冷静なイメージがあります。

将綺 見た目はそうですよね……。

勇仁 「内面は狂ってる」みたいな雰囲気を出すな(笑)。

優輝 勇仁のパートは「心が作り出す 幻想ここに映し出す」というリリックなので、そういう歌い方をしてくれたことでより曲にハマったような気がします。

悲しいだけでは終わらせない

──最新シングル「グッデイ・バッデイ」についても聞かせてください。

陽介 この曲は、うまくいかないときに「そんな日もあるよ」と優しく励ましてくれるような楽曲にしたいと思って、僕と優輝は語りを入れています。僕のパートはささやいている距離感で、聴いてくれる人に僕たちの思いが伝わってほしいと思いながら歌いました。ちょうどこの頃、声優の先生にレッスンを受けている時期だったので、先生にレクチャーもしていただきました。優輝が深めの声を生かすのなら、僕も自分の声質を生かそうと思って、お互いのパートを聴きながらやっていきました。

星野陽介

星野陽介

 僕と陽介の掛け合いの部分は、後ろから陽介に目隠しをされて耳元でささやかれているようなイメージで歌いました(笑)。陽介の語りに僕が応えているという、2人でコミュニケーションを取るような雰囲気をイメージしました。

将綺 「絶対にいいことあるから、平気だよ」という曲のメッセージを伝えるためにも、最初はちょっと落ち込んだ雰囲気から入りつつ、最終的には「たぶんどうにかなるよ」という雰囲気が出せるように歌っていきました。悲しいだけでは終わらないということを意識した感じです。

優輝 この曲も、僕が振付師の方を選ばせてもらいました。タイトルが「グッデイ・バッデイ」なので、歌詞をより表現してくれる方に表現してもらいたいと思って、GANMIのSotaさんにお願いしたんです。GANMIさんは日本語の歌詞を拾いながら、細かい振付で踊るのが得意な方々で、素敵な振りにしてくださいました。MVも「行くぞ、オラオラ!」というものではなくて、肩の力を抜いたリラックスした雰囲気になっています。

将綺 MVで顔を出すのはこれが初めてなので、導入は2次元の姿から始まって、今から3次元の世界に降り立ちます、という構成になっているんです。

優輝 2次元の姿も仮面の姿も顔出しの姿も、全部含めてこれまでの学芸大青春が詰まった作品になっているんじゃないかと思います。

「これが学芸大青春だ」

──4年目の活動にはどんな気持ちで臨んでいきますか?

優輝 4年目の活動は顔も出して、できることは全部やって僕たちの音楽を広めよう、という覚悟で進むので、僕たちがやりたいこと、やりたい音楽をどんどん世の中に提示できる1年になったらいいなと思っています。楽曲制作に蓮が関わることも、僕が振付に携わったり、ラップのリリックを考えることもそうですけど、自分たちの表現したいものをダンスと歌で「これが学芸大青春だ」と打ち出していけたら、と思っています。

将綺 優輝も言っていましたけど、僕ら自身も制作段階から楽曲に関わっていって、いろんな部分で自分たちの思いを形にしていきたいと思っています。あと、個人的には新しい目標があるんですよ。今までの個人的な目標は「素顔を出したい」だったんですけど、それが達成されたので、今度はMVの1000万回再生を目指していきたいです!

内田将綺

内田将綺

──おお。大きな目標ですね。

勇仁 僕は3周年で顔出しをしたからこそ、もう一度自分自身に向き合ってみようという気持ちになっています。自分たちから見える世界も変わるし、周りからの見え方も変わるからこそ、一旦自分自身の内面に向き合うことが大切なのかなと。そうやって自分自身やメンバーに改めて向き合うことで、学芸大青春としてやりたい音楽に昇華していけたらと思っています。

 あとは……顔を出したので、プライベートではそっと暮らしたい(笑)。

全員 ははははは。

優輝 蓮は特に髪も派手だし目立ちそうだから大変だ……(笑)。俺たちはまだまだ未熟だからこそ、活動に対する気持ちは誰よりもまっすぐでいないと戦っていけないと思うので、その気持ちを大切にがんばっていきたいと思います。

学芸大青春

学芸大青春

プロフィール

学芸大青春(ガクゲイダイジュネス)

“現実世界とメタバースを行き来する”をコンセプトに活動する、相沢勇仁、内田将綺、仲川蓮、星野陽介、南優輝の5人からなるダンス&ボーカルグループ。キャラクター化された“2次元”と、実在のメンバーによる“3次元”の活動を行っており、2次元のキャラクターデザインはイラストレーターの冨士原良が手がけている。2019年9月に配信シングル「JUNES」で歌手デビュー。2020年1月からTwitterとYouTubeで配信された3Dショートドラマ「漂流兄弟」で主演を務めた。同月に主題歌「JUST」を配信し、9月に1stアルバム「HERE WE ARE !」をリリース。2021年6月に初の全国流通シングル「Hit the City!!」、12月に2ndアルバム「PUMP YOU UP!!」を発表した。2022年8月に5カ月連続新曲リリース企画をスタートさせ、9月に東阪で行った3周年記念ライブで3次元の素顔を解禁した。