ナタリー PowerPush - GOOD4NOTHING
メンバー脱退の危機を乗り越え たどり着いた「真の四重奏」
個人プレイではなく四重奏だから「Four voices」
──ではニューアルバム「Four voices」について話を聞かせてください。今作のビジョンは何かしらありました?
U-tan いつもコンセプトは作らないけど、俺がけっこう曲を持っていく中で、メンバーからGOOD4NOTHING節はあっていいけど、今までとは違うアプローチをしようやって提案されて。今回はいい意味で作曲の勉強になりました。新しい引き出しを開けられたし、全部で18曲ぐらい作ったのかな? それをみんなに聴いてもらって、選んだ感じです。
──激しい曲はより激しく、穏やかなパートはより穏やかに、1曲1曲メリハリが効いた楽曲が揃ってますね。
U-tan 沁みながらも、希望が湧いてくる曲にはすごくこだわりました。
──沁みながら希望が湧いてくる曲、ですか?
U-tan グッと来たあとに、よし俺もやってやるぜ!と思えるメロディ……。
MAKKIN はははは、すごく抽象的やな。
U-tan パッとした明るさというより、沁みるようなメロディが多い気がしますね。
──「FINE A NEW WORLD」は一旦テンポが落ちて切なくなったあとに登場する、高揚感のあるメロディが気持ちいいですね。
TANNY メロディはそのときそのときの自分のインスピレーションですからね。何もないキャンバスに自分の色を出す作業やから。血ヘド吐くような思いからの作業やったんで、聴く人の深層心理に訴えるメロディが体から出てきたのかなと。
──確かに、随所にメロウな色合いを感じます。
U-tan 「TO YESTERDAY」は思いっきりそういう部分が出てますね。でも歌ってて、希望があるんですよ。
──グーッと潜ったあとに希望の光が見えてくる。そのメロディ感は、これまでの話とも通じますね。
U-tan 曲って自分の人生が反映されるんでしょうね。振り返ると、1stアルバムの頃はまだ若いなあという感じがするし。じゃあ、このアルバムを10代のときに作れたかと言ったら、無理ですからね。
TANNY 特に僕らみたいにツアーをガンガンやってるバンドは、お客さんも新鮮さを求めてくるし、それがまたすべて音に出ますからね。今は個人プレイではなく、四重奏になってるから、アルバム名も「Four voices」なんですよ。4人のパワーをフルに重ね合わせたアルバムやし、4人の色味が1曲1曲にちゃんと出てると思います。
歳を取りバンドを退いても「SAKAI MEEETING」は残したい
──そして3月23日には昨年に引き続き、盟友のTHE CHINA WIFE MOTORSと立ち上げた地元密着型フェス「SAKAI MEETING 2014」が開催されます。そもそも地元・堺市でフェスをやろうと思ったきっかけは?
U-tan 俺らはずっと海外に目が向いてたけど、地元の堺を盛り上げたいなと思って。それで地元仲間のTHE CHINA WIFE MOTORSに話を持っていって、みんなで話したときに、キッズが喜ぶでっかい祭りをやろうとなったんですよ。
──皆さんにとって、堺ってどんな街ですか?
U-tan 家ですね(笑)。ツアーから堺に帰って来ると、落ち着くんですよ。街の臭いがするんですよね。街の音とかあるじゃないですか? 渋谷には渋谷の音があるし、堺はチンチン電車の音が聞こえてきたり、そういうのもいいですよね。
──「SAKAI MEETING」をどんなフェスにしたいと思ってます?
TANNY ずっと続けていけるフェスにしたくて。僕らがやがて歳を取り、バンドを退いても、「SAKAI MEEETING」というイベントは残したい。僕らがジジイになっても、遊びに行けるフェスにしたいなと。
──その気持ちはどこから?
TANNY 地元愛ですかね。僕とU-tanは家が近くて、会場の周辺でよく一緒に遊んでたんですよ。僕らが多感な時期はそんなに楽しいイベントが地元になく、みんなミナミのほうに遊びに行ってましたからね。堺は僕らを育ててくれた街やから、何かお返しできないかなと。外の人たちが遊びに来て、堺ってこんな街なんやって思ってくれたらいいですね。
MAKKIN 「SAKAI MEETING」は全部自分たちの手作りで、仕込みから楽屋の紙から準備して、当日も来てくれたバンドたちと話すこともなく、いろんな対応に追われるんですよ。1回目はドタバタで、俺らが普段出てるフェスって、こんなに大変なんやなって。勉強になりました。それでこのフェスをもっと大きくしたいという気持ちも芽生えてきたし、それが今バンドがいいグルーヴを作れてることにも関係してるのかなと。めっちゃ、しんどかったですけどね。
TANNY U-tanは「SAKAI MEETING」終わり、エグかったもんな?
U-tan もう走りすぎて、終わったあとは2、3日歩けなかったですからね。高熱も出るし、しんどすぎて嫁に「殺してくれ」って言いましたから(笑)。
──ははははは(笑)。
TANNY しみじみ周りの人にも恵まれてるなと思いました。
U-tan 先輩バンドにも励まされて、改めて自分たちのことも見直せたし、いいイベントにしていきたいですね。
収録曲
- FALLING DOWN
- GETTING NOWHERE
- FIND A NEW WORLD
- BE FREE
- TO YESTERDAY
- COME ON, MY FRIEND
- MADE A PROMISE
- ALWAYS BE THERE
- Wake Up!!
- SOMETIMES NEED TO TAKE A BREAK
- ANOTHER DAY
- City Calling
- STUPID WORLD
- ALL WE WANT
GOOD4NOTHING(ぐっどふぉーなっしんぐ)
TANNY(Vo, G)、U-tan(Vo, G)、MAKKIN(B)、SUNE(Dr)からなる関西在住のメロディックパンクバンド。1996年に前身バンドを結成し、その後メンバーチェンジを経て現在のバンド名に。CDデビューは2001年2月のマキシシングル「LET'S MAKE THE FUTURE」。同年夏にリリースされた1stアルバム「GOOD 4 NOTHING」が1万枚のセールスを記録しその人気は一気に全国区へ。2007年にリリースしたアルバム「Kiss The World」では、「SUMMER SONIC 07」や「FUJI ROCK FESTIVAL '07」といった大型フェスの出演に加え、Madina Lakeとのシカゴツアーに参加。2010年には自身のレーベル「L.M.N.O.P.」を立ち上げ、アルバム「BACK 4 GOOD」を発表した。2012年1月にはキャリアを総括したベストアルバム「GREATEST HITS!?」とニューシングル「RIGHT NOW」を同時発売。2013年3月には盟友THE CHINA WIFE MOTORSとともに、彼らの地元である大阪・堺市にて主催フェス「SAKAI MEETING」をスタートさせた。2014年1月にニューアルバム「Four voices」をリリース。同年3月には地元にて「SAKAI MEETING 2014」を行う。