ナタリー PowerPush - GOOD4NOTHING
メンバー脱退の危機を乗り越え たどり着いた「真の四重奏」
GOOD4NOTHINGがニューアルバム「Four voices」をリリースした。2012年9月に前作「ALL THE AWESOME DUDES」を発表して以降、地元である大阪・堺での主催フェス「SAKAI MEETING」の開催やバンド結成15周年ライブなど精力的に動いていた印象のある彼らだが、実はその裏ではメンバー脱退の危機が訪れていたという。
絶好調以外の何ものでもないサウンドが満載の新作を前に、メンバー4人がどのようにして危機的状況を乗り越えたのか、そしてこの新作に到達したのかをじっくり語ってもらった。
取材・文 / 荒金良介 インタビュー撮影 / 佐藤類
シメるとこはシメて、アホなところも全部出して
──昨年の結成15周年企画「SAKAI NO OSSAN goes on! ONE-MAN SHOW」(11月28日の東京・下北沢SHELTER公演)を観ましたが、ものすごくいいライブでした! 今、最高のグルーヴが出てるんじゃないかと思うほど素晴らしかったです。あの、何かあったんですか?
U-tan(Vo, G) なんか吹っ切れてますね。15周年という節目もあるかもしれないけど、SUNEが入って4年目になるし、いろんなものがいい意味で吹っ切れました。楽しいこともより楽しめるようになったし、その雰囲気がライブにも出てるんじゃないですかね。
TANNY(Vo, G) ライブやバンド活動をよりよくしていこう、という気持ちもあって。その都度、メンバー間で言い合える環境になったし、それが相乗効果を生んでるんかなと。バンド的にもサウンド的にも脂が乗ってきた。自分たちでもそれを実感してます。
U-tan あのワンマンでひさびさに2時間半ぐらいやったから、それも大きいかもしれない。セットリストもリクエストを募ってやったけど、最初は不安もあったんですよ。でも練習するうちにみんなどんな反応するんやろって、ワクワク感のほうが増してきて。2時間半の中でシメるとこはシメて、アホなところも全部出して、メリハリがつけられました。
──いい意味で肩の力が抜けてきたというか。NOFXとか海外のバンドのような伸び伸びしたグルーヴ感が出てました。
U-tan それはうれしいですね。
TANNY 例えば中国とかいろんな場所に行って、自分たちのあり方を再確認したんですよ。メンバーだけでがんばらなあかんシーンが去年はすごく多くて。そのときに自分たちの力量が試されるじゃないですか。そういう経験を経たから、いいグルーヴが生まれてるんちゃうかなと。
SUNE(Dr) 言わんでもわかることが多くなりましたね。セットリストの曲順もすぐに決まるし、ライブ中に笑顔で対話してる感じもお客さんにも伝わってるんかなと。
U-tan 急な対応もできるようになったしな?
SUNE うん、昔やったら、大事故になってたけど、それもなくなって。
──そうなんですね(笑)。
U-tan ちょっとアコースティックな感じで入る曲の頭にコケて、どうする?となったときに、カウントから行こうぜ!って。目を合わせただけで伝わって、そのまま始めることも増えましたからね。ほんまスタジオでやってる雰囲気というか、それをライブでも自然にできるようになった。
MAKKIN(B) まあ、スベるときはスベりますけどね、僕は(笑)。
──こないだのワンマンでMAKKINがおっさんコールを要求したら、お客さんからブーイングを浴びてましたもんね。ああいう空気を含めて最高だなと。
TANNY そうなんすよ。そこはまだ発展途上というか、博打してるところもありますからね。MAKKINも一生懸命やってるし、結果失敗したことをそのまま流したり、ケンカして終わりにするんじゃなく、メンバーみんなでベストの答えが出るまで擦り合わせますからね。俺らの中ではそれをハードミーティングと呼んでるんですけど。ちゃんと言い合って、お互いの着地点をはっきりさせる。そうすれば、気持ちよくできるじゃないですか。
MAKKIN 今は話し合いをちゃんとするもんな。
──なるほど。では今、4人が考えるバンドの理想像というと?
U-tan 最近すごく思うのは、GOOD4NOTHINGという遊園地に来てもらう感覚ですね。俺らにしか出せない雰囲気を出せたらいいなと。
ポジティブなおっさんなんですよ
──ライブでも自ら「おっさん」と連発してましたよね。以前はあそこまで言ってなかったですよね?
TANNY 自分の中では言い続けてたけど、表には出してなかっただけですね。もともと親父臭い連中なんですよ。それに年齢が追いついたんじゃないですかね。あまり流行にも敏感じゃないし、MAKKINなんか高校の頃にももひき履いてましたからね。
──はははは(笑)。
TANNY 25歳ぐらいの奴が「おっさん、おっさん」言っても、説得力ないじゃないですか。でも今は「おっさん」と言ったら周りも反応してくれるし、自他ともに認める堺のおっさんになりました(笑)。
U-tan 大阪の人って、若い頃から友達のことをおっさんって呼んだりするんですよ。「おっさん、それ踏んどるやんけ!」とか(笑)。
TANNY 歌もあるもんな? 「おっさんおっさん これなんぼ」(「買い物ブギ」)って。おっさんというワードに対して、オールドガイなイメージがないんですよ。
U-tan 年齢がリアルにおっさんになってきたから、より面白いなと。
TANNY ただ口ではおっさん言うてるけど……みたいなとこは絶対あるんですよ(笑)。
U-tan だから、ポジティブなおっさんなんですよ。ほんま同年代のサラリーマンやってる友達に対しても「俺らおっさんやけど、がんばってるで」って。
収録曲
- FALLING DOWN
- GETTING NOWHERE
- FIND A NEW WORLD
- BE FREE
- TO YESTERDAY
- COME ON, MY FRIEND
- MADE A PROMISE
- ALWAYS BE THERE
- Wake Up!!
- SOMETIMES NEED TO TAKE A BREAK
- ANOTHER DAY
- City Calling
- STUPID WORLD
- ALL WE WANT
GOOD4NOTHING(ぐっどふぉーなっしんぐ)
TANNY(Vo, G)、U-tan(Vo, G)、MAKKIN(B)、SUNE(Dr)からなる関西在住のメロディックパンクバンド。1996年に前身バンドを結成し、その後メンバーチェンジを経て現在のバンド名に。CDデビューは2001年2月のマキシシングル「LET'S MAKE THE FUTURE」。同年夏にリリースされた1stアルバム「GOOD 4 NOTHING」が1万枚のセールスを記録しその人気は一気に全国区へ。2007年にリリースしたアルバム「Kiss The World」では、「SUMMER SONIC 07」や「FUJI ROCK FESTIVAL '07」といった大型フェスの出演に加え、Madina Lakeとのシカゴツアーに参加。2010年には自身のレーベル「L.M.N.O.P.」を立ち上げ、アルバム「BACK 4 GOOD」を発表した。2012年1月にはキャリアを総括したベストアルバム「GREATEST HITS!?」とニューシングル「RIGHT NOW」を同時発売。2013年3月には盟友THE CHINA WIFE MOTORSとともに、彼らの地元である大阪・堺市にて主催フェス「SAKAI MEETING」をスタートさせた。2014年1月にニューアルバム「Four voices」をリリース。同年3月には地元にて「SAKAI MEETING 2014」を行う。