挑戦するタイミングはいつだっていい
谷口 撮影中は楽しさがありつつ、古舘くんが演技をしているのを近くで見るのはもちろん初めてやったから、すごくしびれましたね。主人公が監督として「よーい、スタート!」と言うシーンがあるんですけど、そこで鳥肌が立って。
古舘 うれしいですね。
谷口 やっぱり演じるってめちゃくちゃカッコいいことやなと思いました。今までのMVの中でも、僕がセリフを言うようなシーンはあったんですけど、どこか気負ってる感じがあったというか。でも、古舘くんと一緒にやっているときはナチュラルにできたような気がします。いい時間を過ごさせてもらったなと思ったんですが、そのあと家に帰ってから落ち込んじゃって。
古舘 なんでですか?
谷口 古舘くんが演技してる姿とか、カメラが回るまで1人で動き回りながらセリフを練習してるのを見ながら、やっぱりすごいフィールドの人やなと……。
古舘 いや、そんなそんな。
谷口 これで音楽が全然よくなかったら嫉妬しなくて済むのかもしれないけど、もちろん音楽もすごくいいし。「古舘くんやな」というのがすごくわかる音楽をしているから。だからうらやましいというか、こんなに器用にやってみたいなって、いろいろ考えちゃいました。古館くんとの絡みはラストシーンだけで、それまでのドラマパートの撮影は立ち会えていないので、どんな映像になっているのか、僕も完成したMVを観るのが楽しみです。
古舘 台本を読んだ段階で「ここにつながるんだ!」というラストシーンの仕掛けが面白いなと思ったので、最後まで注目して観てもらいたいです。主人公の葛藤が描かれて、溜めて溜めて、最後にそれがちゃんと希望に変わるというか。僕も映像で観るのが楽しみですね。
谷口 夢を打ち砕かれ続けた主人公が、紆余曲折を経てちゃんと自分の道に進み始める物語を通して、「挑戦するタイミングはいつだっていい」ということを伝えたかったんです。うまくいかなくてくじけたとしても、またいつだって挑戦はできるし、挑戦するのに遅いタイミングなんてない。このMVを観て、そういうふうにポジティブな気持ちになってもらえたらうれしいです。KANA-BOON自身も今そういう状況だから、ここから進んでいく僕らを見てもらって、そう思ってもらえたらいいなという気持ちもありますね。
これから全部がチャレンジ
──お二人がこれから新しく挑戦してみたいことはありますか?
谷口 新しい挑戦かあ。
古舘 なんでもいいんですか?
──はい。
古舘 あの、僕はいろんなことにすぐ挑戦するんですよ。断食を10日間やったり。
谷口 やってたね(笑)。
古舘 そこで今は一番やりたいこととして、1人キャンプというのを掲げていて。徐々にグッズを買い集めて、密かに準備しているんです。
谷口 へえー!
古舘 で、ここから先はちょっと妄想なんですけど……1人キャンプを何度かやってマスターして、1人で山籠もりとかもするようになるんですよ。そんなときに女友達みたいな子が失恋して落ち込んじゃって、僕は言葉では慰めずに「よし、じゃあちょっと行くぞ」って車で一緒に山のほうに行くんです。それで「よし、テント張るぞ」って川辺にテントを張って、ご飯を作って「食え」と差し出して、あんまり会話もせずに焚火をして。「よし、じゃあ寝るぞ」って、普通に寝るんです。何があるわけでもなく。
谷口 はいはい。
古舘 そして次の日に女の子が起きたら、僕が外でコーヒーを作っていて、「はい、飲んで」みたいな。「いろいろつらいこともあるけど、生きていこうぜ」と言って帰るという、なんか言葉じゃない救い方をしたいなというのが……。
谷口 ははは(笑)。何になりたいの?
古舘 失恋した女の子を言葉で慰めるのって、ちょっとどうなんだろうと思って。
谷口 いやいや、ミュージシャンやん! 言葉で言わんと。
古舘 僕は絶対に1人キャンプをやりたいんです。それが今、僕の中での挑戦。けっこう難易度が高いんですけど。
谷口 このあとに言うことないわ(笑)。まあ、僕らは新体制になったから、何に挑戦するかということよりも、これから全部がチャレンジやと思うので。そういう姿勢で目の前のことに向き合っていきたいなと思うし、ここから生まれていく曲たちもまたどんどん違うものになっていくと思います。「マーブル」もその予感をビシビシ感じる曲やし。あとは古舘くんのバンド、2と対バンしたいなという。
古舘 それはめちゃくちゃやりたいですね。2を始めてから、まだ一度もKANA-BOONと対バンしたことはないので。
──最後に、春ということで卒業や進学など、これから新しい1歩を踏み出そうとしている人たちにメッセージをお願いいたします。
古舘 今回のMVを通して、僕は改めて失敗って財産なんだなと思いました。僕もバンドを解散させてしまった悔しさや、ライバルとかと追い越せ追い抜かれみたいなところでの失敗はたくさんあったと思います。でも、振り返ってみて今の自分を作っているのは、これまでの悔しさや失敗だと思うので。今若くてここから挑戦していくという人たちは、失敗したくないと思っちゃうかもしれないですけど、実は失敗するのも大事なことなので、恐れないでほしいです。僕自身もずっとそれを忘れずにいたいですね。
谷口 何か新しいことを始めるにあたって、特に若い人だといろんなことがいちいち引っかかったり、何が正解なのかなって考えたりしながら進んでいくと思うんです。でも、それが正しいのか間違いなのかはやってみないとわからない。ちゃんとがんばってやったらやった分だけ、その答えを早く見つけられるというか。自分がやっていることは間違ってないと胸を張って歩いていける瞬間のためにも、一生懸命やるしかないと思いますね。そんな中で落ち込んだときや疲れたときに「マーブル」を聴いてもらって、自分の休みどころにしてもらえたらうれしいです。そのためにこの曲が生まれたと思うから。
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2020年3月12日更新