Furui Riho特集|テレビアニメ「CITY THE ANIMATION」主題歌は“天からのプレゼント”、自然と湧き出た自分らしさ (3/3)

音楽でリスナーの人生を豊かにしたい

──今、Furuiさんの中で音楽を作る一番のモチベーションはどこにあるんですか?

みんなを幸せにしたい、ということですね。自分のために音楽をやるフェーズは終わったので。みんながいい景色を見たり──っていうのは、つまりは自分のためと言えば自分のためかもしれないですけどね。みんなが喜んでいるのを見て、私も喜びたい(笑)。だから最近、リスナーの人たちやライブのお客さんのことも考えるようになってきたんですよ。その人たちの人生が私の音楽を通して豊かになったらいいなとか、そんなふうに思いますね。

──だから先ほどおっしゃっていた「執着しなくなった」というのは、こだわりをなくしたということではなくて、自分の音楽が照らす光の輪が大きくなることで見える人やものが増えた分、音楽をやる意味やそこへの向かい方が変わったということなんでしょうね。

Furui Riho

去年アルバムを出したあと、「売れるためには」なんて考えたこともあったんですけど(笑)、ある人から「結局自分のやりたいことをやるのが正解」と言われたんです。その言葉を聞いて自分でもそうだよなと思ったし、やっぱり媚びるとバレちゃうので。自分の中から湧き出てくるものに耳を澄まして、それを磨いて外に放つほうが魅力的になるんじゃないかと信じてやっています。

──去年から楽曲提供の機会も増えていますが、ご自身の創作において制約になったりはしないですか?

ないですね。自由にやらせていただいているので。この間、韓国にコライトキャンプに行って来たんですよ。それはK-POPを作るためのコライトで、要は私の楽曲には全然関係ないわけです。お題となるテーマやトラックがまずあって、それに曲を付けていくということを1週間ひたすらやるんですけど、すごく楽しくて。自分の楽曲を作るのとはまた別の世界で、いかにスピーディに面白い曲を作れるか?みたいなゲーム要素もあったりするんですけど、瞬間瞬間で実力が試される世界なんですよね。そういう作り方って、一見インスタントで中身がないように見えるかもしれないけど、音楽を作る楽しさっていうのを純粋に思い出させてくれたんですよ。「もう曲を作る以外のことは何も考えずに、ただ音に没頭して曲を作ってもいいんだ!」みたいな(笑)。それに案外そうやって反射神経で作った曲がすごくいいものだったりする。それってもしかしたら、これまで自分が積んできた経験やスキルの表れなのかも?と自信にもなりました。

──その自信は、執着を手放す以前と以後のFuruiさんの曲作りに対する変化と関係していますか?

以前は「Furui Rihoの音楽を作らなきゃ」という、オリジナリティの追求に必死だったんです。でも、今はいかに楽しんで作れるかが大切になってきていますね。余計なことを考えずに自分らしさを音楽で表現できるようになってきたし、作詞のスピードもかなり早くなりました。「言えないわ」の頃は「リズムはこうじゃなきゃいけない、こういう歌い方をしなきゃいけない、喉のコンディションを常に最高の状態に保たなければいけない」……ってがんじがらめになってたんですけど、今は喉のコンディションが多少気になっても「今日はこんなもんでしょ」と思えるようになりました(笑)。

Furui Riho

みんなを抱き締めに行く

──「言えないわ」から「Hello」まで1年も経っていないですけど、改めてすごい変化ですね。

本当に(笑)。アルバムは毎回成長の記録なんですけど、次はいったいどうなることやら、自分が一番楽しみにしているんです。

──その成長の歩みとライブパフォーマンスの進化というのは関係していますか?

関係していると思います。ライブでも「絶対にこうしなきゃいけない!」というようなプレッシャーから解放されて前より緊張しなくなったし、パフォーマンス中もより自然に動けるようになったので。

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──昨年10月に東京と大阪で行ったビルボードライブでのショーは、歌や演奏、パフォーマンスもすごく自由なものを感じました。そのあたりからですかね? ライブでの意識の変化というのは。

その時点ではそこまで意識していたわけではなかったんですけど、でもおっしゃる通り、きっかけにはなっていると思います。「音楽って、ライブって楽しい!」と思えたので。ゴスペルは生きた音楽で、1人ひとりの魂が混ざり合って大きなうねりができて飛び出していくもの。ビルボードライブのステージで歌いながら、そのことを思い出しました。昔は自由に音楽をやっていたのに、いつの間にか窮屈に考えてたなーって。

──9月からは「Dear my friends」と題した過去最大規模のツアーも控えています。

みんなを抱き締めに行く気持ちで、各地を回らせていただくつもりです。私はライブを通じて成長させてもらっている感覚があるし、ライブはエンタテインメント性もあったほうがきっと面白いので、今回のツアーもお楽しみがいっぱいの内容にしたいですね。

Furui Riho

公演情報

Furui Riho Live Tour 2025 -Dear my friends-

  • 2025年9月7日(日)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2025年9月13日(土)北海道 club COCOA
  • 2025年9月15日(月・祝)北海道 GOLDSTONE
  • 2025年9月20日(土)宮城県 仙台MACANA
  • 2025年10月4日(土)福岡県 DRUM Be-1
  • 2025年10月11日(土)香川県 高松DIME
  • 2025年10月18日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2025年11月2日(日)広島県 SECOND CRUTCH
  • 2025年11月3日(月・祝)岡山県 livehouse IMAGE
  • 2025年11月6日(木)北海道 ペニーレーン24
  • 2025年11月15日(土)大阪府 BIGCAT
  • 2025年11月24日(月・振休)東京都 EX THEATER ROPPONGI

プロフィール

Furui Riho(フルイリホ)

幼少期からゴスペルクワイアで培った音楽的ルーツをもとに、作詞作曲のみならず、ときには編曲にも携わる北海道出身のシンガーソングライター。2019年に初の配信シングル「Rebirth」をリリース。2022年に1stアルバム「Green Light」を発表し、2023年にはSpotify「RADAR: Early Noise 2023」に選出された。2024年4月には「LOA」「Super Star」「ピンクの髪」など、飛躍のきっかけとなった楽曲を収録した2ndアルバム「Love One Another」を発表。5月から6月にかけては同作を携えた全国5都市ツアーを行い、10月にライブ限定で披露してきた楽曲「Do What Makes You Happy」のタイトルを冠した初のビルボードライブツアーを開催した。2025年3月にZeppツアー「Furui Riho Zepp Tour 2025 "Vloooooom"」を開催。7月7日に京都アニメーションの新作テレビアニメ「CITY THE ANIMATION」のオープニング主題歌「Hello」を配信し、30日には「Hello」を表題曲として収録したニューシングルをリリースする。9月からは自身最大規模となる全国ツアー「Furui Riho Live Tour 2025 -Dear my friends-」で全国12カ所を巡る。