藤原さくら|歌い、演じ、そして遊ぶ 経験と縁を音にした「PLAY」

H ZETT Mが鍵盤に触れると「ざわっ……」

──福山雅治さんがプロデュースした「Soup」「好きよ 好きよ 好きよ」については、前回のインタビューでも詳しく伺いました(参照:藤原さくら「Soup」インタビュー)。改めてアルバムの中に置いてみて、違う表情が見えた部分ってありました?

ありましたね。ライブでは毎回必ず演奏してるんですが、ひさしぶりに原曲を聴くとドラマを思い出して懐かしい気持ちにもなりました。どちらも福山さんがドラマ用に書いてくださったものですし、佐野さくらとして歌っているので、曲順も悩んだんですが、結果的にはアルバムの1曲としてしっくり来たし、アクセントになってくれました。

藤原さくら

──11曲目のアップテンポな「SPECIAL DAY」は再びスペアザのYAGI & RYOTAによるプロデュースですね。毎日が“特別な1日”で、ときには喧嘩しても「♪昨日のふたりくり返さないで 今日はデートにいこう」という歌詞が印象的でした。

この曲はもともと、ケイウノというオーダーメイドジュエリーブランドのWeb CM用に書き下ろしました。そのとき知ったんですが、最近は結婚する際にもきちんとプロポーズをしない男性が、かなりの割合でいるそうなんですね。なんとなく流れでみたいなケースも多いらしい。一方で大多数の女性は、ちゃんと言葉で求婚されたいと願っていると。そんな統計を教えてもらったんです。私自身、別にフラッシュモブみたいなサプライズはしてくれなくていいけれど(笑)、プロポーズはしてもらいたいと思うので。照れくさい気持ちももちろんあるだろうけど、言葉の大切さが伝わればいいなあと思って歌にしました。

──この曲では、H ZETT Mさんがウーリッツァーを弾いています。

最高ですよね。Kan Sanoさんとはまた別系統のカッコいいピアノだなと思います。H ZETT Mさんは本当に謎というか。あまりにも引き出しが多すぎて、頭の中で何が起こっているのか、いまだに想像が付かない。彼が鍵盤に触れた瞬間、みんな「ざわっ……」ってなるんですよ(笑)。それくらいすごいプレイヤーだと思います。

大切な人と音楽で何かを共有したい

──ラストに収録されている「はんぶんこ」は永野亮さんのプロデュースです。首都医校、大阪医専、名古屋医専のCMソングにも使用されています。今回の「PLAY」ではもっとも、藤原さんのパーソナルな感情が素直に出ているように思えたのですが。

そうですね。新しい環境へと進む若者たちに向けた曲でもあったので……それこそ福岡から上京したときの気持ちだったり、自分自身がここ数年で経験したことを、「大切な人と分けあう」というテーマと重ねて描いてみました。子供の頃、私は自分の声が好きじゃなかったんです。歌がうまいなんて言われたこともなかったですし。でもやっぱり誰かには聴いてほしくて。よく、わざと部屋の窓を開けて弾き語りの練習をしていたんです(笑)。

──へええ、意外ですね。

藤原さくら

そんな狭い世界に生きていた私が、ボーカルスクールに通うようになって、先生の「そのままでいいじゃん」という言葉ですごく勇気付けられました。デビューしてからも、思いがけずドラマの主題歌を歌わせてもらうことになって、新しい出会いも経験し、今までとは違う視点から世界を見つめるきっかけもいただきました。音楽を続けていくうえで、自分にとって何がゴールなのかは、まだ全然わからない。でも一歩足を前に踏み出せば、そこから見えてくるものはもっとたくさんあると思いますし。そのうえで、大切な人と音楽で何かを共有したいという気持ちは、たぶん変わらないと思うんですね。

──なるほど。

なので、この曲ではできるだけ等身大の藤原さくらとして。例えば新しい環境を前にして不安を出している人とか、これから進路を決めようとしている人と、何かを「はんぶんこ」できればいいなと思って。自分を素直に振り返りながら書いています。

──5月27日からはワンマンツアーも始まります。最後にひと言抱負をお願いします。

昨年のツアーではいろんな楽器に挑戦したり、ライブの幅を広げる試行錯誤をいろいろ重ねていました。ライブハウスで歌っていた数年前に比べると、会場のキャパシティも大きくなって、パフォーマーとして求められるものも増えた。最近はほかのアーティストさんのライブを観に行っても「あ、こういう演出、自分もやってみたいな」と思うようになりましたね。藤原さくらの持ち味もしっかり生かしつつ、お客さんに心から楽しんでもらえるツアーにしたいです!

藤原さくら
藤原さくら「PLAY」
2017年5月10日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
藤原さくら「PLAY」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / VIZL-1149

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藤原さくら「PLAY」通常盤

通常盤 [CD]
3024円 / VICL-64771

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CD収録曲
  1. My Way
  2. Someday
  3. 春の歌
  4. play with me
  5. 好きよ 好きよ 好きよ
  6. sakura
  7. Necklace
  8. Soup
  9. play sick
  10. SPECIAL DAY
  11. はんぶんこ
初回限定盤DVD
  • Someday (Music Video)

<藤原さくら Special Live 2017 - Live at Bunkamura Orchard Hall 20170218 ->

  • Soup
  • Walking on the clouds
  • MC - Soup (reprise)
  • 500マイル
  • 1995
  • Necklace
  • Someday
  • 「かわいい」
  • 春の歌
ツアー情報
  • 2017年5月27日(土)埼玉県 戸田市文化会館
  • 2017年6月10日(土)広島県 上野学園ホール
  • 2017年6月16日(金)新潟県 新潟市音楽文化会館
  • 2017年6月18日(日)宮城県 仙台市民会館 大ホール
  • 2017年6月25日(日)福岡県 福岡市民会館
  • 2017年6月29日(木)北海道 道新ホール
  • 2017年7月1日(土)愛知県 名古屋市民会館
  • 2017年7月9日(日)大阪府 オリックス劇場
  • 2017年7月17日(月・祝)香川県 サンポートホール高松
  • 2017年7月21日(金)東京都 中野サンプラザホール
  • 2017年7月22日(土)東京都 中野サンプラザホール
藤原さくら(フジワラサクラ)
藤原さくら
福岡県出身の女性シンガーソングライター。幼少期からさまざまな音楽に親しみ、父親の影響で10歳からギターを弾き始める。高校進学後にオリジナル曲を作り始め、地元でライブ活動も行う。高校卒業を機に上京すると音楽活動を本格化させ、2015年3月にミニアルバム「à la carte」でSPEEDSTAR RECORDSからメジャーデビュー。2016年2月にメジャー1stフルアルバム「good morning」を発表した。また同年4月からフジテレビ系月9ドラマ「ラヴソング」に主演の福山雅治の相手役として出演。同作の主題歌「Soup」や劇中歌「好きよ 好きよ 好きよ」を歌い注目を集めた。2017年5月に、映画「3月のライオン」後編の主題歌に採用されたスピッツのカバー曲「春の歌」を含むメジャー2ndアルバム「PLAY」をリリース。