Fo'xTails|共に歩んできた4人の軌跡と選択

デビューしたときのがむしゃら感

──では、この5年間に作った中で最も思い入れのある曲を挙げてもらえますか?

一同 ええー!(一斉に過去の楽曲リストを見始める)

坂本 僕は「The LiBERTY」(2016年8月発売の5thシングル表題曲)ですね。これは当時、メンバーが辞めるという体の一部を奪われるようなつらい出来事があったあとに(参照:「決断はとても前向き」Fo'xTails、ドラマー峻洋が脱退)、みんなでまた前を向いて、新しいFo'xTailsをどういうものにしようかと考えて作った曲なんです。過去のシングル曲とは全然雰囲気が違って、初めてヘビーな曲をA面にしました。

takao しかも、アニメのタイアップだったしね。

坂本 そう。アニメに合うかどうかということすら考えずに作ったんですよ。それまではアニメの内容に寄り添って曲を作っていたけど、このときは「はんだくん」というギャグアニメのオープニングテーマだったのに、ギャグ要素のない曲をあえて持ってきたっていうのが印象深いですね。

takao しかも、アニメサイドがそれを受け入れてくれたこともすごくうれしかった。

坂本 おかげですごくいいオープニングになったし、いい化学反応が起きた曲ですね。

takao 僕らがランティスに入って初めて録ったのは、デビューシングル「GLITTER DAYS」のカップリング曲の「蛍火」でした。この曲の歌録りの前日には大阪でライブがあったり、いろいろと予定が詰まっている中でのレコーディングで、体力的には元気ではなかったんですけど、レコーディングスタジオが広かったことでテンションがすごく上がってたんですよ。その勢いで歌を録って、レコーディングし終わってからスタッフに呼ばれて、「メジャーデビュー決定しました!」って言われたんですよね。

鳴風 メジャーデビューが決まった瞬間にバイト全部辞めました。

一同 ははは(笑)。

takao みんな、それぐらいの気持ちがあったんですよ。このときのがむしゃら感はすごかったですね。俺も「GLITTER DAYS」の歌詞はこれまでで一番書き直しました。1コーラス目はスッと決まったけど、それ以降何度も書き直させられて、「こんなんじゃダメだよ!」ってディレクターに歌詞を書いた紙を投げられたり。もちろんムカついたけど、それと同時にすっげえ楽しかったんですよね。「これがメジャーか!」って。そうやって何度も直していくうちに曲も歌詞もどんどんよくなっていきました。

takaoが歌う前提で言葉を選んだ曲

──最後のシングルとなった「アトリア」も、3曲がうまいバランスで収まっていて、皮肉にもFo'xTailsの名刺代わりになる作品だと感じました。

takao 今までのシングルはメインの曲があって、2曲目に激しい曲、3曲目にミディアムな曲調のものを持ってきてたんですけど、「アトリア」ではそれがよりきれいな形で出せたと思います。僕たちは「GLITTER DAYS」みたいなさわやかなイメージが強かったので、そういう曲をメインにできたのはよかったですね。しかも、2曲目の「Try Me!!!!」はインディーズの頃から得意だった激しいロック調の曲にできたし、3曲目の「flow」は気持ちよく歌えたし、演奏できた。そういう手応えのある曲が3曲もそろったのがすごくよかったと思います。特に、「Try Me!!!!」と「flow」は解散を決めたあとに作った曲で。

──「flow」はファンへ向けた最後の手紙のような雰囲気がありますね。

takao これは鳴風が作詞作曲をしたんですけど、まるで自分の言葉のように、一番気持ちを込めて歌えました。これまで鳴風が書いてきた歌詞って、一見きれいなんだけど、少し毒を吐いている部分があったんですよ。だけど、この曲に関してはそういうことがまったくない。

鳴風 この曲はtakaoが歌う前提で言葉を選んだので。今までそういうことは気にしてなかったんですけど。

takao だから気持ちよく歌えたのかもしれないですね。これが最後にレコーディングした曲なんですけど、「ああ、これで終わりかあ……」という気持ちになりました。

──「アトリア」はテレビアニメ「『食戟のソーマ 餐ノ皿』遠月列車篇」のエンディングテーマで、放送は先日最終回を迎えました。皆さん、オンエアは観ましたか?

takao 観ました。フルコーラスで流していただいてすごくうれしかったですね。本当に感動しました。アニメはオープニングテーマのほうを印象深く受け取る人も多いと思うんですけど、今回フルで流してもらえたことで、エンディングってこういう強みがあるんだなと思いました。

──自分たちの曲で解散を見送られるようなところもあったんじゃないですか?

takao ああ、そうかもしれないですね。

鳴風 ギターソロで音量がちょっと下がりましたけど……全然気にしてないです。

takao それ、気にしてるよ!(笑)

Fo'xTails

俺たちの音楽はなくならない

──さて、8月1日に最後のライブが行われます。鳴風さんのツイートによるとセットリストもすでに決まったということですが、どんなライブにしたいですか?

takao 4人が「やっぱFo'xTailsと言えばこの曲だよね!」と思ったものを選んでるし、曲順も「やっぱこうだよな」と思えるものになってます。リハをやるにつれて変わっていく部分はあるかもしれないですけど、難しいことは一切考えてないですね。本来の俺たちを全部この日に出そうと思ってます。最後だからということで初めて来てくれる人たちもいると思うんですけど、そういう人たちにも何かを残せるライブにしたいです。

テラ 今、takaoくんが言ったみたいに、細かいことは本当に考えてなくて。ただやりきるだけと言うか。なおかつ、自分たちだけでなく、自分たちをこれまで支えてくれたお客さんやスタッフがみんな笑顔で終われるようなライブにできたら素敵だなと。個人としては、自分がこれまでの活動に対して後悔してる部分や、やりきったと思えなかった部分を悔いのないように出し切りたいです。

坂本 5年間にやってきたライブのいろんなエッセンスが詰まったセットリストになってるので、月並みですけど、Fo'xTailsの集大成を楽しめるライブをガツンとやって終わりたいと思います。

鳴風 最後をビシッと締められないようなやつが次のステップに向かっちゃダメだと思うんですよ。だから、メンバー1人ひとりがまた新しい道に進めるように、次もまたがんばれるようにやりたいなと思います。

──わかりました。では、最後に何か言い残しておくことはありますか?

takao なんだろう……これが本当に最後のインタビューだからなあ。

鳴風 ここはボーカルとしてビシッと。

takao ええー! そうですね……Fo'xTailsは解散するけど、俺たちの音楽はなくならないし、曲は生き続けるので、この先もずっと聴いてもらえるように俺たち個人としてがんばっていくし、そういう姿を見てFo'xTailsのことを思い出してもらえたらなと思います。

──そして、今はまだFo'xTailsを知らない人にも「この人はFo'xTailsってバンドをやってたのか。じゃあ、ちょっと聴いてみようかな」と思ってもらえるような活動をしていけたらいいですよね。

takao 自分たちのことをもっと知ってほしかったと思っているので、今後のFo'xTailsとしての一番の目標はそれですね!

ライブ情報
Fo'xTails LAST LIVE "Make One's Last Day"
  • 2018年8月1日(水)東京都 UNIT
Fo'xTails