都内レコーディングスタジオにて

4人へのインタビューから数日後、アルバム制作現場となる都内レコーディングスタジオを訪れた。

集合時間の13時にスタジオの扉を開けると、メンバーそれぞれが自分の楽器をセッティングしている。サチコとユウコはギターのロビーで弦を張り替え、ユウミはドラムをチューニング中だ。メンバーの集合は12時で、まずは楽器の音作りから始めるのだという。それからバンドで合わせて仮のトラックを録音し、聴き返して問題なかったらすぐに本番の録音を始めるそうだ。

「新鮮さがあるうちに録らないと、曲がだれちゃうんですよ。やっぱり、最初の勢いとか、曲のエネルギーってすごく大事なんで。早めに録れるように意識してます」と、サヤカ。1日のレコーディングが終わるのは、早くて夜の0時、遅いと深夜の2時や3時をまわることもあるのだとか。ユウミは自宅で作ってきたというお弁当とおにぎり持参だ。

「1日に必ず2曲録ることにしてるんですよ。それをノルマにしてるんです」（サチコ）

「しかも、納得するまで帰れないから。そういうときは、どうしても遅くなっちゃうよね」（ユウミ）

まずはユウミのサウンドチェックが終了。そのバスドラには、しっかりと「FLiP」のロゴが入っている。実はレンタルではなく自分のドラムセットをレコーディングで使うのは、今回が初めてなんだとか。その間、サチコとユウコはロビーで「テンポいくつだっけ？」「イントロは何小節？」と曲の構成を紙に書きながら確認しあっている。ミキサールームでは、メンバーからもらったという「女子力アップ×2 TOUR」のパーカーを着たプロデューサーのいしわたり淳治が、エンジニアと共にサウンドをチェックしている。

1時間ほどで音作りは終了。そして「今日も1日よろしくお願いします！」と4人がレコーディングブース内に入り、さっそく録音がスタートした。この日録音されていたのは、「ダンシングコベイン」という仮タイトルの、アップテンポなナンバー。4つ打ちの踊れるビートにグランジ感あるギターリフが絡む、FLiPらしいエネルギッシュなナンバーだ。カラッとした明るさのあるメロディには「ワンダーランド」にも通じる新たなモードを感じる。

一発録りのスタイルでレコーディングを終えると、4人がミキサールームに戻って録音したサウンドをチェック。「ここのフレーズはもうちょっと溜めたほうがいいかも」「Bメロのギターはどうする？」などと、意見を交わしあう。そして、いしわたり淳治が「テンポを確認したいから、仮歌を入れてみない？」と提案。サチコ1人がブースに入って、再び録音がスタート。

歌詞に「HELLO」「DANCE TO ME」というフレーズのあるボーカルのパートを、かなりこぶしを入れた節回しで歌ったサチコ。ミキサールームでメンバーと聴き返して「かなりゴス感あったよね？」「（都）はるみ感じゃない？」などと冗談を言い合いながらも、歌を乗せた曲のテンポを確認しあって、無事ベーシックトラックはOKとなった。

この日のスタジオ潜入は2時間ほどだったが、短い時間ながらも着々とアルバム制作が進んでいる様が垣間見えた。作業もかなりスムーズに進んでいるようだ。サチコいわく「今まで以上に遊び心を出したアルバム」という新作がどんな仕上がりになっているか、楽しみに待っていてほしい。