「女子」というのをナチュラルに出していきたい

──先日、ワンマンツアーの「女子力アップ×2 TOUR」を終えたばかりですよね。どんな感触がありました？

サチコ（Vo, G）　お客さんとFLiPの距離感が以前よりも近くなったのを感じられるツアーでしたね。SEが鳴った瞬間にざわめいたり、歓声が上がったりして。大きな声で一緒に歌ってくれて、みんながFLiPの音を求めて会場に足を運んでくれたというのが表情からわかるんです。

ユウコ（G）　最初は「一体この人たちはどんなライブをするんだろう？」っていう感じで、無表情で腕を組んでるような人もいるんですよ。でも、最後はみんな笑顔になってる。一体感があったよね。

サヤカ（B）　しかも、女の子がかなり増えてたんですよ。

──それは願ったり叶ったりじゃないですか？

ユウミ（Dr）　うれしいです！「FLiPで人生初のライブに行きます！」ってTwitterで声をかけてくれた女の子もいたし。そういう人にもFLiPの音が届いているのもうれしかった。

──そういえば、最近聞いた話なんですけれども、高校生の軽音部のバンドがどんな曲をコピーしているのかというテーマでミニコミ誌を作っているライターの人が知り合いにいまして。その人曰く、去年から今年にかけてコピーされる回数が増えたのがFLiPらしいんですよ。

全員　ほんと!? うれしい！

ユウミ　確かに、ツアーの各地で喋ったファンの子の中にも「FliPをコピーしてる」って話をしてくれる人がいたんですよ。

サチコ　同性に聴いてもらいたいとは思ってましたからね。サウンドとしても歌詞としても、FLiPの音楽を男女問わず身近に感じてほしい、共感してほしいという気持ちはありますから。

──ちなみに「女子力アップ×2 TOUR」ツアーと名付けたのは？

ユウミ　私がつけたんですけど、女の子にもライブに足を運んでほしいという気持ちがあったんですよね。これまで「男の人に負けないぞ」っていう、ガツガツした面を出してきたんですけど、これからは“女子”っていうのを肯定的に見せたいというか。そこの良さも出していきたいと思うので。

サチコ　サウンド的にも、FLiPの存在としても、“女子”というのをナチュラルに出していこうと思うんですよね。

「ワンダーランド」は初めてメジャーコードで作った曲

──シングルの「ワンダーランド」も、今までの曲に比べてもさらに明るくて開放的なイメージですよね。それは去年からの変化としてあったんでしょうか？

サチコ　そうですね。「ワンダーランド」ができた時期が去年の9月頃なので。次のシングルやアルバムに向けたビジョンは去年末から作り始めてたんですよ。去年1stアルバムを出して、次のステージはどういうものを作っていこうかなって、気持ちもシフトして。今やりたい音楽はなんだろう？とか、FLiPはどんな存在でいたいんだろう？とか、みんなで話し合ったことがあったんです。

──どんな結論が出たんですか？

サチコ　バンドとしてもっとありのままでいたい、素直な感情や気持ちを音に表現していきたいという気持ちが強かったですね。今までのFLiPのソリッド感とかマイナー感、エッジの効いたものがベーシックにありながらも、その固定概念に縛られず、もっとフリーに音楽を作りたい。そう思ってできた曲が「ワンダーランド」なんです。

──それで曲の雰囲気もかなり変わったんですね。

サチコ　これ、初めてメジャーコードで作った曲なんです。今までだったら「何かこれ違うんじゃない？」って拒絶してたサウンドかもしれないけど、今のFLiPだったら躊躇なく進められるんじゃないかなって思ったんで。

ユウミ　今までのFLiPにはなかったテイストだけど、サチコから出てくる素直な音なんだなって思いましたね。メロディもキャッチーだし、いい曲だなって。

サヤカ　メロディが覚えやすいなって思って。今までにないサウンド感になるし、この曲で新しいところに行けそうな気はしましたね。

ユウコ　でも、今までこういう曲を作ったことがなかったんで。最初は自分の中に取り入れるのは苦労しました。レコーディングしている間も「ここ、FLiPのスタジオじゃないんじゃない？」って言ったり（笑）。ギターも、今までと勝手が違って苦労したんですよ。でも、この曲を作ってほんとに良かったなって思った。