変わらないのは赤ちゃんの香り
──初期の齋藤さんは赤ちゃんみたいだったと諸橋さんはおっしゃいましたが、デビューからの6年間を通してどんな点が大きく変わったのでしょうか?
諸橋 顔も大人になりましたし、ステージングも大人っぽさを感じるようになりました。でもこの前、香りを嗅いだら赤ちゃんでした(笑)。
佐々木 ミルクの香りがするよね。
諸橋 首の後ろってその人のもともとの体臭があると思うんですけど、樹愛羅は本当に赤ちゃんの香りがします!(笑)
大谷 本当……?(齋藤の首の香りをかぎながら)確かに、ミルクっぽい!
諸橋 その変わらなさに安心します(笑)。香水をつけてないのに、とてもいい香りがするんですよ。
齋藤 みんなレッスンの合間に嗅いでくるんです。香水をつけたほうがいいのかなと思ってるんですけど……。
諸橋 つけなくていい! そのままがいいよ。
──ビジュアルやパフォーマンス面が大きく進化している分、そういうところで安心するんですね(笑)。
大谷 ビジュアルに関して言うと、私、樹愛羅をすごく参考にしています。ファッションやメイクがとてもかわいくて。 私は、自分でアパレルブランド(「Rosé Muse」)をプロデュースしているんですけど、そのデザインも樹愛羅が着そうなものをイメージしています。
齋藤 えー、うれしい! 私 「Rosé Muse」が大好きなんですよ。
佐々木 樹愛羅は内面も変わったと思います。昔からけっこう勝負強いところがあったし、運もいいし、持てるもの全部を持っている人だなとは感じていて。それって本人が意識して身に付けているわけではなく、天から与えられたものなんですよね。今はそこに努力の気持ちも加わって、最強になったと思います。
齋藤 えー、自分としては逆に弱くなった気がする。初期の頃は本当に子供だったから何も感じていなかっただけで。ほかのみんなは活動を重ねるにつれ、メンタル面も含めてどんどん強くなっていってると思うのですが、私はそこに遅れがある気がする。まだまだ弱いし、乗り越えきれてない部分があるので、今回のシングルをきっかけにみんなに追いつきたいです。
諸橋 でも、樹愛羅は初期からずっとメンタルが安定していてすごいと思う。落ち込んでいる姿を見たことがない。逆にすごく機嫌がいいところも見たことがないけど(笑)。いつでも一緒。私は落ち込んだり、頭がパンクしそうになったりすることもあるのに。本人としては流れに身を任せて生きてるってことなのかもしれないけど、それって大事だことだなと思います。
齋藤 昔から自分の感情を表に出したくないんですよ。内側にはいろいろな感情があって、怒っていたり機嫌が悪かったりするときもあるんですけど、それを悟られたくないんです。少しでも表に出したら、一気にあふれちゃうと思います。あと、周りに気を使わせたくないという思いもあります。
諸橋 それがやっぱり大人だなと思う。
齋藤 自分のいいところでもあるし、悪いところでもあると思います。
佐々木 1回見たいよね。爆発する樹愛羅(笑)。ゲームをやっているときと、眠いときだけ少し感情が表に出るけど。眠いときは少しだけ機嫌が悪くなるんです(笑)。
諸橋 でも、樹愛羅は昔、「私は絶対にセンターになりたいです」と言っていたんですよ。それをちゃんと叶えているからすごいです。初期の頃はなんだかメラメラしていたよね?
佐々木 初期の頃は樹愛羅に限らず、メンバーみんなメラメラしていたと思う。若くて、まだ何もわかってなかったから。
瀧脇 樹愛羅は、メンバーに対する態度も変わったと思います。初期は距離感があったというか、何を聞いても肯定しかしなかったんです。
諸橋 「そだね、そだね」って。
瀧脇 今は最年長のさなつん(諸橋)にいじられて言い返す場面もありますし、殻を破って変わったのかなと感じています。
諸橋 今はお互いにいじり倒してます(笑)。
齋藤 最初の頃は、メンバーみんなお姉ちゃんっていうイメージで。私は小学校を卒業したばっかりだったし、自分から全然話しかけられなくて、話しかけられても「そうだね」しか言えなかったんです。最近はちょっとずつ変わり始めました(笑)。
女性にとても刺さる歌詞
──「ラストノートしか知らない」の話に戻りますが、ラストノートというのは香水をつけて約2時間後から、香りが消えるまでの香りを表す言葉だそうで。ラストノートしか知らないということは、相手が自分の前に誰かと会っている、自分が一番じゃないということを意味してるんですよね。
諸橋 私は、香水が好きでたくさん集めているんですけど、ラストノートという言葉を知らなくて、交換日記みたいなものだと思っていたんですよ(笑)。切ない恋のストーリーだし、友達が「歌詞がとても刺さる」と言っていて、やっぱり女性の共感を呼ぶ歌詞なんだと実感しました。確かに人間って嗅覚が一番記憶に残ると言われていますし、香りとともに昔の思い出がフラッシュバックしたりするじゃないですか。香水の香りって人によっては切ない記憶につながるものなんだろうなって思いました。
齋藤 この曲の主人公は恋愛に慣れてない若い世代で、年上の相手に依存しちゃっているのかもしれないです。
──ミュージックビデオはどう解釈しました? 切ない内容ながら、最後は齋藤さんの笑顔で終わっていますが。
諸橋 「ラストノートしか知らないままでいい」という歌詞の通り、割り切った笑顔なんだと思います。
齋藤 最後のシーンでエスカレーターを下っていくのも、落ちていくことを表しているのかなって。決してハッピーエンドとは言えないけど、この曲の主人公にとってはハッピーエンドなのかもしれない。MVはファンの方の間でも解釈が分かれていて、最後の笑顔のシーンは現実ではなく、想像の世界を描いているのかなとも思いました。
──その解釈だと、相当に悲しいストーリーですね。レコーディングはどうでしたか? いつも以上に大人びた、切ない歌い方を意識したんでしょうか。
佐々木 そうですね。1曲を通して音程の高低差が大きいんですよ。Aメロは私には声が出ないくらい低いのですが、逆に樹愛羅や笙古は低い音程が得意で、きれいに声が出ていました。
瀧脇 私のソロパートが2番の頭の「消えそうなライトに」という歌詞なんですけど、さなつんの歌い方を想像しながら歌いました。さなつんだったらここにこうアクセントを付けるだろうなって。
諸橋 うれしい。「ラストノートしか知らない」は全体的に難易度が高いんですよ。ハモリもありますし。でもさいたまスーパーアリーナで披露したとき、みんなの声がきれいに会場に響いていて感動しました。
初披露するとき、今回のシングルの中で一番緊張する曲
──シングルには大谷さん、佐々木さん、野口さん、諸橋さんが歌う楽曲「どこが好きか言って」も収録されます。こちらも大人びた雰囲気で、アコースティックなサウンドと4人のしっとりした歌声が印象的です。
佐々木 この曲も、衣織がセンターのカップリング曲「狂想カタストロフィ」も切ない恋の歌で、指原さんが心配になりました(笑)。
諸橋 冬だからかな(笑)。
──2019年発表の6thシングル「ズルいよ ズルいね」以降、=LOVEは悲恋を歌うことが多いですよね。
佐々木 その中でも、1作のシングルに3曲もそういう曲が入っているのは珍しいですね。その代わり、もう1つのカップリング曲「『ドライブ デート 都内』」がとても明るい曲なので、バランスは取れていると思います。
諸橋 「どこが好きか言って」は音源をいただいたときから歌割りが決まっていて。急なスケジュールでレコーディングをしたんですよ。
佐々木 完成した音源を聴いたときに、沙夏の歌い方がとてもいいなと感じました。いつもはほかのメンバーの歌い方を参考にしたり、温度感を合わせたりするんですけど、今回私はレコーディングの順番が最初だったこともあり、わりとさらっとした温度感で歌ったんですよ。
諸橋 逆に私は最後にレコーディングして。みんなの声が冬にぴったりな仕上がりだなと感じました。
佐々木 大人な雰囲気で、お姉さんって感じの曲ですね。(大谷と諸橋の)お姉さん組がいるので。
諸橋 振付もすごくかわいいんですよ。
大谷 おしゃれで大人っぽい曲だなと思いました。歌唱メンバーの並びを見たときに少し焦ったんですけど、歌もダンスも表現を磨きました。
佐々木 みりにゃ(大谷)の歌声は色気があるよね。さなつんみたいに色気全開という感じではなく、隠れた色気というか。
諸橋 うん、かわいい。「おんなじにならない」というパートの消えそうな声がいい。
齋藤 みりにゃの高い音のときの柔らかい声と、ちょっと音程が低くなったときの地声っぽい歌声の差が好きです。
諸橋 そう言ってもらえるとすごくありがたいです。
──ちゃんと“四者四様”の歌声になってますよね。ライブで披露されるのが楽しみです。
佐々木 ライブで歌ったら曲の印象が変わりそうですね。でも初披露するとき、今回のシングルの中でこの曲が一番緊張するかも……!
諸橋 がんばります!