私立恵比寿中学「indigo hour」メンバー&職員インタビュー|“永遠に中学生”が表現する“永遠の青春” (3/4)

“理想郷”と“天国”、姉メン&妹メンの意外な違い

──アルバム後半には高学年メンバーによる「Hello another world」、低学年メンバーによる「STAY POP」と5人ずつに分かれての楽曲が収録されています。この2曲は先の大学芸会で初披露されましたが、キャリア10年以上のメンバーと低学年メンバーが5:5になっている今のグループ構成は面白いなと改めて感じる2曲でもあります。

小林 「Hello another world」は、これ個人的な話になっちゃうんですけど、胎動を感じるというか……。

中山 えー!! 何それ!?

小林歌穂

小林歌穂

中山莉子

中山莉子

小林 お母さんのお腹の中を感じたというか(笑)、そのくらい心地よい雰囲気。羊水に浮かんでた頃までさかのぼったんですよ私は。

安本 すごい感性だよ!(笑)

小林 長年寄り添ってるからこその安心感も含めてそう感じたのかなって。

真山 ちょっと面白いなと感じているのが、高学年メンバーだと「paradise」と表現するところを、低学年メンバーの「STAY POP」では「heaven」って表現しているところ。こっちは理想郷だけど、そっちは天国なんだーって。

小久保 なるほどー。

真山 どっちも未来のことを歌っているのに、その違いがあるんだなって。「Hello another world」は過去を振り返るところから始まって最終的にそれぞれの未来へ、というイメージなんですけど、過去を担ってきた私たちだからこそ未来へつなげるために、自分たちのやってきたことに改めて誇りを持つような気持ちで優しく歌いたいなと思ってレコーディングに挑みました。

真山りか

真山りか

風見 すごい分析。

星名 「関ジャム」みたいだね(笑)。

──では低学年メンバーの「STAY POP」はどうでしょう。

桜木 ハイ! この曲はホントにめちゃくちゃハッピーだよね。

仲村 うんうん。

桜木心菜

桜木心菜

仲村悠菜

仲村悠菜

桜木 どんな悲しい思いを抱えてる人でも、最初の「Pop Pop Pop Pop」を聴けば夢から覚める。

仲村 夢から?(笑)

桜木 ポップな気持ちになれるし、転調とかもすごく楽しいし、どんな明るい振付になるんだろう?と思ってたらすごく大人っぽかったり、観ても楽しいし聴いても楽しい。

星名 ギャルいな……。

小久保 最初に「Pop Pop Pop Pop」って明るく始まったと思ったらAメロでいきなり静かになったり、展開が多くて聴いてて飽きない曲だなと思います。1サビが終わったら突然ラップが始まって、鳥が飛んでる感じの歌になって……。

小久保柚乃

小久保柚乃

桜木 鳥飛ぶよね。

──リリースよりも先にライブで歌うことになりましたが、いかがでしたか?

風見 最初のポッポッポッポッてところが覚えやすいから、初披露なのにファミリーの皆さんも一緒に歌ってくださったんですよ。アルバムの曲はどういうコールが付くのかまだ想像がつかないけど、「STAY POP」はファミリーの皆さんも参加して楽しめるところがたくさんあるので、どんどん歌っていきたいです。

風見和香

風見和香

──年齢差を逆手に取った表現ができることはグループの強みになっているし、なんなら5、6曲ずつ完全に分かれて1つのアルバムを作るようなコンセプチュアルなことも可能ですよね。

安本 ひさしぶりに新メンバーを入れるとなったときに、10年やってきた私たちはこれからどういう表現をしていけばいいんだろう?と考えたんですよ。そのときも、最初にメンバーの中でも「昔よくやってたユニット曲で、年齢差があるからこその表現ができると思う」という話になって。ずっとやりたくてやりたくて、でもスタッフさんに話しても「うーん」というリアクションだったから(笑)、「Hello another world」と「STAY POP」でやっとそれが実現して「やっぱりこれはいろんな可能性が広がるな」と思いました。

星名 でも意外と、この世代の子たちって私たちが同じくらいの頃よりも、けっこう大人っぽいんですよ。自分たちの頃よりも情報が入ってきやすかったりするから、感覚がそこまで離れてないのかなって。スタッフさんたちも最初の頃は感覚的な差をなくそう、なくそうと考えすぎていて、ユニットで分かれたりすることを考えられなかったと思うんです。だけど1、2年過ごしてみて「そんなこともないな」とわかってきたというか、感覚的な差が実はあまりないからできることが増えてきた。この衣装も、当時の私たちが着てたらもっと幼く見えたと思う。

星名美怜

星名美怜

真山 アイドルの在り方自体が変化しましたよね。成長を見守る形から、完成に近いものが好まれるようになったのかしら。

星名 かしら(笑)。

──「永遠に中学生」というコンセプトが表す“中学生”の感覚自体に変化があるけど、「永遠の青春」という新たな視点で捉え直したことで「永遠に中学生」自体をアップデートできたのかもしれませんね。

安本 おおー。

真山 それ、これから使わせていただこうと思います(笑)。

小林 助かります(笑)。

やっぱ私立恵比寿中学に選ばれたような子たちだから……

──姉妹ユニット曲に挟まれた8曲目の「トーキョーズ・ウェイ!」はテレビアニメ「マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編」のエンディングテーマとして1月に先行配信されました。

小林 「トーキョーズ・ウェイ!」大好き。

星名 大好き大好き。この曲は今までのイメージにも近い曲かもしれないですね。私立恵比寿中学と言えば!みたいな。

小林 サウンドがおしゃれで、でもシュールで、みたいな。

──シュッとしたいのか、いなたくしたいのか、目的がわからない曲ですよね(笑)。

安本 「どっちやりたいの?」って言われるけど、ウチらはどっちもやりたいんですよ!(笑)

真山 私は「マッシュル」の原作も読んでるから、なんでトーキョーなんだろう?って思ってました。

星名 恵比寿って入れたかっただけなんじゃないかな(笑)。

──そしてアルバムは10人体制最初のオリジナルソング「kyo-do?」で締めくくられます(参照:私立恵比寿中学「kyo-do?」インタビュー)。「kyo-do?」は新たな体制でのアップデートを試みている楽曲だなと感じたものの、この時点ではどこに向かうのかあまり想像ができなかったんですよね。

安本 MVを観たとき思いました。かわいいことをちょっと無理してやってんなって(笑)。低学年メンバーの5人はかわいいんだけど、どことなく……やっぱ私立恵比寿中学に選ばれたような子たちだから、なんか無理してんなあと。

桜木 キャッハッハ!!

安本 学校が舞台でイエーイイエーイってやってるけど、なーんか違和感があって(笑)。表情の作り方とかに、やっぱ王道で終われない「私立恵比寿中学らしさ」が出ちゃってる。

安本彩花

安本彩花

──その“らしさ”があればこんな新しい表現もできる……という蓄積が、この「indigo hour」というアルバムなのかもしれませんね。

真山 そうですね。ここに「kyo-do?」が入ったことで、まとまった印象になっていると思います。ここにきて最近「kyo-do?」が好きなんですよ。

中山 うん、同じく同じく。

わからせてやります!

──皆さんにとってトライの多いアルバムですけど、桜井さんと仲村さんはそもそもアルバムへの参加自体が初めてですよね。お二人はこのアルバムのことを、変化していく私立恵比寿中学のことをどう感じているのでしょう。

仲村 私とえまは、メンバーになる前から「イート・ザ・大目玉」とか「星の数え方」みたいなバッチバチに歌う曲が好きだったので、ついていけるようにがんばらないと!と気合いを入れててたんですけど、入ったあとにいただいた曲が「kyo-do?」とか「Summer Glitter」のような声を張らない曲だったので「あれ、思ってたのと違う」って……。

小林 あー、そうだよねえ。

仲村 2人のデビューになった2022年の大学芸会では「お腹の底から声を出しなさい!」って教えられて、最初がそれだったから、「kyo-do?」とか「Summer Glitter」はホントに難しかったです。もともとの「私立恵比寿中学らしさ」を持ってない私たちが新しさをどう表現したらいいんだろうねって悩んでたんですけど、えーと……うまく話せないなあ……。

真山 いいよいいよ、思ったように話してみて。

仲村 「kyo-do?」は私たちが初めてレコーディングに参加した大事な曲なのに、ファミリーの皆さんがこんな感じで(首を傾げる仕草)聴いていて。でも11月くらいのライブで披露したときはイントロが流れた瞬間に「『kyo-do?』だー!」って感じで歓声が沸いたんです。私とえまはそれがうれしくて。どんなふうに見せるかをしっかり考えたら、どんな曲でも「私立恵比寿中学っぽい」と思ってもらえるんだなと思いました。

桜井 私立恵比寿中学は昔からいっぱい変化してきたじゃないですか。で、また新たにこのアルバムで今までとも違った変化があるなと感じていて。その変化の歴史の中に自分も関われたというか、一緒に変化を作れたことがすごくうれしいです。今までになかったものがいっぱいあるけど、皆さんが言ってたように、どこかに私立恵比寿中学っぽさがあるんだなあと感じます。デモを聴いたときは新しい曲調だなと感じていた曲も、みんなの声が入ると「あ、私立恵比寿中学っぽい」って感じる。アルバムが発売されたあとはツアーも始まりますし、私たちらしさを大事にしながら歌っていきたいなと思います。

桜井えま

桜井えま

──変化に関われたのがうれしいとおっしゃいましたけど、グループが変化することができたのは、新しいメンバーが入ってきたからですよね。

星名 そうそう、そうなんですよ! そこが大事。

中山 私、普段から自分たちの曲をすっごい聴くんですよ。最近は移動中も「indigo hour」を聴いてる。最新の私立恵比寿中学はすごくいいなと思うし、1月の大学芸会のときは新曲だけじゃなく「梅」とか昔の曲も聴き返しましたけど、過去曲もいいなと思うし……えーと、何が言いたいんだろ。

小林 何が言いたいんだ(笑)。

中山 何をやっても結局どんどん馴染んでいくというか、どんどん私立恵比寿中学になっていくんですよ。最近それを感じて……無敵だなあと思いました(笑)。

──おっしゃることはよくわかります。何をやっても私立恵比寿中学に“なってしまう”というような何かがあると感じますけど、その何かがどこからくるものなのか。なぜなんでしょうね?

星名 でも、その答えがわかっちゃったら面白くなくない? わかんないままいろんなことをやらせてもらってるから、きっと長く続けていられるんだと思います。

安本 確かに。狙っちゃいけないんだね。

──何をやっても私立恵比寿中学に“なってしまう”というのは皆さんの個性、強みだと思いますけど、逆に今の弱みはなんだと思いますか?

星名 行き先をちゃんと決めてないことじゃない?

真山 ああー、確かにね(笑)。今は「もう一度さいたまスーパーアリーナに立つ」という目標がありますから。

星名 でも普通は、そのためにああしてこうして……と細かく設定していくと思うんですよ。それがないがゆえに、自由に泳がされてる私たち、みたいな(笑)。だから面白いってのもあると思うけど。

真山 この柔軟さが強みであり弱みであり。ただ、柔軟であればあるほどわかりにくくなるじゃないですか。でもそれがめちゃくちゃ私たちっぽいとも言える。今回のアルバムは「何にでもなれる私立恵比寿中学」をドンと出しているというある種のわかりやすさがあるので、そこをしっかり見せていけたら。

星名 着せ替え人形みたいな感じ?

真山 そうそうそう。今回の私たちはこんな感じ。イエイ。みたいな。

私立恵比寿中学

私立恵比寿中学

──なるほど。先輩たちはこうおっしゃってますが、これからの私立恵比寿中学はどうなっていくと思いますか? 仲村さん。

安本 オッ。

仲村 えっと……このアルバムを、まだ私たちのことを知らない人たちにも届けたいし、同年代の人にも刺していきたいし……。

小久保 刺すんだ(笑)。

星名 力技(笑)。

風見 刺していこうね(笑)。

私立恵比寿中学

私立恵比寿中学

仲村 もともとのファミリーの方にはもしかしたら賛否あるかもしれませんけど、今ちょっと「ん?」って思ってる人にも、ライブを通して「今の私立恵比寿中学もいいな」と思ってもらいたいし、新しく来てくれた方には「昔の曲もいいな」と思ってもらえるようにがんばります!

──要するに古参も新規も「わからせたる」ってことですね。

仲村 わからせてやります!(笑)

2024年3月5日更新