私立恵比寿中学|そんなこんなで10周年 これがエビ中の「MUSiC」

エビ中の歌唱力の限界を引き出す「星の数え方」

──7曲目の「BUZZER BEATER」は去年の12月、アルバム発売の情報よりも前に発表されました(参照:エビ中が全国高校バスケを歌で応援、新曲「BUZZER BEATER」MV公開)。

真山 ストレートな応援ソングですね。高校バスケの「SoftBankウインターカップ2018」のテーマソングに選ばれた曲なので、かなりまっすぐな歌詞で。

安本 みんなでウインターカップを観に行ったんですよ。試合が終わってこの曲が流れてきたときはもう、感動したよね。「この気持ち……なんだ!?」って。

真山 この経験はなかなかないですよ。家族でも友達でもない人の試合を観て、胸が熱くなるなんて。試合で感動しているところで「BUZZER BEATER」が流れてきて「何これこれいい曲じゃん。ああ私たちか」みたいな(笑)。

──次の「日進月歩」はライブでは以前から披露されていたものの、音源化されるのは初めてですね。6人で初めて挑んだ日本武道館でも歌われました。

安本 ライブで歌い込みすぎて、ライブならではのぶつけ方に慣れていたので、レコーディングのときは「もうちょっと落ち着いて歌って」って言われました(笑)。ああ、そういうこともあるんだと。

星名 いつもはレコーディングしたあとライブで歌ってだんだん自分のものにしていくのに、この曲は先に自分の歌い方ができあがったあとでレコーディングしたから、一瞬で終わりました。

真山 実は「エビクラシー」のときの候補曲でもあったので、一度レコーディングはしてたんですけど、6人になったので改めて録り直したんです。ライブでしか歌ってなかったから、どんな歌詞なのかようやくわかる。

──9曲目の「星の数え方」もエビ中にとって新たな挑戦と言える、音楽的にハイレベルなものを要求されるタイプのバラードですね。

安本 超難しかったです。

柏木 「歌唱力の限界を」みたいなこと言ってたよね。エビ中の今の歌唱力を限界まで引き出す、というテーマで。レコーディングに一番時間をかけた曲だと思います。

安本 私たちがどれぐらい歌えるかわからないから、ディレクションの方には「一度最高のものを目指して歌ってもらうけど、できなかったらもう少し簡単なものに変えるかも」と言われてたんですけど、結局そのまま最高のものを……うちらはできたね(笑)。

真山 おー、ドヤってる(笑)。3声の和音は初めてで、「イート・ザ・大目玉」の2声ですら大変だったんですけど、この曲は3声なのでライブがどうなるか。

安本 でもライブでバシッと決めたら超絶カッコいいよ。

星名 てか泣かせたい、みんなを(笑)。

小林 「お願いジーザス」(2016年4月発売の3rdアルバム「穴空」収録曲)の次にレコーディングで涙が止まらなかった曲です。壮大すぎて、涙が止まらなくなって……。

──それは曲の世界観に入り込みすぎて?

小林 わかんないの、わかんないの。この曲のストーリーについて話して、みんなはこう思ってたって聞いたら、ボイトレの最中からずーっと涙が止まらなくなって(笑)。だからホントに……みんなにも星を数えてほしいです。

中山 そのまま!

ももクロとの邂逅、そしておじさん締め

──そして10曲目の「COLOR feat.ももいろクローバーZ」ではついにももクロ姉さんとの共演が。

真山 去年はももクロ姉さんが10周年で、スタプラ(Stardust planet。ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学らスターダストプロモーションのアイドルグループが所属するセクション)のイベントでは「姉さんの10周年を盛り上げよう!」とエビ中も参加させてもらって、今年は私たちのアルバムに姉さんたちが参加してくれて。ずっとももクロの背中を見て「私たちもがんばろう」と活動してきて、この10周年というタイミングで2組で初めて一緒の作品を作れたことが……うれしいです、ホント素直に。ずっと私たちのことを見てくださっているファンの方もうれしいと思うんですよね。エビ中がももクロの前座でステージに立っていた頃を知っている方は特に。

柏木 ライブで一緒に歌いたいね。

一同 歌いたい!

──いつかは観られるであろうステージ上でのコラボが、どのタイミングで実現するのかも楽しみですね。

星名 実現したら泣いちゃいそう!

──競い合うわけではないけれど、どこか意識しながら個性を探りながら進んできた2組だと思うんですよね。

真山 そうですね……そう考えるとすごいグッとくるな。校長(エビ中のチーフマネージャー・藤井ユーイチ氏)が「ももクロとは違う方向に行こう」とエビ中のことを考えてくれて、エビ中なりの道を探ってきたんですよ。作詞作曲のたむらぱんさんはエビ中にたくさん曲提供してくださっている方ですけど、「COLOR」はももクロとエビ中を互いに引き寄せてくれるような曲になっていて。楽しくも、ちょっと感情があふれて泣き出しそうになる曲ですね。

──シングル曲の「シンガロン・シンガソン」は6人バージョンでの再録音ですが、改めてキャッチーで強い曲だなと思いました。

安本 最近エビ中を知ってくださった人が、今までの曲を調べて「これが好き!」と言ってくれるのが「シンガロン・シンガソン」なんですよ。それだけみんなの耳にフィットするキャッチーな曲なんだなって思います。

星名 6人で初めてのステージに立ったとき、1曲目に選んだのもこの曲だったし、私たちにとっても大きな1曲ですね。

──アルバム終盤の流れが「シンガロン・シンガソン」で大団円を迎えたところで、最後に「元気しかない!」が出てくるという(笑)。

星名 やっぱエビ中はエビ中だったんだな、みたいな(笑)。謎の安心感。

柏木 最初と最後に変わらないエビ中感があって、中がガラリと違うアルバム。

真山 レコーディングはみんないっぺんにやったんですけど、歌えてないのに採用されてるんですよ(笑)。

星名 指示がおかしかったもんね。「こうしてください」と言われることが普通のレコーディングとは違う。

──指示を出したのは、楽曲提供したニューロティカが?

小林 そうなんですよ。しかも目の前でピエロのお化粧をして(笑)。

中山 ピエロ準備中のところを見ちゃっていいのかなって(笑)。

──作詞はグループ魂の暴動こと大人計画の宮藤官九郎さんですね。

柏木 去年グループ魂さんの曲に参加させてもらって(参照:グループ魂「もうすっかりNO FUTURE!」MVは暴動監督作、エビ中ひなたも登場)、そのときは私が港カヲルさんと入れ替わっちゃったんですけど、今回はその続編で、みんなおじさんになっちゃう(笑)。

中山 このアルバム、おじさん締めか。

安本 二次会のカラオケとかで、おじさんたちにネクタイ頭に巻いて歌ってもらいたいです(笑)。ヤケクソになって歌ってもらえたらちょっとうれしい。

好き好き同士がラブな感じでハッピーに

──通算5枚目のオリジナルアルバムを作り上げる中で改めて気付いたこと、エビ中というグループについて感じたことは?

星名 エビ中は楽曲に恵まれているなって改めて思いました。また新しい武器が増えた。「まだこんなジャンルあったんだ」という発見と、そこに向き合わせてもらえることが……しかも一応“アイドル”という枠組の中で、こんなにいろんな音楽を歌っていられるのは幸せなことだなって。

──アイドルでいることについて、皆さんも考えることはありますか? グループとしては10年、メンバーそれぞれにアイドルとしての経験を重ねてきて、節目を迎えるこのタイミングで。

真山 歌を歌ったり、ドラマに出たり……アイドルという職業自体が、非常に自由度の高いものだと思うんですね。こんなに幅広いジャンルの曲を歌えるのもアイドルならではで。

──どんなジャンルも飲み込んでポップに消化するアイドルというシーンそのものが、この10年でどんどん進化して熟成されていて、それをグループとして証明しているのがエビ中なのかなとも思います。

真山 それぞれの道を極めている人からは批判もあるかもしれないけど、私たちはいまだに「中学生なんですか?」って言われるし、子供に見られてるんだったら何をしてもいいんじゃないかという開き直りもあって(笑)。「子供だけどこういうこともできる」と「大人だからこういうこともできる」がどちらもあるのがエビ中で、どっちもうまく利用して好きなことやっちゃえ!というのが今のエビ中らしさかなと思いますね。

──このアルバムリリースを筆頭に、今年は10周年ということでいろんな予定がありますよね。春にはツアーがあって、初夏にはエビ中“開校”10周年イベントも決定していて、アルバムをもう1枚出して。ほかにも発表されていないことがまだまだあるのかなと。

中山 あと何があるんだろう……私たちも知らないことがたぶんたくさんあるんですよ。

柏木 エビ中ファミリー(エビ中ファンの呼称)が一番大変かもしれない。

中山 お金がなくなる1年。アルバム2枚なんてけっこうな値段ですよ? 来年は貯める1年にしましょう。

──皆さんは10周年だからこそこうしたい、こんなことがしたいという特別な思いはありますか?

星名 10周年はお祝いだから、来年からがまた試練だと思うんですよ。「10周年をお祝いしたからもう見納めでいいや」と思われたくないし、ちゃんと来年につながるものを見せなくちゃいけない。

──グループの歴史を一番長く知る真山さんはいかがですか?

真山 振られると思った(笑)。5周年のときは、5年だって十分長いのにメンバーもスタッフさんも意外とさらっとしてたんですよ。今年はこういうふうに節目を、みんなで同じ気持ちで歩めていることが何よりうれしくて。これからファミリーの皆さんと一緒に1年盛り上げていけたらいいですね。とにかくうれしいです。10年も続けさせてもらえることなんてなかなかないし。彩ちゃんなんてしらっと聞いてるけど、加入は私と2カ月しか変わらないですからね(笑)。

柏木 いや、2カ月は大きいよね彩ちゃん。大先輩だよ。

安本 みにちあ☆ベアーズ(安本がエビ中加入以前に所属していたチアグループ)で「姉さん輝いてるなあ」と思って見てましたから(笑)。

星名 「ゴー! ファイ! ウィン!」って(笑)。

──では2番目にエビ中の歴史を知っている安本さんが、インタビューをビシッと締めてください。

安本 えー、なんだろ。……ラブがあふれればいいですよね。

真山 何それ(笑)。愛じゃなくてラブなんだ。

安本 私はエビ中が好きだし、ファミリーのみんなもエビ中のことが好きでいてくれていると思うので、好き好き同士がラブな感じでハッピーに、ね。……大丈夫ですか?

柏木 本人が大丈夫なら大丈夫だよ。

安本 「音楽」じゃなくて「MUSiC」なように、愛じゃなくてLOVEですね。

小林 あふれさせていこ!

私立恵比寿中学

ツアー情報

私立恵比寿中学ライブハウスツアー2019 ~Listen to the MUSiC~
  • 2019年4月7日(日)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2019年4月14日(日)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2019年4月20日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2019年4月21日(日)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2019年4月27日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2019年5月2日(木・祝)大阪府 Zepp Namba
  • 2019年5月3日(金・祝)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2019年5月5日(日・祝)香川県 高松festhalle
  • 2019年6月1日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2019年6月2日(日)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX

私立恵比寿中学×ナタリー 特別企画

私立恵比寿中学 開校10周年記念
エビ展の前夜祭~開校10周年をお祝いする夜~presented by ナタリー
  • 2019年4月16日(火)東京都 ヒューリックホール東京
    <出演者> 私立恵比寿中学 / 流れ星
エビ展 ~永遠に中学生の彼女たち~ presented by ナタリー
  • 2019年4月17日(水)~5月6日(月・振休)東京都 タワーレコード渋谷店 8F SpaceHACHIKAI
    時間:11:00~21:00
    入場料:500円(特典付き) ※未就学児童は入場無料