音楽ナタリー Power Push - イヤホンズ×エンドウ.(GEEKS)

対談で紐解く“イヤホンズロックオペラ”の作り方

作りすぎないアニメ声を意識した「Yummy Yummy Party」

──シングルの話から逸れてしまいましたが、カップリング曲「Yummy Yummy Party」は、時節柄ハロウィンに似合いそうなダークな世界観は表題曲と共通しているものの、こちらはよりコミカルというか、一言で言ってかわいい曲ですね。語弊があるかもしれませんが、声優らしい、いわゆるアニメ声が生きていると思いました。

高橋 おどろおどろしくしたいとは思いつつ、怖がらせるんじゃなくて。

長久 いたずらする感じだよね。歌詞も、歌い出しの「みみみみみみ」を言いまくるところとか、「ヒップフーレイ!」っていう掛け声とか、すごいかわいいなって。でも私は、2番のサビにある「獣」っていう字を「けだもの」って読めなくて、それがなんか……。

高野 それはがっきゅだけだと思う。

長久 えっ? ウソでしょ? 「けもの」じゃなくて?

高橋 ちょっと、おバカキャラが本当におバカだったとかやめて!

エンドウ. ここはカットでお願いします!

──いえ、おそらくこのやり取りは掲載させていただくことになるかなと。

長久 じゃあ、あとは2人に任せます(笑)。

高橋 先ほどアニメ声っておっしゃっていただいたんですけど、いかにもアニメらしさが全開だと、コッテリしすぎて浮いちゃうかなと思って。この曲の範囲の中で、変に声を作りすぎないように意識しました。私としては、くるみ割り人形がカタカタ行進しているような、ちょっと無機質でいてかわいい感じのイメージです。

高野 私は、ちっちゃいおじさんのイメージだった。

──おじさん? ドワーフとかコロポックル的な?

高野 なんだか下っ端感のある、小人みたいなキャラクターがROLLYさんの周りで「ヘイ! ヘイ!」ってやってる感じかなって。

──ええと、リリース資料には「小悪魔に扮したイヤホンズの可愛い宴にあなたも魅了されること間違いなし!」と……。

高橋 おじさんとは書いてないね。

長久 くるみ割り人形でもないじゃん(笑)。

ROLLY

──今高野さんがおっしゃったように、この曲ではROLLYさんが“悪魔の支配人”役としてナレーションとギターで参加されています。大槻ケンヂさんに続き、またもやロック界の大物との共演ですね。

高野 残念ながらレコーディングはご一緒できなかったんですけど、別の機会にお会いすることができまして。そのとき、ROLLYさんご自身がハロウィンだったり、オカルトチックでファンタジー感のあるものがすごくお好きだっていう話をたくさんしてくださったんですよ。それをお聞きして、自分の中でこの曲の深みが増したというか、よりこの曲が好きになりましたね。

高橋 ROLLYさんは空気感がすごかったね。歩くハロウィンみたいな。

長久 歩くハロウィン(笑)。

高橋 えっ、失礼にはなってないですよね? しゃべり方や佇まいも紳士的で、そこもハロウィンっぽいなって思いました。

今回もあった早口言葉

──声優さんから見て、ROLLYさんのナレーションはいかがでした?

イヤホンズとROLLY(写真手前)。

長久 仮歌に入ってたナレーションと、ROLLYさんのナレーションとが全然違くてびっくりしました。仮歌のほうは別の方がセリフを読まれていて、それは低い声で、大魔王みたいだったよね。

高橋 「怖いぞ~」「悪いぞ~」みたいな感じでね。それが、ROLLYさんバージョンの本番を聴いたら、「ああ! こういう方向性もハロウィンだ!」って。

高野 ROLLYさんのナレーションはメチャクチャおしゃれだよね。

高橋長久 そう!

高野 ただのホラー風味な曲じゃなくて、本当にスタイリッシュな晩餐会みたい。

高橋 蜘蛛の巣が張ってるような朽ちかけた館じゃなくて、すごくきっちり整頓された、いびつな空間みたいな感じと言うか。曲中で私が担当するセリフに「ギョロ目玉のピンチョス」とか、いかにもグロテスクな料理の名前が出てくるんですけど、それさえも食べてみたくなっちゃうというか。

「Yummy Yummy Party」曲中の高橋李依のセリフ

〈はい! 本日は「ギョロ目玉のピンチョス」「メデューサのヘビスパゲティー」「ドラゴンのこんがりロースト肉」「クラーケンの一夜干し」「ト、、、!ああ」〉

高野 悪魔たちの中ではこれがきっとすごいごちそうなんだなっていう雰囲気になったよね。

高橋 そうそうそう。

──曲名の「Yummy Yummy Party」も英語のスラング「Yummy(おいしい)」と「闇」をかけていて、曲中の歌詞では高橋さんのセリフにある料理を全部鍋にぶっ込んで「闇鍋」にするというストーリーが書かれています。で、その高橋さんのセリフがかなり早口で、イヤホンズの楽曲には何かしら早口言葉のようなフレーズが入っていることが多いですが、そういうルールでもあるんですか?

高橋 それはプロデューサーの趣味ですかね?

エンドウ. そこは声優だからね。スキル見せていかないと。

──レコーディングで噛まずに言えました?

高橋李依

高橋 何回も噛みました(笑)。いや、これは伏せておきたいな。噛んでないです。

長久 嘘はダメだよ!

高橋 ダメか(笑)。けっこう難しかったです、これ。特に「ドラゴンのこんがりロースト肉」「クラーケンの一夜干し」で、肉の「く」とクラーケンの「ク」が続くところとか。

──今、言ってもらってもいいですか?

高橋 言えると思いますよ。いきますね……はい! 本日はギョロ目玉のピンチョスメズーサの……ああダメだ!

一同 (笑)。

長久 芸人魂見せたね。

高橋 ロースト肉とクラーケンが難しいとか言ってたのに、そこまで行かなかった……。

イヤホンズ ニューシングル「予め失われた僕らのバラッド」/ 2016年10月5日発売 / EVIL LINE RECORDS
初回限定盤 [CD+DVD] / 1836円 / KICM-91715
通常盤 [CD] / 1296円 / KICM-1716
初回限定盤CD収録曲
  1. 予め失われた僕らのバラッド
  2. Yummy Yummy Party
  3. 予め失われた僕らのバラッド Off vocal Ver.
  4. Yummy Yummy Party Off vocal Ver.
初回限定盤DVD収録内容
  • 「予め失われた僕らのバラッド」FULL MUSIC VIDEO
  • 「Yummy Yummy Party」CINEMAGRAPHS VIDEO
  • 「予め失われた僕らのバラッド」MAKING VIDEO
通常盤CD収録曲
  1. 予め失われた僕らのバラッド
  2. Yummy Yummy Party
  3. ヨロコビノウタ
  4. 予め失われた僕らのバラッド Off vocal Ver.
  5. Yummy Yummy Party Off vocal Ver.
  6. ヨロコビノウタ Off vocal Ver.
イヤホンズ

2015年夏放送のテレビアニメ「それが声優!」で主演を務める声優の高野麻里佳、高橋李依、長久友紀の3人からなるユニット。「それが声優!」作中で新人声優3人が結成するユニット「イヤホンズ」が現実でも活動を開始したというコンセプトのもと、同年6月にシングル「耳の中へ」でデビューを果たした。翌7月にアニメのオープニングテーマである「それが声優!」、9月には同じくアニメの挿入歌「光の先へ」をシングルとして立て続けにリリース。さらに同年11月には1stフルアルバム「MIRACLE MYSTERY TOUR」を発表した。2016年4月に大槻ケンヂとのユニット「大槻ケンヂとイヤホンズ」として配信シングル「現象のブレイド」を、同年10月にはニューシングル「予め失われた僕らのバラッド」をリリースした。

GEEKS(ギークス)
GEEKS

エンドウ.(G, Vo)、ミツ(B, Vo)、カオル(Key, Vo)、キョウヘイ(Dr, Vo)の4人からなるロックバンド。洋楽由来のメロディとぶ厚いコーラスワークを特徴とする。2008年の活動開始以降、精力的に音源を発表をする一方で2度にわたる東京・渋谷ハチ公前のゲリラライブ開催や、アメリカ・テキサス州のフェス「SXSW」に2年連続で出演するなど枠に捉われないバンド活動を続ける。2015年11月にはニューアルバム「WAVGLYPH」をリリース。2016年11月にはCD2枚組仕様のベストアルバム「GEEKEST」を発表する。