dustboxには「Here Comes A Miracle」が必要だった

──インストゥルメンタルナンバー「All We Need Is Hope」を挟んで、8曲目には「Here Comes A Miracle」が収録されています。この曲は2014年7月に東京・東京晴海客船ターミナル特設ステージで行われたワンマンライブ「Here Comes A Miracle」のために作られた曲でしたよね？ 当日はこの曲を収録したCDが来場者に無料で配布されました。

SUGA　はい。そのあとのライブでもずっと披露してきているんですけど、お客さんの反応を見てると、「この曲って次のアルバムに入れたら、もしかしてすごい力を持つ曲なんじゃないかな」って思って。

──どういう気持ちで作ったんですか？

SUGA　ワンマンと同じタイトルの曲があったら面白いよねっていうところから作りました。JOJIが「あのイベント名と同じタイトルの曲あったら面白くない？」って言ってたんだけど、俺も同じことを思っていて。「Here Comes A Miracle」っていいタイトルだなあと。あのあとメンバーが変わって、事務所も独立して……とか、いろんなことがあったんですけど、今こうして楽しくバンドを続けていられることが、本当にミラクルですよね。

JOJI　俺らにはこの曲が必要だったんですよ、絶対。

YU-KI　僕はその晴海埠頭のライブを観に行ってたんですよ。「Here Comes A Miracle」のCDももらってたんで、その曲のドラムを自分が叩いて、それがアルバムに収録されるというのは不思議な感じです。

SUGA　そうだよね、そのときは加入するなんて話はまったくなかったもんね。

YU-KI　はい。普通に「いい曲だなあ」って思って聴いてました（笑）。それを叩くことになるとは。

もうテキーラ、無理！

──11曲目の「No More Tequila」はdustboxのアルバムには不可欠な、ユーモアあふれるハードコアチューンです。

SUGA　はい、曲の通り「もうテキーラ、無理！」っていう思いを込めてます（笑）。HAWAIIAN6のツアーの打ち上げのときに、HATANO（Dr）さんがテンションMAXの状態で「テキーラ行くか！」って言って……。

JOJI　その日はライブハウスでの打ち上げだったんですけど、「今日はテキーラやるぞ！」って言ったらすでにライブハウスにテキーラが7、8本用意されてたんですよ。たぶん最初からテキーラ飲むつもりで、事前に仕入れてたんでしょうね。そんなん吹っかけられたら、やるしかないじゃないですか。だから飲み干してやりましたよ。

SUGA　全部で何人いたかわかんないけど、全部開けちゃって。

JOJI　最終的にコップで飲んだもんね。全員ベロベロでした。しかもその日だけじゃないんですよ。別のライブでも……それもHAWAIIAN6のツアーだったんですけど（笑）、またテキーラがめちゃくちゃ入ってて。これはもうダメだって思って、SUGAは曲にするって決めたんだと思います。音源でもそのときの音が入ってるんですよ。

SUGA　そうなんです。冒頭のところ。その日「今日は面白いこと起きるぞ」って思って、俺、携帯のボイスレコーダーをずっと回してたんですよ。そしたらまんまと、HATANOさんが大声で「テキーラ行くぞ！」って（笑）。途中で「やっちゃいましょうよ！」って言ってるのがJOJIの声。打ち上げでの実際の声です。

──ちなみにコーラスはどなたが参加してるんですか？

JOJI　HEY-SMITHの猪狩（秀平 [G, Vo]）と……。

SUGA　STOMPIN' BIRDのTOM（Vo, G）くん。

YU-KI　locofrankの（森）勇介（G, Vo）さんもいませんでしたっけ？

SUGA　勇介は途中のシャウトだね。

SUGA　とりあえずHATANOさんのテキーラに打ちのめされた経験のある人が参加してます（笑）。

──あと「No more」が「飲もう」に聞こえるのはワザとですか？

JOJI　それね、みんなに言われるんですけど、あとから気付いたんです。

SUGA　確かにそうだなって思いましたけどね（笑）。

何しても「やられたー」って思われたい

──この13曲を収録したアルバムに「Thousand Miracles」というタイトルを付けた理由を教えてください。

SUGA　なんとなくカッコいいなと思って、前から「Thousand Miracles」っていう言葉が頭のどこかにあったんですよ。で、いろんなことを乗り越えて、いろんなミラクルがあって、やっとアルバムができたということで、このタイミングで付けました。

──バンドとしては結成18年目です。コンスタントにリリースを重ねて、フェスやさまざまなバンドのツアーサポートをしている一方で、dustboxに憧れてバンドを始めたバンドもたくさんいて。今後どういう存在になっていきたいと思っていますか？

JOJI　俺らにも先輩バンドがいて、「やっぱり勝てねえ」って思うんです。俺らは俺らで「あの人たちみたいになりたい」って思って続けてきた。それがずっと続いていってるだけなんじゃないかな。だから俺らに憧れて始めてくれたバンドがどんどん大きくなっていっても、俺らは踏ん反り返ることなく、いつまでも「dustbox最高です」って言われ続けないといけないと思ってますね。例えば解散とかしても「やっぱ解散したか」じゃなくて「マジかよ」って言われたい。

SUGA　何しても「やられたー」って思われたいし、そう思われることをやり続けていきたいですね。

YU-KI　僕はいつまでも地元を代表したバンドでいたいです。

最近あったミラクルな出来事

──SUGAさんは天然キャラでも知られています。アルバムタイトルにちなんで、SUGAさんの最近あったミラクルな出来事を教えてください。

JOJI　なんだろ……いっつもミラクルなんだよなあ。

SUGA　ベルトに付けてるキーホルダーがドアノブに引っかかっちゃうとかはよくありますね。

JOJI　いやいや、そんなレベルじゃないから！ とりあえずパーキングエリアに荷物を置いてくる。

YU-KI　あるある！（笑）

JOJI　ツアーの移動のときに、パーキングエリアに寄りますよね。ごはん食べたり、お土産コーナー見たりしてワイワイして、車に乗り込んで、もうすぐ家に着くっていう頃になって「バッグがない！」って気付くんですよ。

YU-KI　僕が入ってからでも3回はやってますからね。

SUGA　毎ツアーやってるかな。

JOJI　泊まるホテルの目の前に車を停めたのに、SUGAがなんの疑いもなく隣の場外馬券場に入っていったこともありましたね。

YU-KI　「そっち、違いますよ」って（笑）。

SUGA　入り口のおじさんに怒られました。

JOJI　あと「右行け」って言ったのに左行ったりするし。いまだに右と左がわかんないんですよ……ほかにもいっぱいあるんだよなあ。連泊なのにチェックアウトしたり、コンビニでコーヒー買ったのに持って帰るの忘れたり……ホテルの鍵挿しっぱなしもよくあるよね。そんなんばっかり。SUGAは妖精です。