ナタリー PowerPush「DOPING PANDA」

最高傑作「Dopamaniacs」堂々完成!ロックスターが語るドーパンサウンドの進化

1997年の結成以来、オリジナリティ溢れるダンサブルなサウンドでシーンを席巻してきたスリーピースバンド、DOPING PANDA。2005年のメジャーデビュー後も刺激的な新作を次々とリリースし、エンタテインメント性あふれるライブパフォーマンスで人気を急上昇させた。

そんな彼らが約1年にわたる制作期間を経て完成させたのが、3月12日リリースのメジャー2ndアルバム「Dopamaniacs」。ドーパン史上最高傑作と呼ぶにふさわしいこのアルバムを完成させるまで、彼らがたどった過程はどのようなものだったのか、そしてこの先に見据えるものは何なのか。バンドのフロントマン、ロックスターことYutaka Furukawa(Vo,G)に語ってもらった。

取材・文/伊藤雅代 撮影/中西求

スタッフを一新して臨んだ1年間のレコーディング

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「2007年に入ってからレコーディングのエンジニアとか、スタッフを変えたんですよ。そうやって1回フラットにしてから、昨年リリースしたミニアルバム『High Brid』とシングル『Crazy』と、今回のアルバムをひとつの流れとして作りました。『High Brid』に入ってる曲も『Crazy』に入ってる曲も、すべてがアルバムの収録予定曲で、その中でタイミングなんかを含めて、できた曲からリリースしていった感じかな。いつもだったら1ヶ月なり2ヶ月なりの期間でバッと作って、その中でバランスを見ながら『こういう曲があったほうがいいな』って考えるんですけど、今回はどういうアルバムにするかというのはあまり考えずに、ひたすらそのときに作りたいと思ったものを作っていきました。去年はライブが少なくて表向きは活動が落ち着いてたんですけど、バンド内の活動はすごく充実していましたね。メンバーともよく話したし、メジャーに来ていちばんいい年になったんじゃないかな」

彼らの人気の大きな原動力であるライブの本数を激減させた2007年。1年間という長い期間をかけ、そのとき作りたい曲を完成させていく、今までにない形で「Dopamaniacs」は制作された。結果生まれたのは、どのジャンルにもカテゴライズできない「2008年のドーパンサウンド」だった。

「もともと僕らはメロコアとかやっていたときから、今みたいに高次元ではないけれども、いろいろなバリエーションの曲を作ろうっていうことは心がけていたんですよ。その作り方がだんだん堂に入ってきて、今みたいなカテゴライズされないサウンドになってきたんだと思います。まあ、目指していたのは最初からこういうところでしたね」

彼らの初期のメロコアサウンドや、メジャーデビュー前後に代表される四つ打ちダンスロックに慣れ親しんだファンは、今回のアルバムで意表を突かれるかもしれない。ストリングスを多用した楽曲や、さまざまなジャンルをミックスした壮大な展開の楽曲など、予想だにしないナンバーが詰め込まれているからだ。

「今回はガブリエル・ロベルトというストリングスのアレンジャーに作業を依頼しました。僕が作ったメロディを彼に渡して、キャッチボールしながら作っていく形ですね。彼はロックを全然聴かないので僕にないものをたくさん持っているんですよ。そのセンスがドーパンの曲とミックスされて、すごく面白い形になったと思いますね。普通のバンドのストリングスアレンジとは違いますよ(笑)。楽曲の展開も、もともと僕がストーリー性のある音楽が好きなのが表れたんじゃないかと思います。プログレッシブなものも聴いてた時期があったんでね。だから派手な展開のものを狙って作ったというより、自然にそういう曲が作れるようになったって感じですかね」

行き着いたのはクリエイティビティを追求する姿勢

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自然な欲求に従い「作りたいものを作る」ことにこだわった作品。自身のミュージシャンとしての姿勢の変化が、このアルバムに表れたとFurukawaは語る。

「自分の作りたいものを作ることと、セールスとの兼ね合いは気にしなきゃいけないと思ってますよ。気にすることで制作環境もよくなるし、大きくなったところじゃないと見えてこないものもありますから。ただ2005年や2006年は、その折り合いをつけるグレーゾーンの捕まえ方をちょっと見失っていたんですね。それで2007年はクリエイティビティを追求するほうに戻したんです。セールスはすごく必要な条件だけど、クリエイティビティを我慢してまで求めるものではないと思うし、そういう方面を追求したほうが、自分はミュージシャンとして大成すると思ってます」

そんな心境の変化を経て生まれたアルバムのタイトルは「Dopamaniacs(ドーパメイニアックス)」。彼らのファンを「ドーパメイニア」と呼ぶことはすでに世間にも浸透し始めているが、この名称をアルバムに持ってきた意味は何だったのか。

「いや、これは記号ですよ、記号。僕はアルバムタイトルは単純に名前をつけているだけなんで、正直言って意味はないんです(笑)。このジャケットを見て『トラとロゴがグシャグシャのやつ』って呼ぶのも機能的じゃないからタイトルをつけるってだけで。ただ今回は、前作の『DANDYISM』とD続きでいいかなというのと、あとは『ドーパメイニア』という言葉がアンオフィシャルな形で浸透してきてるので、こういう形でオフィシャルなものにしてあげたかったという気持ちもあります。まあ、ファンへのささやかなプレゼントですね」

ところで、今回のアルバムの初回限定盤付録は「オリジナルアドベンチャーゲーム」。ここにもドーパンならではの遊び心がたっぷり詰まっている。

「そんなに凝った内容ではないんですけどね、予算の都合もあるので(笑)内容はやってからのお楽しみなんですが、僕がゲームの楽曲を全部作ってるところが目玉なんじゃないかと。ゲーム音楽として成立していますから、ぜひ楽しみにしててもらいたいですね。あと、ストーリーも全部僕が監修しています。隠しネタみたいなものもいくつか入っているんで、何回かプレイしてみたらいいんじゃないでしょうか」

ジャケット写真

DOPING PANDA ニューアルバム「Dopamaniacs」

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初回生産限定盤(CD+CD-ROM)
2008年3月12日発売 / 3150円
SRCL-6747~8 / gr8!records

通常盤(CD)
2008年3月12日発売 / 2800円
SRCL-6749 / gr8!records

収録曲
  1. A.O.D.
    -anthem of dopamania-
  2. nothin'
  3. I'll be there
    -connected to next ver.-
  4. call my name
  5. We won't stop
  6. thunder
  7. good bye to heroes
  8. coffee high
    -one more cup-
  9. summer song
  10. Crazy
  11. way back
  12. kiss my kiss
動画コメント
動画コメント
プロフィール

Yutaka Furukawa(Vo/G)、Taro Houjou(B/Cho)、Hayato(Dr/Cho)の3人からなるロックバンド。1997年に結成され、2000年にインディーズ1stシングル「Dream is not over」をリリース。以後、パンクロックやメロコア、エレクトロやクラブミュージックなどさまざまなジャンルを融合した独自のサウンドで人気を博し、2005年にミニアルバム「High Fidelity」でメジャーデビューを果たした。その後もコンスタントに個性的なアイテムをリリースし、ライブツアーはソールドアウトが続出。夏フェス出演時には入場規制が多発するなど、今もっとも注目を集めるバンドのひとつである。