「Technics×CIRCLE '22」特集|デジタル世代のyonawoが語るレコードの魅力

今年4月に限定クリアヴァイナルのLP「305」をリリースしたyonawo。デジタルネイティブ世代の4人は、両親やメンバー間の影響を受けてレコードにハマっていったと言う。

音楽ナタリーでは地元である福岡のフェス「CIRCLE '22」に出演したyonawoに、馴染みのミュージックパブ・FOOLS GOLDでのインタビューをセッティング。優しいサウンドや大判のジャケット、さらにはノイズ音までもがレコードの魅力だと語るメンバーに、Technicsの最新ターンテーブル「SL-1200MK7」と、ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ60」を試してもらいながら、自作やお気に入りの作品について話を聞いた。

ナタリーとPanasonicの連載企画「デジナタ」では、アーティストや俳優らに最新型のAV機器を使ってさまざまなコンテンツを楽しんでもらう企画を多数展開中!

取材・文 / 村尾泰郎撮影 / トヤマタクロウ撮影場所 / FOOLS GOLD

Technics「SL-1200MK7」

Technics「SL-1200MK7」

長年世界のDJに愛され続ける1200MKシリーズの最新ターンテーブル。ダイレクトドライブモーターやプラッター、シャーシなどすべてを新開発しながら、トーンアームや各種操作スイッチなどの配置はこれまでと変わらない使い勝手を実現。最新技術を盛り込みながらも操作性やフィーリングは従来のまま進化を遂げている。

Technics「EAH-AZ60」

Technics「EAH-AZ60」

TechnicsがHi-Fiオーディオ機器の開発で長年培われた音響技術の粋を注いだ完全ワイヤレスイヤフォン。音楽が持つ表現や豊かな空間を再現する高音質を実現させた。ハイレゾ音質の伝送が可能なLDACに対応することで、ワイヤレスでありながらハイレゾ音質が楽しめる。

yonawoサイン入りチェキが3名に当たる

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リビングのレコードプレーヤーで情報交換

──壁一面にレコードが並んでいて、音楽好きにはたまらない店ですね。この店にはよく来られるんですか?

田中慧(B) はい。昨日も1人で来ました(笑)。初めてこの店に来たときは、「うわっ、レコードがいっぱいある!」と驚いて、「これかけてください」「あれかけてください」って、いろいろお願いして聴かせてもらいました。

荒谷翔大(Vo) 新譜もめちゃくちゃあるのでうれしいです。

yonawo

yonawo

──これだけあれば、かけてもらいたくなりますよね。自分たちでもレコードは買っていますか?

荒谷 最近福岡から東京に引っ越して、シェアハウスで一緒に暮らしているんですけど、みんなが集まるリビングでレコードが聴けるようになっているんです。そういう環境になったことで、前よりレコードを買うようになりました。メンバーそれぞれのレコードが、いつもプレーヤーのところに置いてあって自由に聴けるんです。

──自分が知らないレコードを聴けたり、ほかのメンバーが何を聴いているのかがわかったり、リビングのプレーヤーを通じて音楽の情報交換ができるわけですね。

荒谷 そうですね。誰かが買った新譜があって、「お、買ってきてるやん」って聴いてみたり。めっちゃ楽しいです。レコードを聴いてたら、ほかのメンバーが「何かけとるん?」って寄ってきて音楽の話になったりするし。

田中 「こんなの持っとった?」みたいな。

──楽しそうですね。レコードのよさはどんなところだと思いますか?

斉藤雄哉(G) やっぱり音ですね。デジタルとは全然違うから。どっちがいいというより好みの問題だと思うんですけど、僕はレコードの音のほうが好きなんです。

田中 聴いていてあんまり疲れないし、音が優しい感じがする。

荒谷 けっこう大きめのボリュームで鳴らしてても大丈夫やしね。あと、レコードをかけるまでのプロセスも好きです。まずジャケを見て、レコードを取り出して、そこに針を落とす。CDとか配信で聴くときとは心持ちが違うから、聞こえ方も違うのかもしれない。

荒谷翔大(Vo)

荒谷翔大(Vo)

──そうやって手順を踏むことで、音楽を聴きたい気持ちが高まっていくのかもしれませんね。ライブに行くときに、家で準備をしているときからワクワクするみたいに。

荒谷 それ似てるかも。聴くまで準備しているのも楽しい。

斉藤 あと、途中でひっくり返すのもいい。

田中 あれ好き! お得感があるやん。A面が終わったあとに、「まだB面があった」みたいな。CDは裏返しても聴けんもんね。

斉藤 CDって最後のほうの曲はあまり聴いてないことが多いんですよ。でもレコードは1回裏返すから、改めて意識を集中できる。だからレコードは最後のほうの曲もちゃんと聴いているんですよね。

──針を落としたり、ひっくり返したり、そうやって手間がかかることで、レコードとの関係が深まっていくのかもしれませんね。手間がかかる子ほどかわいいというか。

田中 愛着が湧きますね。

斉藤 扱いは適当やけど(笑)。

田中 レコードは終わってるのに、(針を上げずに)ずっと回ってたりするし。あの終わったあとのノイズ音も好き(笑)。

──レコードのノイズは気にならない?

斉藤 気にならないですね。デジタルのノイズは苦手だけど。

田中 レコードのノイズは曲と溶け合っているみたいで、いい雰囲気。あと、ジャケがいいやつとかそれだけで欲しくなります。福岡のスタジオではジョン・レノンとか大貫妙子さんのレコードを飾ったりしていました。

斉藤 飾っとったねー。

──大きなジャケットもレコードの魅力ですよね。yonawoは自分たちでジャケットのデザインもしているから、インスパイアされることも多いのでは?

野元喬文(Dr) いろんなレコードのジャケットを参考にします。最初のシングル、「ijo」の初回限定盤ジャケットはスティーリー・ダン「Aja」のパロディだし。

スティーリー・ダン「Aja」ジャケット

スティーリー・ダン「Aja」ジャケット

斉藤 のもっちゃん(野元)がデザインすることが多いんですけど、リファレンスとして、いろんなアルバムジャケットのデータを送るもんね。

「レコードが回ってる! 映画みたいや」

──皆さんはCD世代だと思いますが、レコードとはどんなふうに出会ったのでしょうか。

荒谷 僕は中1のとき、雄哉の家に遊びに行って初めてレコードを見ました。

斉藤 両親が音楽好きだから、家にCDもレコードもいっぱいあって。小さい頃から両親にレコードのかけ方を教えてもらっていたので、レコードもCDも両方聴いていたんです。

──当時、レコードを聴いている友達はいなかったんじゃないですか?

斉藤 いなかったです。だから荒ちゃん(荒谷)が家に来たときに、「うわ、レコードあるんや! 聴きたい」みたいになって。

荒谷 僕らはThe Beatlesの話で仲よくなったんですけど、「お、ビートルズあるやん!」って。あんなにレコードがある部屋を見たのは初めてでした。家もおしゃれで異空間だった。

斉藤 両親は2人ともロックが好きなんですけど、ほかのジャンルもいろいろ聴いていて、壁の端から端までレコードやCDが並んでいるんです。その中から、面白そうなやつを見つけては聴いてました。「うわ、これ名前にセックスって入っとるやん」ってSex Pistolsを聴いてみたり(笑)。

──じゃあ、荒谷くんと出会ってからは、2人でいろんなレコードを聴きまくった?

荒谷 そうですね。でも、The Beatlesが多かったかな。あとはThe Rolling Stonesとか。

斉藤 聴いたねー、ストーンズ。

荒谷 ロバート・ジョンソンも聴いた?

斉藤 ロバート・ジョンソンはCDで聴いてた。

──その頃から、CDとレコードは音が違うと思ってました?

荒谷 いやあ、そこまでは。レコードを聴くことが、とにかく楽しかったんです。「うわ、レコードが回ってる! 映画みたいや」って(笑)。

斉藤 レコードを自分で買うようになったのは高校に入ってからですね。荒ちゃんは最近?

荒谷 けっこう最近。それまでプレーヤーは持ってないけど、レコード盤が手元に欲しくて買うことはあったんです。でも実際に聴くようになったのは共同生活をしてプレーヤーが家にあるようになってからですね。

──ちなみに、斉藤さんが初めて買ったレコードは?

斉藤 フランク・シナトラだったと思います。高校生の頃、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」という映画を観たんですけど、そこで「Come Fly with Me」が流れていて、「この曲をレコードで聴きたい!」と思ったんです。

──最初の1枚がシナトラというのもカッコいいですね! 荒谷さんは?

荒谷 荒井由実さんの「ひこうき雲」でした。お母さんがユーミンが好きなんです。レコード屋で帯付きのレコードを見つけて「これは買うしかない!」と思いました。帯に書いてある文句とかも面白かったんですよ。

──レコードの帯もいいですよね。聴いてみてどうでした?

荒谷 それがまだ聴けてないんです(笑)。実家に置いて来ちゃったので、今度取りに帰ってちゃんと聴こうかな。

──実家にあるのなら、お母さんと一緒に聴くのもいいですね。

荒谷 ああ、聴かせたいですね。

──田中さんと野元さんはプレーヤーを持っていましたか?

田中 僕は雄哉にもらいました。

斉藤 自分の部屋用のプレーヤーを買ったんですけど、結局両親のプレーヤーで聴くことが多くて、自分のプレーヤーはほとんど使わなかったんで、もったいないと思ってあげました。

──太っ腹ですね! 田中さんが初めて買ったレコードは?

田中 寺尾聰さんの「ルビーの指輪」が入っているアルバム「Reflections」です。DJイベントに行ったときにレコードを売っていて、そこで見つけたんです。「母親が好きやった人のレコードや」と興味を持って買いました。

──荒谷さんと同じくお母さんの影響なんですね。聴いてみました?

田中 聴いて感動しました。CDとかサブスクで聴くより音に厚みがあるような気がして、目の前で演奏しているようでした。

左から田中慧(B)、野元喬文(Dr)。

左から田中慧(B)、野元喬文(Dr)。

──野元さんが初めて買ったレコードは?

野元 エイフェックス・ツインです。高校生の頃にエレクトロにめっちゃハマってて。そのときに限定ジャケットのシングルが出たんです。銀色のめっちゃ派手なやつなんですけど、それを衝動買いしました。その頃、慧の家に居候してたので、レコードも聴けるようになったんです。

──レコードってジャケ買いしますよね。聴いてみてどうでした?

野元 エイフェックス・ツインはレコードで聴くより、ストイックにヘッドフォンとかで聴いたほうが楽しいのかなって思っちゃいました。みんなで聴くと微妙な空気になるんですよ(笑)。だから1人で聴くようにしています。