Devil ANTHEM.「Blue Youth」インタビュー|メジャー1stアルバム携え10年目を全力で駆け抜ける (2/2)

デビアンが歌う失恋ソングや“ザ・青春”ソング

──アルバムには大人びた失恋の曲「冬ラテ」も収められていますが、これはデビアンには珍しいタイプの楽曲ですね。

 歌詞の内容的に昔の私たちだったら表現できていない曲ですね。自分が思い描いた通りの歌い方ができるようになった今だからこそ、曲の世界観を歌で描けているなって。ブレスやアクセントとか、1つひとつの細かい違いで意味が変わる曲です。

安藤楓

安藤楓

くるみ 確かに、キャピキャピしていた中学生のときには絶対に歌えなかった曲で、メンバーの色っぽいところが出てると思います。

あいり 私は曲のストーリーを自分なりに解釈して、歌詞のフレーズ1つひとつに対してメモを書いてレコーディングに臨みました。「Ah また夜が明ける 今なら前に進める気がする」と歌っているのに未練たらたらなところとか、いろいろと想像を膨らませられる曲ですね。

竹本あいり

竹本あいり

くるみ 別れる決意を決めたはずなのにまだ好きな気持ちが残ってて、相手に会ってしまったらまた“あの日”に戻ってしまうから会いたくない。でも大好き、という気持ちが歌詞にあふれていて。歌の途中の吐息の入れ方で女の子の気持ちを表しています。好きな気持ちを叫ぶのではなく、自分を落ち着かせるために、雪が降る中で独り言をしゃべっているイメージ。でもレコーディングのとき、最後の「白いため息」という歌詞のところでブレスやため息を大きく入れすぎて、スタッフさんに「やりすぎ」と言われました(笑)。自分が想像してる曲の物語を見透かされた感じですごく恥ずかしかったです。

──(笑)。今作に収められている新曲はデビアンらしくない、メンバーの新しい一面を覗ける曲が多いですが、「tobira」からはデビアンのパブリックイメージ通りのエモさと激しさを感じます。

くるみ 実はこの曲、当初は去年の2ndシングルに収録する予定だったんですよ。今回のアルバムの新曲はいろんな角度から青春を描いている印象がありますけど、意図的にではなく、自然とそういう形になったのかもしれません。「tobira」は19歳の作家の方に提供していただきました。クマリデパートさんの「サイエンス倶LOVE」を作った方。

──シンガーソングライター / トラックメイカーのあぶらこぶさんですね。

くるみ 同世代ということでびっくりしました。編曲はおなじみの山下智輝さんで、山下さんが関わっているデビアンの曲はどれも人気なんですよ。「tobira」も、どうして2ndシングルに入れなかったんだろうと思うくらいいい曲です。特に侑芽ちゃんの歌い出しが神秘的で、すごく好きです。

侑芽 「tobira」はなんだかファンタジックで、すごくきれいな楽曲です。「SS」や「ストレライド」のように、ライブでの爆音やレーザーの演出が合う曲になっていくんじゃないかなと思います。振付に扉を開けたり閉めたりする動作が入っているのも特徴です。高音のパートが多くてレコーディングは大変でしたけど、ライブ映えする曲だと思うのでうまく歌えるようにがんばります。

橋本侑芽

橋本侑芽

──最後、アルバムを締めくくる楽曲「maybe…なんてモード」の紹介もお願いします。

 「maybe…なんてモード」はun:cさんに詞を提供いただいた曲です。un:cさんは私が小学生の頃からずっと活躍している有名な歌い手の方で、仮歌を聴いたときにすごく聞き覚えのある歌声だなと思ったんですけど、まさかun:cさんがデビアンに曲を書いてくださるとは予想してなかったので作詞作曲のクレジットを見たときは驚きました。歌い手のファンの方にも広まって、新たにデビアンを知ってくれるきっかけになったらうれしいですね。

──曲調としては、かなりかわいらしい仕上がりになっています。

 今回のアルバムの中でもまさに“ザ・青春”というイメージの曲で、恋したての子が相手の前で自分をさらけ出そうとがんばっている様子が描かれています。「肝心なところは非公開」とか、自分の素直な気持ちを表に出したいけどなかなかできない、もどかしい感じの歌詞を20歳を超えた私たちが歌うことで化学反応が起きていると思います。大人になったデビアンが学生の青春ストーリーを歌ってるのが面白いのかなって。

水野瞳

水野瞳

活動休止に対する正直な思い

──さて、先ほど少し話に出た活動休止について、メンバーの率直な思いを聞いてもいいでしょうか。活動休止期間は決まっておらず、現メンバー5名のまま活動を再開するのか、体制が変わるのかも未定だそうですが、佐藤さんが決めたことなんでしょうか?

くるみ そうですね。メンバーにその話が共有されたのは去年の10月くらいだったと思います。佐藤さんがXに書いていた通りなんですけど、グループとして約10年間休みなく走り続けてきた中、1回立ち止まって考える時間があってもいいんじゃないかということで。メンバーみんな文句も言わずについてきてくれたから、この機会にほかに好きなことをしてみたらという軽い感じでした。これまで友達と旅行に行けなかっただろうしって。確かに、メンバーみんな自分で選択をしたうえでこの道を歩んでいるわけですけど、アイドル活動をしていると普通の子の生活をうらやましく感じる瞬間は少なからずあるんですよね。みんな土日に遊びに行ってるのに、自分たちはできないという。佐藤さんは「俺は絶対にデビアンをやっているほうが正解だと思う」と言いつつ、「ここまでがんばってきてくれたし、一旦好きにしていいよ」と話してくれました。

竹越くるみ

竹越くるみ

──その話を聞いて、どう反応したんですか?

くるみ 私は、絶対に活動休止しないほうがいいって反対しました。また戻ってくるとしても、ファンの方全員が待ってくれるわけではないだろうし、発表したところで不安にさせるだけなのが想像ついたので。今、デビアンはファンの方の空気感も含めていい感じの勢いを保っているのに、1回止まる必要ってあるのかなと納得がいかなかったんです。結局、活動休止することで話が進んだんですけど、発表したときは「あ、本当にするんだ」とちょっとショックでした。でも佐藤さんの判断って、あとから振り返ると全部私たちのためだったなと感じることばかりだし、家族から「佐藤さんの優しさだと思う。みんなのことを思っての決断だよ」と言われて。佐藤さんが決めてくれたことに甘えることにしました。

──発表後のファンの方の反応はいかがでした?

くるみ やっぱり、みんなショックを受けていましたね。発表後のライブではフロアで号泣してる方もいて、「活動休止って大きな出来事なんだな」と改めて実感しました。あと、デビアンのファン以外の人たちがSNSで「デビアンもこれで解散かな」「今の時代、TikTokでバズらないとダメだよね」と言っているのを見て悔しくなりました。実際、デビアンは何か大きな賞を受賞したこともないし、曲がTikTokですごい再生されているわけでもないけど、私たちがやってきたことって数字では表せないものだと思って、自信を持ってるんですよ。もちろん数字は大切ですが、それにこだわらないアイドル人生を送ってきたので、その初心を忘れずにこれからも熱いアイドルグループでいたいです。

──休止発表の際、「2024年の1年間はグループ結成10周年の年として全力で駆け抜けたいと思います」というメッセージも発信していました。

くるみ 私としては、その思いと活動休止の件は別々にとらえてほしくて。10周年というメモリアルな年だから1日1日を大切に過ごしたいと思っていますし、活動休止についてはラフに受け止めてもらえればと思っています。佐藤さんからは「特に考える1年にしてほしい」「周りの大人よりも、10年やってきたあなたの意見のほうが尊重されるから」とも言われたんですよ。その言葉を大切にして、「活動休止はデビアンが上に行くために必要なことだったんだな」と思ってもらえるようにこの1年間活動していきたいですね。

Devil ANTHEM.

Devil ANTHEM.

佐藤海人プロデューサー / マネージャーが語る
Devil ANTHEM.活動休止について

現状走り続けている環境下で、「どこまで走り続けるのだろう?」「何がゴールなんだろう?」という感情はたくさんのアイドルが抱えているものだと思います。それに対して一度「立ち止まってみる」、要はその“走っている”ことをやめてみるというのが、まず活休をする大きな意味の1つです。

メンバーへは活休をしてから今後を考えるというよりかは、今年1年間走っていく中で「デビアンは自分にとってどんな存在なのか」「この居場所は大切なものなのか」を考えながら活動して、10周年の先に対しての答えを見つけてほしいと伝えています。なので活動休止は極端な話3日かもしれませんし、もっと長い期間かもしれません。期間を決めてないのは、グループとして答えが出そろったタイミングで活動再開に踏み切りたいからです。

まとめますと、アイドルをやっている子たちが少なからず考えていることを僕らはただオープンにした。メンバーそれぞれに思いがあることを隠しながら続けるよりは、ファンの方にオープンにして今年はやっていこうと思った次第です。10周年という区切りが見えている今、メンバーにとって違いはあると思いますが、少なからずさまざまなことを考えるタイミングではあると思いましたし、考えなければいけないと感じました。もしそれを経て今の5人がまとまり、先の道へまた歩き出すことができたらデビアンはさらに進化できると思っています。

Devil ANTHEM.

Devil ANTHEM.

ライブ情報

Devil ANTHEM. 10th Anniversary Year SPRING→SUMMER TOUR 2024

  • 2024年3月10日(日)東京都 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)※入場無料
  • 2024年4月7日(日)福岡県 DRUM Be-1
  • 2024年4月21日(日)東京都 Spotify O-WEST ※橋本侑芽生誕ライブ
  • 2024年4月28日(日)宮城県 Rensa
  • 2024年5月4日(土・祝)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2024年5月6日(月・振休)大阪府 心斎橋BIGCAT
  • 2024年5月18日(土)北海道 小樽 GOLDSTONE
  • 2024年5月25日(土)東京都 恵比寿CreAto
  • 2024年5月26日(日)東京都 恵比寿CreAto
  • 2024年6月8日(土)愛知県 DIAMOND HALL

プロフィール

Devil ANTHEM.(デビルアンセム)

2014年に結成され、「Make Some Noise」「沸ける正統派アイドル」をキャッチコピーに活動しているアイドルグループ。“楽しく沸けるライブ”を追求し、ステージ上から放つエネルギーとフロアの熱量で独自の世界観を構築している。2023年5月にビクターエンタテインメントからシングル「ar」をリリースしてメジャーデビューを果たした。同年12月に東京・TOKYO DOME CITY HALLで結成9周年記念ワンマンライブを開催。2024年2月にメジャー1stアルバム「Blue Youth」を発表する。12月には結成10周年記念ワンマンとして再びTOKYO DOME CITY HALL公演を行い、このライブをもって活動休止することが決定している。