6人体制になってからの変化
──ここ1年ほどのパフォーマンスの変化、成長についてはどう感じていますか?
橋本侑芽 自分で言うのもなんですけど、パフォーマンス力は確実に上がっていると思います。最近は自分たちの声がライブでより生きているような感覚があって、さらにパフォーマンス力を強化していかなきゃと感じています。
──自分たちに求めるハードルが上がってきている?
くるみ 侑芽ちゃんはもともと自分に求めるハードルが高いタイプなんですけど、今みたいに口に出して目標を言えるようになったのはすごく大きいことと思います。
侑芽 デビアンという環境のおかげですね。
くるみ 改めてこの1年間を振り返ったときに、楽屋で笑っている瞬間が多かったなと思います。あるライブで、楓とひよりちゃんがイヤモニを取り違えていたときがあって、ひよりちゃんの耳に楓ちゃんの歌が、楓ちゃんの耳にひよりちゃんの歌しか入らないという出来事が起きたんです。楓はそのハプニングにすごく落ち込んでたんですけど、ひよりちゃんは「楓さんの声が聞こえましたー!」ってすごく明るくて(笑)。
ひより 素晴らしい歌声でした(笑)。
──ひよりさんはダンスや歌など未経験の状態で昨年春にデビアンに加入しましたが、パフォーマンス面でのこの1年の成長についてはどう感じていますか?
ひより 最初のレッスンのときはボックスステップもできなくて、ホントにやばかったです(笑)。
あいり 懐かしい!(笑)
ひより でも、根が負けず嫌いで、できないと思われるのが嫌だったんです。卒業するメンバーとの入れ替わりで加入するわけではない、誰かの代わりではないからこそ、私が入ることでデビアンの偏差値を下げちゃいけないなと思って。今もまだほかのメンバーのレベルには全然追いついていないんですけど、とにかく一生懸命やってきました。でも、一生懸命になりすぎて周りが全然見えなかったこともあって。昨年の年末のワンマンで足をつったり、春ツアーで変わりたいと思いつつも、そこでもケガをしてしまったり。一生懸命やってきたつもりだったけど、今冷静に考えてみると、ちょっと努力の仕方を間違えてたかなと思うこともあります。
──なるほど。
ひより ステージの袖から5人のパフォーマンスを観ているときってホントに悔しいんですよ。「私もそこにいるはずなのに」って。でも、ステージに立てることは当たり前じゃないんだなと感じたし、自分は歌って踊ることが純粋に好きなんだなと気付けました。人に指摘されてわかったつもりになっていたことを全然わかってなかったんだなって、5人のステージ上での動きを見ていて実感できましたし、すごく迷惑をかけていますが、この時間は自分に必要だったなのかな、そしてそれを有意義な時間にできるかは自分次第だなと思っています。
くるみ ここまでブレーキの付いていない特急列車のようにがむしゃらに走ってきましたけど、がむしゃらであればあるほどいいというわけでもなくて。そのがむしゃらさを今緩められたのは結果的によかったのかなと思います。ほかの5人もお互いに支え合うことでいろいろと考えさせられたので、6人みんなで成長できてるなって。
落ちサビのプレッシャー
──ここからは7月26日にリリースされるニューシングル「Fantastic90」の話に移りたいと思います。表題曲の前に、まずは先にライブで披露されたカップリング曲「ソノサキ」について聞かせてください。
くるみ これはもうすでにライブで人気の曲ですね。“ザ・デビアン”という曲でありつつ、そのイメージをさらに進化させた感じ。
水野瞳 ライブで新曲を初披露すると、だいたいはフロアがシーンとなるんですよ(笑)。いつもはそれがしんどいんですけど、「ソノサキ」は最初のつかみもよかったです。配信で一度披露したあとに、春ツアーのO-EAST公演でお客さんの前で初パフォーマンスしたから、ファンの方が事前に予習できたんじゃないかな。それに、もともと耳障りがいいというか、ファンの方が楽しみやすい、受け入れやすい曲なんだと思います。今回のシングルは表題曲もカップリングもどっちもライブでの感触がいいんです。おかげで毎回いい意味でフロアの反応を気にせず、楽しんでパフォーマンスできています。
安藤楓 私は「ソノサキ」で歌い出しのパートをもらって。ボイトレで「この曲は歌い出しが大事だよ」と言われていたんですけど、ライブ後のファンの方からの反響がよかったのでうれしかったです。歌詞に「君と僕と」というフレーズがあるように、ファンの方と一緒にライブの空気を作り上げる感じもあって、そこが人気の理由の1つなのかもしれないです。みんなの心をグッとつかめる感じ。
あいり (作詞作曲の)今城沙々さんはそういう曲が得意だよね。私はこの曲で初めて落ちサビのパートをもらえたんですけど、例えばくるみは初期の曲含め歌割りが多くて、20曲以上披露するワンマンではライブ中ずっと歌っているような感じで。尋常じゃない肺活量が必要だし、普通の人にはできないことだと思うんです。前までは「私も歌割り欲しい!」とただただ思ってましたが、最近は「みんなの期待に応えられるようにちゃんと歌えるかな」と歌割りをもらう恐怖も感じ始めていて。日々ボイトレに励みつつも、「私にはまだ落ちサビは無理だ」と思っていたんです。
──そんな中、「ソノサキ」の落ちサビパートをもらうことができたと。
あいり レコーディングで佐藤さんから「落ちサビ歌ってみる?」と言われて、ちょっとためらいつつも「やってみたいです」と返して。自分なりの精一杯を出して歌ったものの、これはもっとうまく歌えるメンバーのパートになるなと思っていたんです。そしたら結果的に私のパートになって、うれしい反面、「ヤバい、どうしよう……!?」という気持ちになりました。初披露のときもめっちゃ緊張しちゃって理想の仕上がりを見せられず、「くるみってやっぱりすごいんだな」と痛感したんですけど、最近は気持ちよく歌おうと考えるようになったことで余裕が出てきたので、これからもっと自分の色を出していきたいです。ファンの方も喜んでくれてるんですよ。「Dark"s" side」(2019年発表の楽曲)なんて、1番はまるまる歌割りがなかったし、そういう経験があった分、今回めちゃくちゃうれしくて。プレッシャーを感じながらも、「この曲は絶対にものにしてやろう」と思っているところです。
キュンキュンする歌詞がいっぱい
──続いてシングルの表題曲「Fantastic90」について伺えればと思うのですが、先ほどの話だと、この曲も最初からライブでのお客さんの反応がよかったみたいですね。
瞳 はい、すごくよかったです。
くるみ 夏のさっぱりした感じというか、涼し気なフレッシュ感がある曲ですね。アイドルファンの方はみんな夏が好きだし、こういう曲がハマるんだと思います。歌ってる私たちも楽しいですし。ライブで楽しい曲って、逆にレッスンがちょっとつまらなく感じるんですよ。フロアを見る余裕がないほど振りが細かい曲はレッスンでは踊り甲斐があって楽しいんですけど、「Fantastic90」はそうじゃなくて……(笑)。
あいり お客さんとの絡みありきの曲なんです。
くるみ そうそう! お客さんと目を合わせてお互いに笑顔になって、盛り上がってどんどん熱くなるのが楽しい曲です。
侑芽 これまでデビアンにはこういうさわやかな夏曲がなかったので新鮮です。くるみちゃんが歌っている「浴衣で花火なんてどう?ですか」とか、歌詞もすごくかわいくて。
ひより わかるー!
くるみ そこ、自分でもキュンキュンしちゃう(笑)。
侑芽 今までのデビアンの曲にはあまりなかったキュンキュンする歌詞がいっぱい詰まっています。ライブが爆音なせいでファンの方はまだ歌詞を聴き取れていないかもしれないので(笑)、早く音源を聴いてほしいです。
瞳 でも、「テクテク歩いてく」の「テクテク」とか、耳障りがいい歌詞も多いよね。
くるみ 確かに。初めて聴く曲は特にライブで歌詞を聴き取りづらいかもしれないけど、「Fantastic90」はフレーズが耳にスッと入ってくると思います。
あいり 歌詞のリズムがいいよね。「テクテク歩いてく」と歌っているところは、歩いているポーズをしているので、そこはぜひお客さんに真似してほしいですね。
楓 「Fantastic90」は振りで「9」の文字をゴリ押ししているのも特徴です。ライブではお客さんにも体や指で「9」を作って真似してほしいです。
くるみ 歌に関して言うと、「Fantastic90」はAメロの音程が低いのに対し、サビが高いっていうすごく難しい曲なんです。レコーディングの前に「佐藤さんにサビのキーを一段階下げる交渉をしてみない?」ってみんなで話し合ったくらい。結局歌えちゃったからキーはそのまんまだったんですけど(笑)。
楓 歌詞は王道アイドルなんだけど、音と合わさってデビアンらしさが出てるよね。
瞳 最近、季節感のある曲が多いよね、デビアン。前回のシングルの「Reflect Winter」とか。
くるみ 季節の曲って基本的にその時期にしか歌えないじゃないですか。たぶん、今まではもったいなくてオールシーズン使える曲しか作れなかったんだと思います(笑)。今は曲数が増えたから、贅沢ができるようになったのかも。
瞳 曲を聴いたときに、浴衣を着ている私たちとか、その季節の情景が思い浮かぶくらいの表現力を身に付けたいよね。
侑芽 野外のフェスで披露したときに、デビアンのファン以外の方も含めてお客さんがどんな反応をするのか楽しみです。
ひより この曲と夏を迎えるのが楽しみです!
瞳 今年こそはデビアンの夏にしたいです。
くるみ それ、毎年言ってるよね(笑)。
あいり 今年も、だね(笑)。
藤澤ひより活動休止を受けてのコメント
竹越くるみ
ひよりちゃんがいなくてもライブに足を運んでくださるファンの方、「ひよりちゃん元気にしてる?」と気にかけながら会場に来てくださるひよりちゃんファンの方がいて、ひよりちゃんもデビアンも愛されているんだなと思いました。そんなファンの方たちのために、物足りなさや寂しさなんて感じさせず、いつだって楽しいデビアンでい続けようという気持ちを持ってがんばっています。5人でのライブもパワフルさを持って、自分自身がまず楽しんでそこにいるみんなにも楽しんでもらえるようにパフォーマンスをしています。元気な私たちを見て、ファンのみんなにも「くよくよしてられない!」って思ってもらえたらいいなと思います。
竹本あいり
活動休止をするというメンバーが出たのが初めてのことだったので不思議な感覚で、私たちもファンの方も戸惑いがありました。ですが、やはり一番ひより本人が複雑だと思います。しっかり休んでほしいし、申し訳ない気持ちや不安を持ってほしくないので、私たちがしっかりしないといけないなと思いました。ファンの方もデビアンの楽しいライブを待っているので、今まで以上に気を引き締めて、ライブに取り組んでます。
水野瞳
ひよりちゃんにはゆっくり休んでほしいと思ったし一番悔しいのは本人だと思うし、残されたひよりちゃんのファンの方たちのためにもデビアン全体のためにも今自分が落ち込むのは違うなと思い、気を引き締めて前を向いて突き進んでいこうという気持ちが前よりもさらに強く思いました。積み上げたデビアンのライブのよさを崩さないように、デビアンのライブは楽しいって変わらず思ってもらえるように日々ライブをしています。
橋本侑芽
常にデビアンは変わらないという強い思いを持ってライブに取り組んでいます。もっとより多くの人に知ってもらう、ライブを観に来てもらうために今まで以上に日々の活動をしっかりやらないといけないとメンバーそれぞれ強く思っています。みんなの強い気持ち、固い絆を持ってこの現状を受け止めてさらに上に突き進み、より皆さんに応援してもらえるよう努力していきたいと思います。
安藤楓
もっとしっかりしていかなきゃいけないんだなとすごく思いました。こう自分が思っているということはファンのみんなもそう思っているんじゃないかなと思って、ライブではより大きく見えるように、ファンのみんなに楽しいと思ってもらえるようにとパフォーマンスをしています。これからもより一層がんばっていきます。
ライブ情報
Devil ANTHEM. SPRING TOUR 2022 東京追加夏公演 燃晩夏
2022年9月25日(日)東京都 EX THEATER ROPPONGI
Devil ANTHEM. SPRING TOUR 2022 After Party. 燃晩夏後夜祭
2022年10月2日(日)東京都 Veats Shibuya
プロフィール
Devil ANTHEM.(デビルアンセム)
「Make Some Noise」「沸ける正統派アイドル」をキャッチコピーに活動するアイドルグループ。“楽しく沸けるライブ”を追求し、ステージ上から放つエネルギーとフロアの熱量で独自の世界観を構築している。10月に新曲3曲と現メンバーで再録した既発曲13曲を収録したフルアルバム「らいなう」を1000円という価格でリリース。同年12月には東京・USEN STUDIO COASTで結成7周年記念ワンマンライブ「デビタゴン祭2021」を開催した。2022年7月にシングル「Fantastic90」をリリース。9月25日に東京・EX THEATER ROPPONGIで2022年春ツアーの追加公演「燃晩夏(もえばんか)」を行う。
Devil ANTHEM[デビルアンセム] オフィシャルサイト
Devil ANTHEM. (@devilanthem) | Twitter