シーンに風穴を

──「INVADER feat. RAq」の「理詰めで論破して従えた気になってろ / その村社会で」という歌詞もインパクトありますね。

ハシシ　それは「コミュニティの一生」っていうネットの有名なコピペがもとになっているんです。それによるとコミュニティは、まず面白い人が面白いことをする。そのうちに面白くない人たちが集まってきちゃって、最初の面白い人たちが見切りをつけていなくなる。で、残った人たちが面白くないことをやって、最後は誰もいなくなるっていう。それは的を射てるなと思うんだけど、やっぱりそういうふうに終わりたくないんですよね。

──というと？

ハシシ　言ったら自分も途中から参加してるんですよ、日本語ラップにしてもネットラップにしても。途中参加だからって面白いことができないわけではないし、昔からいる人のほうが頭が固くて、新しいものを受け付けないこともあると思うし。そういうことを歌ってるんですよ、「INVADER」は。俺の場合は音楽シーン、ラップのシーンが対象ですけど、聴いている人は好きなように当てはめてほしいですね。住んでるところ、会社、学校でも、同じような現象はあると思うけど、卑屈にならず、風穴を開けてほしいなって。

──電波少女も、今まさにシーンに風穴を開けるべく活動しているわけですからね。

ハシシ　それくらいの気持ちでやってますね、この曲は。けっこうビッグマウスな曲です（笑）。でも、シーンをひとまとめにして“全部面白くない”って切り捨てられるのはホントに悔しいんですよ。よく見たら面白いものも混ざってるはずなので。それに気付いてもらえないのは、やってる側の力不足だと思いますけどね。

「誰？」と「ふう……」

──最後に「WHO」というアルバムタイトルの由来を教えてもらえますか？

ハシシ　メンバーが脱退して2人体制になったし、フィーチャリングアーティストも多いから「誰？」っていうタイトルがいいかなって。もう1つ、自分の中で葛藤を抱えながら完成させたアルバムなので「ふう……」ってひと息ついてる感じもあるんですよね。あとは曲の中でやたらと「Woo!」ってシャウトしてるし……まあ、それは後付けですけど（笑）。

──このアルバムでもう一度電波少女の存在に注目が集まると思うし、3rdアルバムへの流れも含めてすごく期待してます。ちなみにメンバー2人でいるときって、何やってることが多いんですか？

nicecream　何だろう？ 地元（宮崎）に帰るときは一緒ですけどね。

ハシシ　で、2人で飲みに行って。

nicecream　地元の友達はほとんど結婚してるから、あまり遅くまで遊べないんですよね。だから結局、最後は2人で飲むことになるんです（笑）。

──地元は好きなんですか？

ハシシ　地元愛とかはないですね。地元にいる人は好きですけど。

nicecream　最初にハシシが話した、ネットラップシーンのことと同じですね。その場所が好きなわけではなくて、そこにいる人たちだったり、通過した人たちがそれぞれ盛り上がればいいっていう。

ハシシ　とは言え、音楽をやってなかったら東京には来てないですけどね。すべての中心が東京だから、しょうがなく……。

──でも、地元にいてもやることないでしょ？

ハシシ　もし東京に出てなかったら工場でバイトでもしてるんじゃないですか？ 実は以前、2回やったことがあるんですよ。どっちも1週間で辞めちゃいましたけど（笑）。

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• Photo Gallery今回の取材では、パフォーマンス担当のnicecreamに得意のブレイクダンスを披露してもらった。

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