楽しいって思いながら泣いちゃう歌

──そして「サクラあっぱれーしょん」はこんなにめでたいお祭りソングでありながら、ちゃんとでんぱ組.inc自身の歌である点が重要だと思うんです。このポジティブな歌を6人がリアルな自分の気持ちとして歌っているからこそ感動が生まれるというか。

相沢　やっぱり自信がないとか、そういうこともまだ全然あると思うから、この100％の明るさが今できてるかって言われると、もしかしたら違うのかもしれないけど。こういう未来に行かなきゃいけないっていう意味として受け止めてます。

──「めっちゃくちゃのドキュメンタリー それが僕らにとってのファンタジー」という歌詞は、まさにでんぱ組.incを体現したフレーズですよね。

夢眠　本当にそこは私もすごくグッと来ていて。今まで「W.W.D.」みたいなドキュメンタリーの曲で「こんなのウソじゃん」みたいなことを言われたりもしてたけど、うちらにとってはそれが本当にリアルで、聴く人にとってはアイドルの謎の物語＝ファンタジーとして受け取られたりしてる。今回それが歌詞になってるのは「うおー！」って思いました。

相沢　「大和の国へ摩訶不思議な言霊」っていうのもでんぱ組.incの歌のことだと思うし。日本の面白い言葉、ヘンな歌（笑）が現実になっていくってことだもんね。

夢眠　「どったばったなこのステージ それが私にとっての正義」っていうとこも。マイナスも味方にする。それをプラスに受けとって歌えてる。そしてやっぱり「君の未来を明るく照らすなんてお茶の子さいさいさい」っていうのがやっぱり一番すごい！

相沢　ヤバいよね。

夢眠　今までは「一緒にがんばろう」とかだったのに「ドンと来い！」みたいな。肝が座ったのかな。武道館決定を受けて？ わかんないですけど。

──この曲は、やっぱり6人の成長あっての曲だという気がしますね。

成瀬　でも、なんかあまり自分らの歌だけにしすぎるのも好きじゃなくて。たぶん3月とか4月って、新生活だったりで自分を鼓舞させなきゃいけない人とかすごいいっぱいいると思うので（笑）。うちらも超ヘコんだりするときが、まあ今でもかなりあるんですけど、なんか無理やり元気にさせてくれる曲だなって思います。

夢眠　PVを観てみんな楽しいって思いながら泣いちゃうみたいな感覚。複雑な気持ちの刺激のされ方というか。最後のみんなで踊ってるシーンで「バイバイさようなら」って歌ってて、そこでみんな泣いちゃうって言われたりして。「スーパー楽しい！」みたいなのはやっぱりどこか強がりだったりして。楽しいことは、いろんな切なさの上で繰り広げられてるっていうのをみんな感じてるのかなって。

桜前線みたいなサイリウム

──この曲は玉屋2060%さんに「こういう感じで」といったリクエストはしたんですか？

相沢　私たちからは言ってなくて。

古川　いつも曲もらうたびにびっくりします。

相沢　普通に「自己紹介ソングが欲しい」って言ってたら、届いた曲が「W.W.D.」だったり（笑）。何が来るかわからないですね。

成瀬　でもなんとなく季節の歌が欲しいっていう気持ちはあったよね。

夢眠　もし桜の曲ができたら「サクラでんぱれーしょん」だよねって言ってて。

古川　そういうタイトルがいいんじゃない？みたいな。

夢眠　そしたら梨紗ちゃんが「あっぱれのほうがめでたくない？」って言ったんだよね。

相沢　採用されました（笑）。

古川　最初のタイトルは「チンドンパレード」だったもんね（笑）。

夢眠　チンドン屋って、めでたいところにぞろぞろ来てワーッと盛り上げて去っていくじゃないですか。でんぱ組.incの全国ツアーも同じというか、チンドン感があるなという話になって。

相沢　あとこの曲はピンクのサイリウム！ 「サクラあっぱれーしょん」のライブ初披露のときはまだなかったんですけど、2日目からちょっとずつ増えてきて。ツアー終盤になるとピンクだらけになってたのが、なんか桜前線みたいだなと思って。すごくうれしかったですね。

藤咲　あと残すのは秋の曲だけなんですよ。

相沢　来た来た来た。食欲の秋。

成瀬　焼き芋焼こうぜー！

──今そう言っておくとたぶん……。

成瀬　来るよ、きっと（笑）。

相沢　食べ物ソングが（笑）。