音楽ナタリー Power Push - Def Tech
10年目に迎えた原点回帰
遠慮なく「I Don’t Like」を言いあえる関係
──楽曲制作で今、2人が最も心がけているのはどういうところになりますか?
Shen いかにして密にコミュニケーションを取るかということですね。それこそデビューした10年前は僕も日本語があまり話せなかったりして、お互いのアイデアが相手にうまく伝わらないようなことが多かったので。
Micro 2007年に解散して、2010年に再結成してからも、しばらくお互い遠慮してた部分があったんですよ。でも、そんな状態で活動を続けてもうまくいかないだろうっていうことになって。そこからは極力、相手に自分の意見を言うようになったんです。
Shen コミュニケーションに関していうと、ハワイでのレコーディングでブルースから言われた言葉が印象に残っていて。「自分がいいと思わないテイクには『I Don’t Like』ってハッキリ言ったほうがいいんだよ」って。その言葉を聞いて目が覚めた気がしたんですよね。そういえば今まで「I Don’t Like」って一度も言ったことがなかったなって。
Micro 心のどこかで「ちょっと違うよな」と思ってても、「いいんじゃない?」ってそのまま進めてしまったり。最近は意見が食い違ったとしても、しっかり話し合った上でいい方向に修正したり、相手の意見を受け入れて自分なりにアイデアをリメイクしたりできるようになったので、すごくやりやすくなりましたよね。
──遠慮なく「I Don’t Like」を言いあえる関係になったわけですね。
Micro そうですね。たぶん結成以来、今が一番いい状態なんじゃないですかね。おかげさまでアルバムも好評ですし。
楽しみの余韻がじわじわ広がっている感覚
──完成したアルバムを改めて聴かれてみていかがですか?
Micro ギリギリまでやりたいことを追及したアルバムなんで、自分自身すごく思い入れがある作品に仕上がったなと思います。波の音や小鳥のさえずりが入ってるわけじゃないんですけど、ハワイに漂ってるピースフルな雰囲気がサウンドを通じて伝わってくるというか。自分たちのルーツを感じてもらえるようなアルバムになったんじゃないかなって思います。
Shen Microとも1stアルバムみたいな作品を作りたいよねって話をしてたんですけど、それが自然な形で実現した気がしますね。1つひとつのピースがあるべき場所にぴったり収まった感じで。そういう意味でも現時点でのマスターピースを作ることができたんじゃないかって。
Micro 何より今はこの2人で音楽を作るのが本当に楽しいですから。そういう雰囲気も作品から伝わってくると思うんですよね。
──ここまで話を聞いていても、2人がDef Techの活動を心から楽しんでいるのが伝わってきます。今年でデビュー10周年を迎えるわけですが、そこに対する気合いみたいなものはないんですか?
Shen それほど肩に力が入った感じはないんですよね。リラックスして今の状況を楽しめているというか。
Micro 「イェーイ!」みたいな感じじゃなくて、楽しみの余韻がじわじわ広がっているような感覚なんですよ。10年前に「My Way」がヒットしたときも確かに楽しかったんですけど、その反面、自分たちを取り巻く状況が一気に変わってしまって苦しんだ部分もあったし。今回のアルバムがどれだけ多くの人の手に渡ったとしても変に気負うことなく、いい音楽を作り続けていけたらいいなと思いますね。
──7月12日には山梨県・河口湖ステラシアター、18日には大阪・大阪城野外音楽堂で単独ライブが開催されます。
Micro 今回のアルバムは、このライブに向けて制作を進めていたところもあったんですよ。今までは夏に出したアルバムを引っ提げて冬にツアーを回るっていう感じだったんで、自分たちの中でも少なからず違和感があったんです(笑)。でも、ようやくジャストなタイミングで、しかも野外という最高のシチュエーションでライブができることになったんで、僕らも今からすごく楽しみで。
Shen しかもハワイのレコーディングで一緒にセッションしたアーニー・クルーズJr.(G)、ブルース・シマブクロ(Uklele)、マーク・タノウエ(B)、ショーン・キャロル(Dr)っていうメンバーが“Jawaiian All Stars”というバンドでライブに参加してくれることになって。彼らと野外で一緒に演奏することを考えるだけでワクワクしてきます。こないだもハワイに行ったとき、一緒にちょっとだけリハーサルしてきたんですけど、そのときの音が……もう!
Micro ヤバかったよね。あの時点で最高のライブになることを確信しました。
Shen ガッツリ見せますよ!
Micro 最後の最後に気合いの発言が(笑)。
──すいません、無理やり言わせちゃったみたいで(笑)。
Shen いやいや(笑)。実際気合いも入ってるし、本当に楽しみなので。
CD収録曲
- B-3
- Freeing Ur Pain
- One Day with Jake Shimabukuro
- Tell Me
- Gone Surfin’
- Summer Ends
- Talkin’ 2 You
- ふしぎだね?
- Gone Surfin’(Jawaiian Ver.)
DVD収録内容
- Marathon PV
- 2VOX tour(Teaser)
Def Tech 10周年記念 スペシャルサマーライブ2015
- 2015年7月12日(日)山梨県 河口湖ステラシアター
- 2015年7月18日(土)大阪府 大阪城野外音楽堂
Def Tech(デフテック)
ハワイ出身のShenと東京出身のMicroによる“Jawaiianスタイル”のユニット。2005年にアルバム「Def Tech」でデビュー。200万枚を超えるセールスで当時の国内インディーズの売り上げ記録を塗り替えた。以後、活動休止や一時解散を経ながらも、自由なスタイルの音楽活動を繰り広げ、6枚のオリジナルアルバムをリリースししている。そして2015年6月、ハワイアンミュージックを大胆に導入した約2年ぶりのアルバム「Howzit!?」を発表した。