音楽ナタリー Power Push - DEEN

DEEN流スカで夏をお届け MV撮影密着フォトレポート&池森秀一インタビュー

池森秀一インタビュー

スカに挑戦した理由

──まずは「バタフライ」の制作の経緯を教えてもらえますか?

2年ぶりのリゾートライブ(「DEEN Summer Resort Live ~5th wave~」)をやることが先に決まってて、そこで何か新しいものを提供できたらなと思って。今までの曲だけで構成するのではなく、新しいものを作って、それをライブでお披露目したいなって気持ちが大きかったんです。

──リゾートライブありきのイメージで制作していったと。

池森秀一(Vo)

そうですね。アルバムを聴いたらライブに行きたくなるような。そしてツアーでファンのみんなに「新しいアルバムの曲、いいね!」って言ってもらえるようなものにしたいと思っていました。

──そうして今回はDEENが初挑戦したスカサウンド満載のアルバムが完成しました。単刀直入に、なぜスカだったんですか?

6年前にリリースしたアルバム「クロール」が全体的にサーフロックっぽい1枚だったんだけど、その作品の軸になっていた曲「coconuts」を、今回セルフカバーしようということになって。「coconuts」は思いっきりサンバとかラテンな感じだから、カバーはどうする?って考えてたときに……最近スタッフを通じてスカバンドと知り合ったんですが、そのバンドは海外でもライブをやったりしていて。で、僕がメンバーに「『coconuts』、スカにしてみない?」って提案したら「いいね」ってことで、とりあえず試しに1曲アレンジをしてみたらすっごくよくて。簡単に言うと、そういう経緯ですね。

──「coconuts」は「クロール」のキーになる曲だったんですね。

DEENの夏のイメージを象徴する曲だし、ライブでもかなり一体感が出て盛り上がるんですよ。ちなみに「coconuts」に「自由形(クロール)でゆこう」って歌詞があるんですけど、今回の「バタフライ」ではそこを「バタフライでゆこう」にしてるんです。「coconuts」は今後“夏歌”のアルバムを作るとしても、きっとまた別のアレンジでセルフカバーするだろうし、その部分の歌詞はタイトルに合わせて毎回変えていきたいなと思ってます。「平泳ぎでゆこう」とかね(笑)。

スカでオリジナルとは違った魅力が出せた

──「coconuts」以外の曲はどうやって集まっていったんですか?

池森秀一(Vo)

やっぱり「夏」というコンセプトありきのアルバムだし、スカという大枠が決まってからはおのずと曲が決まっていったというか。“ンッチャ、ンッチャ……”っていう裏打ちのリズムに合うものを考えると、セルフカバーした「ひとりじゃない」なんかはまさにピッタリだし、ほかのアーティストのカバー曲もそんなに悩むことはなかったですね。どの曲もメンバーみんな「これしかないよね」っていう感じで。

──そうなんですね。ところで、スカ楽曲の編曲は曽根裕さんがメインで担当されていますが、彼とはどんな縁でアレンジをお願いすることになったんですか?

彼はSKAFF-LINKSというバンドのドラマーなんですよ。今回半分くらいの曲をアレンジしてもらったんですけど、イメージ以上の出来で、最初に「coconuts」が上がってきたときはもうハグしちゃいました(笑)。「これをスカに」ってポンとお任せしたものが彼のフィルターを通ってこんなふうに生まれ変わって。一緒に仕事するのは初めてだったんですけど、刺激的でしたね。

──スカにアレンジされたナンバーを歌う際、オリジナル楽曲との違いはありましたか?

いや、それはなかった。「ひとりじゃない」なんかはこのアレンジでオリジナルとは違った魅力が出せたのではないかと思います。リズムが裏打ちになったとしても、裏打ちの力強さに負けないくらいのパワーがこの曲のメロディにはありますから。

カバー曲のレコーディング秘話

──新曲でいうと、「サマー・ラバーズ 2016」は間奏のバンドセクションの音の遊びが華やかなナンバーですね。

これはリーダー(山根)の曲なんだけど、彼のキャリアの中で最初からスカをイメージして作ったのは初めてだって言ってましたね。キャッチーで、ちょっとひねったパターンなのかな? 歌詞も少しセクシーな感じがあったり、僕自身もなかなか気に入ってて、間奏のライブ感のある演奏もすごく好き。間奏はそれぞれのミュージシャンのよさを引き出したパートになってるんじゃないかな。

──そしてカバー曲として松任谷由実さんの「真夏の夜の夢」とTHE BOOMの「風になりたい」を収録しています。レコーディングの手応えはいかがでした?

池森秀一(Vo)

まず「真夏の夜の夢」は、すごくスカのアレンジが合ったなって。歌う側としてはかなり難しかったんですけどね。覚えやすくて耳に残ってる曲ではあったけど、レコーディングの前にラフに歌ってみたら「これはマズイぞ」ってなって。ちょっとやそっとの練習じゃ歌いこなすのは無理だと思って、とても挑戦しがいのある曲でした。1回ハマると、すごい楽しくなるんだよ。

──具体的に難しかったポイントとは?

基本ずっとロングトーンの曲なんですよ。サビなんて転調もしちゃうし、本当に体に染み込んでないと難しかったですね。転調って、自分たちも曲作るからわかるんだけど「ここでフォークボール!」みたいな場所だから。それをBメロ終わりのサビの頭に持ってくるって、なかなか斬新だなと。最初、仮歌のときにオケが間違ってるんじゃないかと勘違いしたもん(笑)。ユーミン、すごいなあと思いましたね。

──では「風になりたい」はいかがでしょう?

こっちはイメージ通りでした。ほかのアーティストさんでもカバーしてる人が多い曲じゃないですか? スカパラも直球のスカアレンジでカバーしてるし。僕らはそこをあえて、ちょっとテンポを落としたレゲエ調でカバーしました。数回歌っただけで気持ちよく体に入ってきた感じがあったし、改めて見ると本当にいい歌詞で、自分たちの作品のように楽しく歌わせていただきました。

ニューアルバム「バタフライ」 / 2016年6月1日発売 / EPICレコードジャパン
初回限定盤A [CD+Blu-ray] 7800円 / ESCL-4631~2
初回限定盤B [CD2枚組] 3990円 / ESCL-4633~4
通常盤 [CD] 3146円 / ESCL-4635
CD収録曲 ※カッコ内はオリジナルアーティスト
  1. ひとりじゃない ~SKA Style~
  2. サマー・ラバーズ 2016
  3. エピソードをつくりだせ!
  4. 真夏の夜の夢(松任谷由実)
  5. アマルフィ
  6. Smile Blue ~SKA Style~
  7. Climb High
  8. Walking on Sunshine
  9. 風になりたい(THE BOOM)
  10. coconuts feat. butterfly
  11. ひまわり
初回限定盤A付属Blu-ray収録内容

DEEN LIVE JOY-Break19 ~全開恋心!!~
2015.8.29 Zepp Tokyo

  • 君が僕を忘れないように 僕が君をおぼえている
  • Paradise
  • スマイリン
  • 翼を広げて
  • 雨道...
  • ありのまま抱きしめよう
  • 未来のために
  • 思いきり 笑って
  • 君の笑顔を感じながら
  • Emerald Ocean
  • ジェットコースター
  • ハイビスカス
  • ひとりじゃない
  • 瞳そらさないで
  • 君さえいれば
  • STRONG SOUL
  • 'need love
  • 千回恋心!
  • With
  • Wild Road Dreamers ~上海ロックスターEpisode1.5(High School編)~
  • Crossroad
  • Burning my soul
初回限定盤B付属CD収録曲

DEEN AOR NIGHT CRUISIN' ~3rd Groove~
2016.3.4 Billboard Live TOKYO

  1. ユートピアは見えてるのに
  2. 翼を風に乗せて ~fly away~
  3. pray
  4. 太陽と花びら
  5. Call your name
  6. Dance with my Music
  7. 今夜はParty Night!
DEEN(ディーン)
DEEN

池森秀一(Vo)、山根公路(Key)、田川伸治(G)の3人からなるバンド。 1993年「このまま君だけを奪い去りたい」でメジャーデビューを果たす。同曲はCMタイアップもあり、新人にもかかわらずミリオンヒットを記録。翌1994年にも「瞳そらさないで」がミリオンを達成し、1stアルバム「DEEN」は150万枚を超える売り上げを記録した。2013年3月にはデビュー20周年記念ベストアルバム「DEENAGE MEMORY」を発売し、10月には日本武道館2DAYS公演を成功させる。2014年6月、初の洋楽カバーアルバム「君がいる夏 -Everlasting Summer-」をリリース。2015年6月には43枚目のシングル「千回恋心!」を発表した。7月に全曲ラブソングのオリジナルアルバム「全開恋心!!~Missing You~」をリリースし、10月には通算8回目となる東京・日本武道館公演を開催。2016年6月にアルバム「バタフライ」を発表する。