ナタリー PowerPush - DEAD END

MORRIE×清春、MORRIE×HYDE 2つの対談から読み解く超豪華トリビュート

「オリジナルを超えたい」っていう気持ちが強くて

──ここからはトリビュートアルバムについてお話を聞かせてください。HYDEさんはアルバム「SHAMBARA」のオープニングナンバー「Embryo Burning」を歌っていますが、この曲はHYDEさんが選んだんですか?

HYDE

HYDE はい。今回は「何を歌いたい?」みたいな感じのオファーだったので(笑)。歌だけじゃなく楽器隊もみんな自分が弾きたい曲、叩きたい曲をリクエストするやり方で、参加メンバーは歌うときに初めて知ったんです。

──しかもベースを弾いているのが、DEAD ENDやL'Arc-en-Cielのプロデューサーとして知られる岡野ハジメさんですし。

HYDE そうですね。最高でした。

MORRIE 岡野さんがベースでレコーディングに参加するの、たぶんひさしぶりじゃないですかね。

──原曲に対する思い入れや愛情がそれぞれにじみ出たカバーバージョンに仕上がったと思いますが、HYDEさんはレコーディングするときにどういったところにこだわりましたか?

HYDE 僕、VAMPSではいろいろカバーをしてるんですけど、カバーするときはメロディだけ残してあとは原型をとどめないように変えるのが好きなんですよ。でも今回だけは「オリジナルを超えたい」っていう気持ちが強くて(笑)。なんて言うんでしょう……オリジナルは僕がまだ10代の頃に録音されたものなのに、「こんなにいい音で当時よく録音できたな」ってずっと思ってたんです。だから今回は2013年の技術でオリジナルを超えることに意味があるんじゃないかと思って。だからプロデューサーの岡野さんに「うまい人といい機材を揃えて、なんとかしてくれ」って言ったんですけど(笑)。

HYDEのカバーはニッコリしながら聴けた

──MORRIEさんは完成したバージョンを聴いて、いかがでしたか?

MORRIE

MORRIE ほかの人が自分の曲を歌ってるのを聴くと、いつもはどこかしら「ここは違うねんけど……」って思ったり(笑)、気恥ずかしくなったりするんですけど、HYDEはもうなんかね、曲が体の中に入ってるよね。もちろんHYDEなりの味が出てる部分もあるし、男っぽい感じで仕上げてきてるし、なんかこうニッコリしながら聴けましたね。いやいや、よかったですよ。

HYDE あの当時、「SHAMBARA」ってどういう状態でレコーディングをしたか覚えてますか?

MORRIE 覚えてるよ。状態とは?

HYDE 例えばレコーディングはどれくらいの期間だったかとか。

MORRIE あのね、「SHAMBARA」のレコーディングはすごく変則的で1987年の暮れから1988年にかけて、1カ月3曲くらい録る方法を3カ月連続でやったの。

HYDE そうなんですか。

MORRIE うん。足立くんがいつものギリギリ攻撃で(笑)、曲ができなかったのもあって、1カ月で3曲作って、それを録るやり方。「Embryo Burning」はどうやろ、たぶん1回目か2回目のレコーディングで録ったのかな?

HYDE 期間も短いんですか?

MORRIE 期間?

HYDE 歌詞を書いたりメロディを付けたりするのに要する期間です。

MORRIE 1カ月で3曲やから、多少余裕はあったと思うね。そのへんはちょっと曖昧だけど。

MORRIEさんのソロアルバムの曲も歌ってみたい

──この流れで僕も聞きたいことがあります。「Embryo Burning」のイントロはすごく印象的なフレーズですが、あのアレンジは誰が考えたんですか?

MORRIE あれは強烈だよね。イントロは足立くんが曲を作ってきた時点で、すでにあの形だった。ギターもたぶん10本ぐらい重ねてるのかな。

HYDE

HYDE 今回「オリジナルを超えよう」ってチャレンジしたけど、最終的には無理だなと思いましたね(笑)。やっぱりね、コピーはうまくできるんですけど、味というかニュアンスというか、そういった点は本人にしか出せないんだなって改めて思いました。

MORRIE やっぱりそこなんだよ、残るのは。テクニックだけじゃ超えられない部分がね。

HYDE 精一杯やりましたけど、1つひとつのフレーズの、音符で表現できない部分……フレーズの粘り気とかそういう部分の表現がやっぱり難しいなと。

──でも、DEAD ENDやMORRIEさんに対する愛情にあふれたカバーだと思いましたよ。ちょっとした細かいフレーズでHYDEさんとMORRIEさんのイメージが重なる部分もありましたし、それでいてHYDEさんならではの色もしっかり出ている。

MORRIE カッコいいですよね。

──たぶんDEAD ENDを知らない人たちがこのアルバムを聴いても、純粋にカッコいいと思うんです。楽曲自体にもまったく古さを感じませんし。

HYDE このままもらいたいぐらいですよね、曲を(笑)。

MORRIE じゃあ使ってください(笑)。

──HYDEさん、もしまたこういう機会があったら挑戦してみたい曲はありますか?

HYDE 僕自身、MORRIEさんの伸びやかなボーカルにも影響を受けたので、例えばロングトーンを生かした曲……MORRIEさんのソロアルバムの曲も歌ってみたいですね。僕、ソロアルバムも大好きだったので。

MORRIE そうなの?

HYDE もちろんですよ(笑)。「君はー♪」(MORRIEのソロ曲「cosmosの中に」を口ずさむ)とかやりたいです。

MORRIE 言ったな?(笑)

HYDE でも超えられないですけど。

MORRIE いやいや、もう全然超えてますよ。

HYDE だから次にカバーするなら、原曲とは全然違う形でやりたいです。

V.A.「DEAD END Tribute -SONG OF LUNATICS-」/ 2013年9月4日発売 / 3150円 / motorod / AVCD-38651
[CD] 3150円 / AVCD-38651
収録曲
  1. Embryo Burning (Words:MORRIE Music:YOU) Vocal:HYDE(L'Arc-en-Ciel / VAMPS)
    Guitar:HIRO(La'cryma Christi)
    Bass:岡野ハジメ
    Drums:Shinya(DIR EN GREY)
    From The Album “shámbara”(1988)
  2. I Can Hear The Rain (Words:MORRIE Music:YOU) Vocal:RYUICHI(LUNA SEA)
    Guitar:咲人(NIGHTMARE)
    Bass:SHUSE(†яi¢к / La'cryma Christi)
    Drums:shuji(Janne Da Arc)
    From The Album “shámbara”(1988)
  3. The Godsend / 清春 (Words & Music:MORRIE) From The Album “GHOST OF ROMANCE”(1987)
  4. Night Song (Words:MORRIE Music:"CRAZY" COOL-JOE) Vocal:栄喜(SIAM SHADE)
    Guitar:室姫深
    Bass:tetsuya(L'Arc-en-Ciel / TETSUYA)
    Drums:山崎慶(Venomstrip)
    From The Album “shámbara”(1988)
  5. Serafine (Words:MORRIE Music:YOU) Vocal:宝野アリカ(ALI PROJECT)
    Guitar:SUGIZO(LUNA SEA / X JAPAN / JUNO REACTOR)
    Bass:TOKIE(unkie / LOSALIOS)
    Drums:ササブチヒロシ(東京酒吐座 / Creature Creature)
    From The Album “ZERO”(1989)
  6. So Sweet So Lonely (Words:MORRIE Music:YOU, Hajime Okano) Vocal:yasu(Janne Da Arc / Acid Black Cherry)
    Guitar:Shinobu(Creature Creature / The LEGENDARY SIX NINE)
    Bass:人時
    Drums:真矢(LUNA SEA)
    From The Album “ZERO”(1989)
  7. Spider In The Brain (Words:MORRIE Music:TAKAHIRO) Vocal:高野哲(ZIGZO)
    Guitar:you(Janne Da Arc)
    Bass:FIRE(the Badasses)
    Drums:MOTOKATSU MIYAGAMI(THE MAD CAPSULE MARKETS)
    From The Album “DEAD LINE”(1986)
  8. Dress Burning (Words:MORRIE Music:YOU) Vocal:越中睦士(†яi¢к / Λucifer)
    Guitar:HIZAKI(Jupiter)
    Bass:燿(摩天楼オペラ)
    Drums:HIROKI(D)
    From The Album “METAMORPHOSIS”(2009)
  9. Perfume Of Violence (Words:MORRIE Music:TAKAHIRO) Vocal:BAKI(GASTUNK / MOSQUITO SPIRAL)
    Guitar:Marty Friedman
    Bass:Luna(Eins:Vier / RaFF-CuSS / R2Y+J リリィ・ジョーカー)
    Drums:YUKI(Jupiter)
    Keyboard:都啓一(SOPHIA / Rayflower)
    From The Album “DEAD LINE”(1986)
  10. Blind Boy Project / cali≠gari (Words:MORRIE Music:YOU) From The Album “shámbara”(1988)
  11. Sacrifice Of The Vision (Words :MORRIE Music:TAKAHIRO) Vocal:aki(ex Laputa)
    Guitar:千聖(PENICILLIN)
    Bass:IKUO(BULL ZEICHEN 88 / Rayflower)
    Drums:LEVIN(La'crima Christi)
    Keyboard:kiyo(Janne Da Arc)
    From The Album “DEAD LINE”(1986)
  12. 冥合 / Boris (Words :MORRIE Music:YOU) From The Album “METAMORPHOSIS”(2009)
DEAD END(でっどえんど)
DEAD END

1984年に結成されたロックバンド。1986年に1stアルバム「DEAD LINE」をインディーズで発表し、当時のインディーズシーンでは破格のセールスを記録する。1987年にはMORRIE(Vo)、YOU(G)、"CRAZY" COOL-JOE(B)、MINATO(Dr)という布陣でアルバム「GHOST OF ROMANCE」でメジャーデビュー。メタルやグラムロック、ゴス、パンク、プログレなどを取り入れた多彩な音楽性と、MORRIEがつづる独特な世界観で人気を博す。1988年に「SHAMBARA」、1989年に「ZERO」とアルバムを発表するも、1990年にMINATOの脱退とともに解散。その後はそれぞれ音楽活動を続けていたが、2009年にMORRIE、YOU、"CRAZY" COOL-JOE、MINATOの4人で再結成を発表。同年8月に開催されたイベント「JACK IN THE BOX2009 SUMMER」で、約20年ぶりに復活を果たした。さらに11月には5thアルバム「METAMORPHOSIS」を発売。以降はMORRIE、YOU、"CRAZY" COOL-JOEにサポートドラマーという布陣で定期的にライブ活動を続ける。2012年3月に6thアルバム「Dream Demon Analyzer」を発表。同年9月にはメジャーデビュー25周年を記念したライブ「Kaosmoscape」を渋谷公会堂などで行った。そして2013年9月、DEAD ENDをリスペクトするアーティストたちが一堂に会したトリビュートアルバム「DEAD END Tribute -SONG OF LUNATICS-」をリリース。

HYDE(はいど)
HYDE

L'Arc-en-Ciel、VAMPSのボーカリスト。1994年7月、L'Arc-en-Ceilのフロントマンとしてビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューを果たす。その後多数のヒットシングルを連発。ハイクオリティなサウンドとキャッチーなメロディ、シングル3枚やアルバム2枚の同時リリースなどでも話題を集めた。2001年からはソロ活動を開始。2008年にはK.A.Z(G)とともにVAMPSを結成し、精力的なライブ活動を展開している。


2013年9月5日更新