音楽ナタリー Power Push - DAOKO

覚醒を経て見つけた、自分なりのポップス

ハッピーエンドになるかは自分の選択次第

──シングルの1曲目「もしも僕らがGAMEの主役で」は人生をゲームに例えた曲ですが、この曲を通じてリスナーに伝えたかったことは?

ゲームではいろんなトラブルやアクシデントが発生するし、それは人生にもあると思うんです。そうやって日々葛藤や迷走をしながらも最後はハッピーエンドに向かっていく、という内容の曲にしたくて。でも、そうするのは自分が打ち込むコマンド次第というか、「自分の日々の選択次第で変わってくるよ」って言いたかったんです。

──人生の中で起こるいろんなアクシデントから逃げるなと言いたかったんですか? それとも人生をゲーム感覚で遊んじゃえ、みたいな感じが強いんですか?

ゲーム感覚っていうのもあるし、時には逃げてもいいと思うんです。何かを強要されるのは自分も嫌なほうだから、そう言うつもりはないです。けど私も日々、死闘なんですね。こういう仕事柄、敵ではないけど、いろいろな人が現れるんです(笑)。

──それを倒したり、ときには仲間も見つけながら、広い意味で芸能界をサバイブしていかなきゃならないですからね。

DAOKO

「この陣地を乗っ取り、また次へ」みたいなのもあるし、ステージをどんどん攻略していかなきゃならないときもあるし。そういうのって例えば学生さんにも当てはまると思うんです。学校の試験は中ボス戦みたいな(笑)。でも、そういうふうに人生をゲームに見立てて自分が主役だと思えたら、周りの世界も面白く見えてくるかなって思うし、人生に希望を感じられるかなと思って書いたんです。

──トラックメーカーには、アルバム「DAOKO」で「かけてあげる」などを作っていたORESAMAの小島英也さんを再起用していますね。ドラムやベースからは1980年代ポップスの雰囲気を感じましたし、そこにORESAMAらしいキラキラ感がプラスされた音だなと思いました。

この曲にはいろんな音楽の要素が入ってるんですけど、1980年代のUSのポップソングが持つ独特なポップ感が今再現できたらと思って作っていきました。あと、今回は小島英也さんと今まで以上に密に向き合って作っていったんですけど、今まではいわば一筆書きだったのが、1曲作るのに数えきれないほどバージョンを更新できるようになって、そこも曲作りの変化したところです。

──それはメロディも含めて?

メロディもそうですし、言葉の使い方とか曲の構成とか、細かいところを2人で調整しながら一緒に作っていきました。今回は全曲、ほかのトラックメーカーさんともそういうふうに作っていったんです。

──トラックをもらって歌詞を書きます、っていうスタイルじゃなく、サウンドメイクの部分により深く関わるようになったと。

そうなんです。今までは投げられた球を受け取る作業でしたが、キャッチボール……というか、もっと最初のボールを作るところから始めるか、みたいな(笑)。そういうところから始めたので、かなり自分の色も色濃く入っています。

死にたいと思ってるような人に届けたい

──先ほど、この曲にはいろんな音楽の要素が入ってると言いましたが、ラップパートにはZeebraさんの要素が入ってますね(笑)。

時代を象徴しているパンチラインをこの曲で使おうかと思って温めてました(笑)。

──ZeebraがDragon Ashの「Grateful Days」の中で歌う「東京生まれHIP HOP育ち 悪そうな奴は大体友達」のフレーズを替え歌にしていますが、「死にたい奴は大体友達」としたところがDAOKOさんらしいなと思いました。相変わらず暗いなって(笑)。

あはは(笑)。けど、死にたいと思ってるような人に届けたいっていう思いがあったから、ここでこのワードを使うと後半の伏線になるかなと思って。

──そもそも、このラップパートはかつてないほど早口ですよね。

だいぶがんばりました。舌が回るように練習も重ねました(笑)。

──ビートもファンキーなブレイクビーツ風に変わるから、それに合わせてわりとかっちり韻を踏んだヒップホップ然としたフロウでラップしてるのも新味だなと思いました。

ここまでちゃんと韻を踏んだラップをやったのは初めてですね。曲がすごくポップだし、サビも明るくてキャッチーにしてる分、こういうラップの部分でカマすっていう。そのコントラスト感もDAOKO流ポップスなんです。

悩める若い子羊たちへの応援ソング

──2曲目の「ダイスキ with TeddyLoid」は、インディーズ時代に発表した「ME!ME!ME!」でコンビを組んだTeddyLoidさんとの共作ですね。

これもトラックをもらうだけじゃなく、TeddyLoidさんと一緒に作っていったんです。TeddyLoidさんが作ってきてくれたトラックの構成は最初から面白かったので、それを私のイメージする構成とすり合わせていくっていう作業を重ねました。

──この曲もいろんな音楽の要素がミックスされてますね。ベースミュージックを基本にしつつ、ヘビメタが途中で顔を出すっていう。

DAOKO

1990年代のメタル感が入ってるんです。間奏でいきなり入ってくるドラムロールとか(笑)。

──こういう激しいベースミュージックで歌うのは初めてですよね。

そうですね。メロディは自分で付けたんですけど、ベースミュージックの低音が鳴っている中で、よくよく聴くとちょっと童謡っぽい和メロになってて、そのコントラストや違和感も新鮮で面白いかなと思ってます。

──歌詞に出てくる「好き、嫌い」は自分に向けて言ってるイメージですか?

そうです。自信のないフニャフニャな自分と、そんな自分にこうしろああしろと言ってくるような正反対の自信過剰な自分が対話してるイメージで書いたんです。でも、最終的には専門学校HALのCM曲だったこともあって、そうやって葛藤する年頃の、悩める若い子羊たちへの応援ソングにしたかったんです。

──こういうテイストの曲調や世界観は、小文字の頃のDAOKOさんらしいなと思いました。

確かに、この曲は一番インディーズのときの香りがするかもしれないですね。曲調もTeddyLoidさんとのコラボだからこそ作れたものですし、「BANG!」を聴いて「変わった、変わった」と思う人にもこの曲を聴いてもらえたら、私がやりたいことの意味をわかってもらえるんじゃないかと思っています。

DAOKO Triple A Side 2nd Single「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」 / 2016年9月14日発売 / TOY'S FACTORY
初回限定盤A [CD+DVD] / 2160円 / TFCC-89601
初回限定盤B [CD+DVD] / 1728円 / TFCC-89602
通常盤 [CD] 1296円 / TFCC-89603
CD収録曲
  1. もしも僕らがGAMEの主役で
  2. ダイスキ with TeddyLoid
  3. BANG!
  4. FASHION
  5. もしも僕らがGAMEの主役で(Instrumental)
  6. ダイスキ with TeddyLoid(Instrumental)
  7. BANG!(Instrumental)
  8. FASHION(Instrumental)
DVD(初回限定盤A)収録内容

DAOKO THE FIRST TOUR 2016 at SHIBUYA O-EAST 2016.01.15 ライブ映像

  • INTRO / 高い壁には幾千のドア / ミュージック / かけてあげる / さみしいかみさま / ShibuyaK / ゆめみてたのあたし / OUTRO
DVD(初回限定盤B)収録内容
  • BANG! -MUSIC VIDEO-
  • FASHION -Reebok CLASSIC Furylite WEB Movie-
  • JK -DAOKO THE STUDIO LIVE From Aobadai Studio-
  • FASHION -DAOKO THE STUDIO LIVE From Aobadai Studio-
DAOKO(ダヲコ)

DAOKO

1997年生まれ、東京出身の女性ラップシンガー。ニコニコ動画のニコラップに投稿した楽曲で注目を集め、2012年に1stアルバム「HYPER GIRL-向こう側の女の子-」を発表。ポエトリーリーディング、美しいコーラスワーク、ラップを絶妙なバランスで織り交ぜたドリーミーな世界観で話題を呼ぶ。2015年3月にはTOY'S FACTORYよりアルバム「DAOKO」にてメジャデビュー。それまで顔を隠して活動していたが、10月にシングル「ShibuyaK / さみしいかみさま」発売のタイミングで顔を公開した。2016年4月にTeddyLoidとのタッグで学校法人・専門学校HALのCMソングを担当。同曲も収めたトリプルA面シングル「もしも僕らがGAMEの主役で / ダイスキ with TeddyLoid / BANG!」を9月にリリースする。