Cody・Lee(李)「ようこそ!すももハイツへ」インタビュー|4組の来客と作り出す“音楽×お笑い”の交差点

Cody・Lee(李)の主催イベント「ようこそ!すももハイツへ 3LDK -2024-」が3月16、17日に東京・東京キネマ倶楽部で開催される。

「ようこそ!すももハイツへ」は「自分達が好きな、友達になりたい人達を<来客>として招く!」をコンセプトにしたイベント。前回は水曜日のカンパネラやchelmicoといったアーティストのみならず、マツモトクラブ、9番街レトロ、真空ジェシカというお笑い芸人3組も登場し、それぞれの個性が混ざり合ったライブが繰り広げられた(参照:Cody・Lee(李)×chelmico×真空ジェシカの競演が実現、コラボも飛び出した対バンツアーファイナル)。

3回目の開催となる今回“来客”として招かれたのは、Daoko、サニーデイ・サービス、ダウ90000、ロングコートダディというジャンルも世代も異なる4組。イベント開催を記念したこの特集では、前回(参照:Cody・Lee(李)が会いたい人に会う、新たな形の対バンツアー|7組の“来客”が語るCody・Lee(李)の魅力とは?)同様、各ゲストのコメントを交えつつ、4組の魅力や「すももハイツ」の展望などをCody・Lee(李)に語ってもらった。また特集の後半では、4組が好きなCody・Lee(李)の曲と、ライブ出演への意気込みも紹介する。

取材・文 / 石井佑来撮影 / 入江達也

「職権乱用させてもらってます」

──「ようこそ!すももハイツへ」開催にあたり、今回も各来客の方々からコメントをいただいてきましたので、そちらを読み上げつつお話をお聞きしたいと思います。その前に、前回の「すももハイツ」について伺いたいのですが、出演者であり主催者である皆さんからして、手応えはいかがでしたか?

高橋響(Vo, G) とにかく楽しかったですね。最近、バンドとお笑い芸人が競演するイベントが増えてきたと思うんですけど、そんな中でchelmicoと真空ジェシカとか、いい組み合わせのゲストをいいタイミングで呼ぶことができたのがすごくうれしかったし、誇らしいです。

原汰輝(Dr, Cho) 僕は演者としてではなく、1人のお客さんとして楽しんじゃいました。東京公演では、キネマ俱楽部の2階から真空ジェシカのネタを全員で観て。

力毅(G, Cho) みんなげらげら笑ってたよね。

高橋 過呼吸になるかと思った(笑)。

Cody・Lee(李)

Cody・Lee(李)

ニシマケイ(B, Cho) 初日のマツモトクラブさんもめちゃくちゃカッコよかったしね。

高橋 職人芸だったね。というか磔磔でマツクラさんを観られる時点でヤバかった(笑)。しかもCody・Lee(李)の曲をネタに取り入れたりしてくれて。うれしかったですね。

力毅 そういう観る側の楽しみがあるのは大きかったよね。自分たちの出番へのモチベーションも上がるし。

高橋 「すももハイツ」をきっかけにchelmicoのイベントに誘っていただいたり、ライブ終わりで9番街レトロのお二人と飲みに行かせてもらったり、いろんな縁をつなぐことができたと思います。「友達を作ろう」というのも「すももハイツ」のコンセプトの1つなんですけど、それは達成できたんじゃないかなと。

──原さんは前回の取材の際に、お笑いにはあまり明るくないという話をされていましたが、皆さんのネタを生で観られていかがでしたか?

 みんなめちゃくちゃ面白かったです! プロ魂みたいなものを感じて、もはや感動すら覚えました。

ニシマ 9番街レトロがネタ中にアドリブをたくさん入れていたんですけど、それを見て原ちゃんが「ヤバない?」と言ってて(笑)。

高橋 普段お笑いを観ない原ちゃんがそう感じてくれるのが、僕たちはうれしいんだよね。原ちゃんにハマったんだなって。

──そういうふうに皆さんが心から楽しんでいるからこそ、ファンの人たちも一緒になって楽しめるというのが「すももハイツ」の核ですよね。

高橋 そうですね。職権乱用させてもらってます(笑)。

“音楽×お笑い”の交差点の真ん中

──先ほど「バンドとお笑い芸人が競演するイベントが増えてきた」という話がありましたけど、確かにここ数年で音楽の現場とお笑いの現場が急激にクロスオーバーし始めていると感じます。ミュージシャンとお笑い芸人のライブがいろんな形で行われていたり、下北沢 BASEMENTBARとK-PROの劇場・ナルゲキがコラボ企画を始めたり……。

高橋 それこそダウ90000が出るやつですよね。

──そうです、そうです。そういう“音楽×お笑い”的なイベントが増えていることについて、バンドが本業でありつつ、お笑いにも強い関心を持っている皆さんからして、何か思うところはありますか?

力毅 「すももハイツ」をやっている身として、ほかのイベントを観て悔しくなることはありますね。去年、KhakiとSuiseiNoboAzと令和ロマンのイベントを新代田FEVERに観に行ったんですけど、そのときに「やられたな」と思ったんですよ。令和ロマンは「すももハイツ」に出てほしいとずっと思っていたので。そしたら「M-1」で優勝して、どんどん遠のいていっちゃった(笑)。

高橋 でも、僕たちが「『すももハイツ』をやろう」と最初に話していたときは、“音楽×お笑い”的なイベントはまだそこまで多くなかったと思うんですよね。……何がきっかけで増えたんだろう。

左から原汰輝(Dr, Cho)、高橋響(Vo, G)。

左から原汰輝(Dr, Cho)、高橋響(Vo, G)。

──ちなみに高橋さんは、いつ頃からお笑いがお好きなんですか?

高橋 僕は2012年の「THE MANZAI」で観たアルコ&ピースの忍者のネタをきっかけにお笑いに目覚めました。そこから「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」を聴き始めたり、うしろシティとかいろんな芸人を好きになったりしていったんですけど、その頃はまだ“ラジオは教室の隅っこで聴くもの”みたいな風潮があった気がします。

──今と比べて、もっとクローズドな文化でしたよね。個人的にこれを「いつから芸人ラジオが『POPEYE』のガールフレンド特集に載るような趣味になったのか問題」と呼んでるんですけども。

力毅 あー、確かに(笑)。

高橋 なんでなんでしょうね。「お笑い好き」と言っておけばちょっと箔が付く感じ、ありますよね(笑)。時期的には「花束みたいな恋をした」(2021年公開)ぐらいからじゃないですか? あの映画で天竺鼠のライブの話が出てくるのを見て、「ああ、こういう使われ方するのかあ」ってちょっと思いましたもん。

──確かにあの映画での天竺鼠の使われ方は、昨今のお笑いの受容のされ方を象徴しているような気がします。

高橋 ただ、芸人さんとのライブがスタンダードになったとしても、その中で自分たちにしかやれないことがあるはずで。Cody・Lee(李)は音楽性的にも呼べる芸人さんの幅は広いはずだし、そこは僕たちにしかない強みなのかなと思ってます。音楽とお笑いがクロスオーバーする交差点の真ん中にいるのが自分たちだと自負しているので。単にライブを一緒にやるだけじゃなくて、僕たちならではの化学反応を起こせるのかなって。

──ほかのバンドと真空ジェシカが競演したときに「まーちゃんごめんね」であそこまで会場が沸くかというと、それはわからないですもんね。

高橋 そうですよ。あそこまで盛り上がるかはわからないし、ライブ後にポッドキャスト(「真空ジェシカのラジオ父ちゃん」)で話してもらえるかはわからない。番組内で、なぜか僕が激尖り野郎というレッテルを貼られてましたけど(笑)。

力毅 もちろんライブ当日に裏で会話を交わしたりはしてたんですけど、ポッドキャストでなぜか急に呼び捨てになっていて、うれしかったですね。「力毅はけっこうお笑いが好きで」って。

高橋 そういう話をしてもらえるのも我々だからこそだと思っているので、自分たちにしかできないことを、ストイックにやっていきたいですね。

Daokoは青春の音楽

──皆さんお待ちかねだと思うので、そろそろゲストのコメントを紹介していきたいと思います。今回も「あなたが思うCody・Lee(李)の魅力とは?」という質問に答えてもらいました。まずは1日目のゲスト・Daokoさんです。

Cody・Lee(李)の魅力とは?

歌詞や楽曲の世界観含め、邦画の中に居るような感覚になる音楽情景描写が素敵だなあと思います。改めて作品たちをおさらいさせて頂いたのですが、率直に、「好きな人とデートしてえ~」という気持ちになりました(泣)。フィーチャリング楽曲もあるし、ラップとの相性も良いなあという印象でした。それとどんな気分のときでも、どんな季節でも聴ける(似合う)音楽たちだと思うので、それってすごいことだなあ~と思いました!

Daoko

Daoko

力毅 うれしい!

高橋 うれしいですねー。Daokoさんなんて、僕らが高校生ぐらいの頃から活躍されている方ですからね。学生の頃普通に聴いていた方が自分たちにコメントを寄せてくれるって、いい意味で違和感がすごいです(笑)。

ニシマ 夜勤のバイトをしていたときに、お店の掃除をしながらずっと聴いてましたもん。そんな方とライブをやれるだけじゃなく、コメントまでいただけるなんて……。「掃除のときにも合いますよ」とお伝えしたいです。

一同 (笑)。

左から力毅(G, Cho)、ニシマケイ(B, Cho)。

左から力毅(G, Cho)、ニシマケイ(B, Cho)。

──Daokoさんと直接お会いするのは今回の「すももハイツ」が初めてということですが、どのような経緯で出演が決まったのでしょうか。

高橋 前回で言う水曜日のカンパネラとかchelmicoみたいな、バンドじゃないアーティストもお呼びしたいなと思っていて。最初に浮かんだのがDaokoさんだったんですよね。さっき言ったように学生時代に聴いていたし、我々の青春の音楽と言っても過言ではないので。あと、Daokoさんをキネマ倶楽部で観たいという思いもあります。

力毅 キネマ倶楽部で観るDaokoさん、絶対いいもんね。

高橋 今回も来客の方の曲をカバーしたいなと思ってるんですけど、Daokoさんの曲をカバーするのは難しそうなので、どうしようかなと悩んでます(笑)。好きな曲はいっぱいあるけど、どれもバンドで再現するのが難しそうだなと。そこは僕らのがんばりどころですね。

──学生時代に聴いていたとのことですが、年齢的には皆さんとほぼ同世代なんですよね。

高橋 そうなんですよ。Daokoさんの年齢が自分とほぼ同じって、僕の中でバグに近いんですけど(笑)、それぐらい若くして活躍されていたってことですもんね。この日は、僕らとDaokoさんとダウ90000という同世代3組が集まっているので、そこも含めて注目してほしいです。

──好きなCody・Lee(李)の曲には「世田谷代田」を挙げていて、「めっちゃ個人的な経験なのですが、過去に住んでいたことがあるのでピンポイントでワー!となりました」とコメントしています。

高橋 へー! そうなんだ! アルコ&ピースの平子(祐希)さんも以前、世田谷代田に住んでいたらしくて。けっこうみんな住んでるものなんですね。

力毅 あそこからいろんなものが生まれているんだね。

──そういう意味でも、今回DaokoさんがCody・Lee(李)と競演する必然性みたいなものが出てきますよね。

高橋 そうですね。当日は一緒に世田谷代田の話をしようかなと思います。

力毅 俺らは誰1人として住んだことないけどね(笑)。