Da-iCE「I wonder」インタビュー|塗り重ねる自分だけの色 10年の歩みの先で広がる世界 (3/3)

“大きな武器”を獲得したDa-iCEの10年

──Da-iCEは今年、メジャーデビュー10周年を迎えました。この節目に思うことも伺えればと思うのですが。

花村 10年かあ。でも10年前は僕、「10年先もグループを続けられていたら、それは売れてるってことなのかな」と思っていたんですよ。実際10年以内に「CITRUS」「スターマイン」という2つのヒット曲を持つことができて、今やこの2曲の名前のほうがDa-iCEというグループ名よりも有名だと思うんですよね。それくらい大きな武器を持たせてもらえたということに、いちアーティストとして本当に感謝しかないです。言ってしまえば「CITRUS」は偶然のヒットというか、自分たちが狙って出したヒットではないのでいまだに実感が湧かない感覚があるんですけど、「スターマイン」は完全にヒットを狙いに行った曲で。パワプロで言うと、「強振」で振りにいって……。

花村想太

花村想太

工藤 あはははは! なんでそこでパワプロが出てくるんだよ(笑)。

花村 こーんなちっちゃいカーソルに狙い定めて、ジャストミートでホームランを打てた楽曲だったので。曲が広がっていく様をずっと見つめながら「やっぱすごいな」と思ったし、自分たちの曲の中で、フェスであんな景色を見せてくれる曲はほかにないので。

工藤 あれはすごいね。とにかくすごい盛り上がりなんですよ。

──先日出演された「JAPAN JAM」でも「スターマイン」でブチかましていたそうですね。

工藤 はい、やりたい放題やりました(笑)。

花村 「スターマイン」は言葉遊びで盛り上がる歌なので、それまでカッコいい雰囲気で進めてきたステージでどれだけギャップを作れるかっていうのが勝負なんです。ただただカッコいいだけではほかのダンス&ボーカルグループとの差別化はできないと思いますし、自分たちはライブ経験の多さが強みでもあるので、“現場”で獲得してきた力を感じてもらってインパクトを残すために……ネタばっかり考えてますね(笑)。

工藤 芸人かな?ってくらいね。

花村 でも本当に、みんなが思い切り楽しんで盛り上がってくれる景色は「CITRUS」という武器だけでは絶対に見られなかったものだと思うし。ここで「I wonder」も浸透してくれて、自然と腕を振って楽しんでもらえるような曲になってくれたら……「CITRUS」をじっくり聴いて、「I wonder」でいい気持ちになって、「スターマイン」で爆発してもらうっていうのはいい流れだなあと思うので。だからこそ、「I wonder」をより一層広めたい、そんな10周年ですね。

軸は決して崩さない

──工藤さんはいかがですか?

工藤 そうですね。10年前は今のようにダンス&ボーカルグループも多くなかったですしね。今はバンドかダンス&ボーカルか、みたいな感じでよくも悪くも偏りのある音楽シーンになっているなと思うし……あとはSNSの種類もすごく増えて。昔は情報発信のツールが少なかったから、どこにどうアプローチすればいいのかが明白でしたけど、今はどのSNSでどうバズるかもわからない。

花村 本当に。

工藤 そうやって自分たちを取り巻く今の環境を考えたとき、自分の信念を曲げずに進める人だけが生き残れる時代になってきたのかなと思います。ブームに乗って流行りの曲をやることはすごくイージーだけど、その流行りって5年後はどうなってるの?と。今の自分たちがどうあれば、未来の自分もカッコよくいられるのか。そのためにはフラフラしないようにしなきゃなとは考えますね。

工藤大輝

工藤大輝

──なるほど。

工藤 Da-iCEの楽曲はいわゆるJ-POPで、それをボーカルの2人が高いスキルを生かして歌う。この2つの要素が僕らの“揺るぎない軸”に当てはまると思っていて。1つの手段として流行に乗るという“手札”を使うことはあるけど、この軸は決して崩さない。例えば今は時代的にヒップホップが流行していますけど、そこに僕らがどっぷりと浸かるのは正しいのか?という。そういう自問自答をずっと繰り返しながら活動をしているような感覚がありますね。結論としては、軸をぶらすとグループとしての寿命は短くなっていくんじゃないかなと思います。

──ちなみに、Da-iCEの皆さんが音楽ナタリーのインタビューに初登場したのは9年前の「BILLION DREAMS」のとき。その頃と比べると、グループを取り巻く環境がかなり変わりましたよね。

花村 本当に。特にこの2、3年は。

──そんな中でDa-iCEは、それこそ「BILLION DREAMS」の頃から地に足を着け、音楽にしっかりと向き合って自分たちの表現を探究し続けているなという印象があります。

工藤 いやあ、今「BILLION DREAMS」をリリースしてみたいなあ。今の時代に出しても全然大丈夫な曲ですもん。我々は昔から、決して低くない強度の曲を出しているつもりなので。

花村 インディーズ時代の曲を今歌っても色褪せた感覚がないもんね。

工藤 そうそう。結局そういうことが大事なのかなって思います。

花村 特に近年、自分たちで曲を作れるようになってからはより責任感が強くなった自覚があります。トレンドに踊らされず、自分たちの音作りをしていきたいですね。

出たい場所に全部出る、立ちたい場所に全部立てる1年に

──年末には大きなアリーナツアーも控えています。このアニバーサリーイヤーをDa-iCEはどうやって進んでいくのか、最後に今の思いを聞かせてください。

花村 僕はこの10周年の年を、出たい場所に全部出る、立ちたい場所に全部立てるような1年にしたいんです。僕らの目標である東京ドームはきっとまだまだ先ですけど、そのドームだって視野に入れられるくらい、ぐんぐんと進んでいきたいですね。あとは「CITRUS」でレコード大賞を取った2021年のように、今年も年末の番組に出られるようがんばっていきたいです。特に「紅白歌合戦」。出たいです。

工藤 これは僕のテーマでもあるんですけど、行ったことのない場所のことを話すのは嫌だし、やったことがないことを勝手に言うのは嫌なんです。だから大前提として“全クリ”したいという思いを持ちつつ……メジャーデビュー10周年、結成からは12年という時が経つので、ずっと僕たちのことを応援してくれている人になるべくたくさんの感謝を伝えられる年にしていきたいですね。

左から花村想太、工藤大輝。

左から花村想太、工藤大輝。

ライブ情報

Da-iCE 10th Anniversary Live House Tour 2024

  • 2024年7月4日(木)東京都 Spotify O-EAST
  • 2024年7月11日(木)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
  • 2024年7月24日(水)東京都 Zepp DiverCity(TOKYO)
  • 2024年7月27日(土)北海道 Zepp Sapporo
  • 2024年8月9日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2024年8月12日(月・振休)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
  • 2024年8月16日(金)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
  • 2024年8月24日(土)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2024年8月25日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2024年8月30日(金)福岡県 Zepp Fukuoka

Da-iCE 10th Anniversary Arena Tour 2024 -MUSi-aM-

  • 2024年11月23日(土・祝)大阪府 Asue アリーナ大阪
  • 2024年11月24日(日)大阪府 Asue アリーナ大阪
  • 2024年12月7日(土)東京都 国立代々木競技場第一体育館
  • 2024年12月8日(日)東京都 国立代々木競技場第一体育館

プロフィール

Da-iCE(ダイス)

ボーカリストの大野雄大、花村想太、パフォーマーの工藤大輝、岩岡徹、和田颯の5人からなるダンス&ボーカルユニット。アーティスト名は「DANCE」とサイコロの「DICE」を掛け合わせた造語で、メンバー5人(5面)にファンを加えた6面で「Da-iCE」が形成されるという意味が込められている。2011年の結成以降、クラブやライブハウスを主な活動の場として年間100本を超えるライブを行い、2014年1月にユニバーサルシグマからシングル「SHOUT IT OUT」でメジャーデビューした。2017年1月に初の日本武道館公演を実施。2018年にはデビュー5周年を迎え、3枚のシングルと1枚のアルバムを発表する。2020年8月にレーベルをavex traxへ移籍し、移籍第1弾シングルとしてテレビアニメ「ONE PIECE」の主題歌を表題曲とする「DREAMIN' ON」を発表。11月にリリースされたシングル「CITRUS」は、日本人男性ダンス&ボーカルグループ史上初のサブスク1億回再生を突破し、2021年に「第63回日本レコード大賞」を受賞した。2022年には「スターマイン」でMTV「Video Music Awards Japan 2022」の「MTV Breakthrough song」を受賞。2024年4月に、TBS系ドラマ「くるり~誰が私と恋をした?~」の主題歌「I wonder」を配信リリースした。