今までで一番繊細なAメロにしたい

──歌に関しては、すごく優しいボーカルが聴けるなあという印象でした。

雄大　仕上がるまでにだいぶ時間がかかったんですよ。と言うのも、今回はいつもと少し違う環境でレコーディングをして。いつもはどちらかが先にレコーディングに入って、次の人はそれを聴いてテンション感を合わせながら歌ってたんですけど、今回は先に入れてある歌を聴かないで歌っちゃったんだよね。

想太　「聴けばよかったな」ってあとで思ったけどね（笑）。いや、「聴かなアカン」っていうことも忘れるくらい、この曲に集中していたと言うか。自分の中のイメージを形にしなきゃっていう思いが強すぎて、聴くのを忘れちゃったんです。結果的にはいい仕上がりになりましたけどね。

──どんな思いを持ってレコーディングに臨んだんでしょうか？

想太　とにかくいいものにしたいな、と言うか。僕的には「今までで一番繊細なAメロにしたいな」っていう思いがすごくあって、Aメロにめちゃくちゃ重きを置きました。ここの声の配分が一番難しくて。朝のシーン、小声で歌っている感じを表現したいなと思って、実声やミックスボイス、いろいろ使って……より優しく、寝ている「君」を起こさないように。

雄大　想太、今までの曲の中で一番難しそう。

想太　そうですね。

雄大　Aメロのワンフレーズだけで、実声とミックスボイスと裏声、全部使うので。彼はもともとわりと……Aメロだったら全部ミックスボイスで行ったりとか、声を混ぜずにキレイに歌うタイプだから、収録現場とかリハーサルでもすごい集中してますね。

想太　あはははは（笑）。

雄大　「ああーアカンアカンアカン、ダメや。帰ろ」とか言って。

一同　あはははは！（笑）

大輝　「帰ろ」は言ってないでしょ？

想太　言ってない！（笑）

大輝　前向きにがんばってるから（笑）。

想太　でもホントにすごく……「今までだったら雄大くんがこういう歌い方をしてたな」とか思いながらレコーディングしてましたね。「恋ごころ」のド頭のサビみたいな。ちょっとテクニックが要るし、思いを乗せないとアカンから大変、みたいな。

雄大　あと1番と2番で全然トラックが違うんですよ。2番ではリズムが入ってくる。だからより1番の繊細さが大切で。

──歌詞から見える風景もそうですけど、ボーカルも序盤から終盤に向かって表現のスケールがどんどん広がっていくような感じですよね。

想太　そう。それに終盤のハイライトも2回ありますしね。こういう形もDa-iCEの曲にはあまりないですから。

雄大　変わった花火大会みたいなね。「おお。これで終わりか」と思ったらまだ山場があった、みたいな。

大輝　「予算あるねえ！」みたいな（笑）。

──ぜいたくですよね（笑）。

想太　雄大くんのボーカルの後ろで僕が歌い上げるところは、すごく悩みどころです。特にライブでやるとき。邪魔にならないように、おまけくらいの存在感で声を出したいんだけど、おまけにするにはキーが高い。あんまやりすぎたら世界観にそぐわない叫び方になるけど、ファルセットだったら弱すぎる。でも本番でもキレイに再現したくて。マイクをどれだけ離したらギリギリ声が乗るのかなあと、距離感を探っていきたいと思います（笑）。

むしろ「始まり」かもしれないです。サビもまだ、あと2回ありますし（笑）

──「雲を抜けた青空」のダンスパフォーマンスについても教えてもらえたら。

雄大　クッソいいです。

颯　クのあとに「ッ」が5つ入るくらいね。クッッッッッソいいです（笑）。今回はs**t kingzのshojiさんに振り付けをお願いしまして。

大輝　バラードをshojiさんにやっていただくのはひさびさだよね。

雄大　「着れないままのコート」以来だね。

大輝　うん。shojiさんのコレオだとアップテンポで激しい曲っていうイメージがファンの皆さんの中にはあると思うんですけど、僕らは「着れないままのコート」がすごく好きで「バラードもすごくいい」っていう思いがあったから、今回お願いして。案の定よかったです。感情が見えやすい振りでね。

颯　shojiさんご自身も結婚なさってるので、ぜひこの曲を振り付けしていただけたらなという思いもありました。もうね、shojiさんに踊ってもらったときの表情が素晴らしすぎて……。

大輝　泣けたよね。

──では、皆さんも表情の表現にも意識を置いて？

雄大　意識しますね。

大輝　それと、自然と出てくる面もあります。すごく気持ちが入りやすい振りになっているから。

雄大　笑い泣きの表情が合う感じだよね。あったかくなって、笑顔で切なく泣けてしまいます。

──「雲を抜けた青空」がウエディングソングの側面を持つ曲になったのはファンの声がきっかけですし、5周年イヤーのラストを飾る曲ということで、Da-iCEとファンとの温かい関係性を歌うものというふうにも捉えられるな、と思ったのですが……これまでの活動の中で、皆さんがファンとのつながりを特に感じたような出来事を挙げるなら、どんなシーンになるでしょう。

雄大　難しいですけど、僕は日本武道館での初ワンマンかなって思います。「雲を抜けた青空」と僕らの歩みを重ねたら、最初のサビが武道館、みたいなイメージ。

──なるほど。

雄大　それまでの過程があって、みんなで武道館にたどり着けた、その流れがこの曲の流れと被ると言うか。仮に武道館を“結婚”と例えるなら。

──終着点ではないけど、ある種の到達点のようなポイント。

雄大　そうですね。むしろ「始まり」かもしれないです。サビもまだ、あと2回ありますし（笑）。