“聴けるボーイズユニット”の音楽的魅力（レコーディングディレクター 小山良太）

“聴けるボーイズユニット”というキャッチフレーズを初めて聞いたときは正直「えっ？ どういうこと？」と思いました（笑）。「好き嫌いはあれど、どんなアーティストの音楽も “聴ける”じゃないか！」とマネージャーに食ってかかって質問したところ、「CUBERSだから聴けるとか、ほかのアーティストが聴けないとか、そういう意味を込めているのではなくて、CUBERSは楽曲やライブを大切にしていくっていう意味なんです」と説明を受けまして。なるほど、このキャッチフレーズは彼らの決意表明なんだなと受け止めた反面、音源制作に携わる人間としてはちょっとプレッシャーを感じましたね（笑）。

僕は2ndシングル「Bi'Bi'Bi'」の頃から携わらせていただいているので、かれこれ1年くらいメンバーと親交があるのですが、彼らは本当に「好青年」のひと言に尽きると思っています。1人ひとりキャラクターに個性があるのはもちろん、音楽的な観点から見ても、声質がバラバラなんですよ。周波数が異なる5人の声が集まるから、それぞれがブツかり合わずに聞こえるのは、CUBERSの音楽的な魅力の1つだと思います。

“聴けるボーイズユニット”として楽曲やライブに力を入れていくことで、近い将来フェスのような大きなイベントにも出るようになるんじゃないですかね。ボーイズユニット界の王道を突き進んで、「彼らの名前を聞かない日はない」というくらいブレイクすることを期待してます！

内気な男の子が自分を重ねられる存在に 映像監督 加藤マニ

普段はバンドの方々のミュージックビデオを撮ることが多く、ボーイズユニットのMV撮影はCUBERSが初めてでした。でもそこまで構えることなく撮影に臨めたことを覚えています。というのも、ボーイズユニットの中でそれぞれ立ってる個々のキャラクター性って、突き詰めていくとバンドの中にあるメンバー同士の個性とそこまで大きくは変わらないんです。ただCUBERSは衣装が派手で、そこにバンドとは異なるアイドル的な要素を強く感じたので、これを生かす撮影っていうのはどういうものだろうというのは考えました。

アルバムに収録される楽曲「Samenaide」のMVは、“聴けるボーイズユニット”というスローガンのもとに発表される曲なので、あえてシンプルに彼らのパフォーマンスをフィーチャーした作品に仕上げています。「また躍ろうよ次はここで」といった歌詞などに象徴されるライブ自体を想起させるフレーズから、私の中でこの曲は「ライブ映えする曲」というイメージがあったので、楽曲からストーリーを連想させるようなものではなく、彼らの歌とダンスで完結するものにしたかったんです。彼らはダンスが上手で、覚えも早いため、現場でとっさに出た指示もすぐ聞いてくれるんです。難しそうな振り付けもちゃんと身に着けていますから、ポテンシャルはものすごく高いと思います。

ただ今回の撮影を振り返ってみて「ダンスをする姿を撮る」というのが、私にとって難しく感じるときもありました。バンドのMVは顔より上に手が来ることってあんまりなくて、カメラは顔を向けるか、それより下か、という選択が多かったりするのですが、ダンスを撮影する場合、顔より上を映したり、左右にカメラを振る必要が出てきたりするんですよね。そういう今まであまり経験して来なかったカメラワークが求められていると感じました。でもバンドと違って歌割りがあったりしますから 「撮りどころ」はバンドよりわかりやすいんですよね。

ボーイズユニットのことについてそこまで詳しくはないものの、これから男性アイドルの人気の波が大きくなったとき、楽曲に力を入れ、あえて王道を進もうとしているCUBERSは、シーンの中でもいい位置にいられるんじゃないかと思うんです。曲に力を入れるってことは、男女どっちのファンも作れるってことでもありますから、男の子にとっても憧れの存在になるんじゃないでしょうか。いわゆる肉食っぽいシンガーではなく、ちょっと内気な感じの男の子が自分を重ねられる存在があってもいいんじゃないかなって思うんです。CUBERSにはそういう存在になってほしいですね。