Cody・Lee(李)が10月から11月にかけて自主企画ツアー「ようこそ!すももハイツへ -3LDK-」を行う。
今年5月にアルバム「心拍数とラヴレター、それと優しさ」でKi/oon Musicよりメジャーデビューを果たし、7月にバンド最大規模となる全国ツアーを終えたCody・Lee(李)。そんな勢いに乗る彼らが次に行うツアー「ようこそ!すももハイツへ -3LDK-」は、「架空のアパート『すももハイツ』に“来客”としてさまざまなゲストを招待する」というコンセプトの対バン企画だ。“来客”にはMONO NO AWARE、水曜日のカンパネラ、時速36km、chelmicoといったアーティストのほか、マツモトクラブ、9番街レトロ、真空ジェシカというお笑い芸人3組も名を連ねている。
このツアーの開催を記念して、音楽ナタリーはCody・Lee(李)にインタビュー。7組の“来客”に行ったアンケートの回答を紹介しつつ、各ゲストをキャスティングした理由などについて話を聞いた。また特集の後半では、7組が好きなCody・Lee(李)の曲と、ツアー参加への意気込みを紹介する。
取材・文 / 石井佑来撮影(インタビューカット) / 前田立
「すももハイツ」は僕らが楽しければそれでいい
──前回はHelsinki Lambda Clubとのツーマンツアーという形で行われた「ようこそ!すももハイツへ」ですが、そもそもこの企画はCody・Lee(李)にとってどのような位置付けのイベントなのでしょうか。
高橋響(Vo, G) 「すももハイツ」はワンマンみたいにきばってやるわけでもなく、ある意味、人任せにできるイベントというか。半分遊びみたいな感覚で、リラックスしてできるライブにしたいなと思ってますね。
力毅(G, Cho) 「それぞれ趣味や年齢は全然違うけど、一緒にいたら楽しいよね」と思えるようなライブにしたいというか。「新しいゲーム買ったから、ウチに遊びに来ない?」ぐらいの感覚で、いろんな人を呼びたいなと思ってます。
高橋 「一緒にマリカーする?」みたいなテンションだよね(笑)。
ニシマケイ(B, Cho) 僕らのパフォーマンス自体も全国ツアーを経てよりよくなってきたと思うので、そういう意味でも楽しみですね。
──今回はアーティストだけじゃなくてお笑い芸人も3組参加されますが、そういったキャスティングの方向性はどのような経緯で決まったんですか?
高橋 僕らは今年5月にメジャーデビューしたんですけど、メジャーデビューして、ツアーをして、ツーマンライブをやって……みたいな定番のコースを進むのが嫌だったんですよね。ちょっと変わったことをしたいなと思っていて。もともと僕らはお笑い好きのメンバーが多いので、芸人さんを呼んでちょっと変わった形の対バンライブをしたいなと。
──お笑いは5人ともお好きなんですか?
高橋 わりとみんな好きなんですけど、趣味はけっこうバラバラで。僕はラジオが大好きでめちゃくちゃ聴いてます。
尾崎リノ(Vo, G) 私は小さなライブ会場にもよく行きますね。
原汰輝(Dr, Cho) 僕は正直あまり詳しくないんですけど、最近は千原ジュニア(千原兄弟)さん、小籔(千豊)さん、フットボールアワーさんがやってる「ざっくりYouTube」というチャンネルにハマっていて。ほかのメンバーはだいぶ詳しいと思いますよ。
──尾崎さんは小さな劇場にも行かれるということですが、具体的にはどういったライブに足を運ばれているんでしょうか。
尾崎 最近は大喜利のイベントに行くことが多いですね。右手でグーパンチさんのライブとか……。
──まさか真っ先に右手でグーパンチさんの名前が出てくるとは思わなかったので驚いています。
尾崎 右手でグーパンチさん知ってるんですか!? え、うれしい(笑)。あとは警備員さんとかも好きで。
──お笑いトリオ・ハチカイの警備員さんですね。
尾崎 そうですそうです! この前もグーパンチさん、警備員さん、ぺるともさん、10億円の山内(仁平)さんとかが出てる「四喜利」という大喜利イベントをロフト(LOFT9 Shibuya)に観に行って。「大喜る人たち」(大喜利専門のYouTubeチャンネル)も人気だし、最近は大喜利がアツいですよね。
──そういう、お互いに好きなお笑い芸人などはメンバー間で紹介し合ったりするんですか?
尾崎 あの動画観た?みたいな話はよくしますね。
力毅 今はちょうどM-1の1回戦の動画が公開されているので、「令和ロマンのネタ観た?」みたいな話を会うたびしています(笑)。
──なるほど(笑)。今回のツアーのキャスティングは皆さんで話し合いながら決めていったのでしょうか。
尾崎 そうですね。ホワイトボードに好きな芸人さんやお呼びしたいアーティストをバーッと羅列していって。
──あくまで自分たちの“好き”や“呼びたい”を最優先で決めていったと。
高橋 自分たちが好きな人を呼ぼうというのがコンセプトでもあるので、僕らが楽しければそれでいいのかなと思って。音楽についても、5人ともそれぞれルーツは違うけど「この人と対バンしたいね」という意見はけっこう一致したので、わりとすんなり決まりました。
MONO NO AWAREには嫉妬よりも尊敬が勝つ
──今回のインタビューにあたって、ゲストの皆さんに「あなたが思うCody・Lee(李)の魅力とは?」という質問に答えていただきました。ここからは、1組ずつその回答を紹介していきたいと思います。まずはMONO NO AWAEREのボーカル・玉置周啓さんです。
Cody・Lee(李)の魅力とは?
Cody・Lee(李)のことは、フジファブリックを敬愛しているという噂で知りました。嫉妬を予感しながら聴いた彼らの音楽は、ただの過去への憧憬や模倣ではなく、もっと鮮やかなもので。僕が高円寺陸橋を見に行ったように、いつか誰かが世田谷代田に行くでしょう。それは、僕にとっても嬉しいことでした。
一同 おー!
原 めちゃくちゃうれしいですね! もう詩じゃないですか、これは(笑)。さすがです。
力毅 「嫉妬を予感しながら聴いた」なんてそんな……むしろこっちが嫉妬し続けてますよ(笑)。
高橋 あ、でも僕はMONO NO AWAREには嫉妬しないかも。なんかもうはなから勝ち目がないと思っているというか。それこそフジファブリックが好きだっていうのも知っているから「やられたな」と思うことはたくさんあるけど、嫉妬よりも尊敬が勝っちゃう。「幽霊船」という曲があるんですけど、ミックスとかボーカル含めて「これはフジファブリックから影響を受けてるな」と思う部分が多々あって。そういう曲を聴くたびに「やられた」と思わされますね。
──MONO NO AWAREとCody・Lee(李)は、野外イベント「SLOW DAYS」で2020年と今年に競演しています。そこでは何か言葉を交わされましたか?
尾崎 一昨年の「SLOW DAYS」のMCで玉置さんが話していたことが、ちょうど私がその日 Twitterで見かけた投稿とすごく似ていて。「あのMC、Twitterでバズってたやつですよね」って言ったんですよ。そしたら、Twitterで見かけた投稿を自分で気付いたことだと勘違いして話していたらしくて、すごく恥ずかしそうにしてました(笑)。申し訳なかったです。
高橋 僕は好きすぎてお話できなかったんですよね。喫煙所で2人きりになったんですけど、お互い顔を見ることもなく沈黙してました(笑)。なので今回こそはちゃんとお話ししたいと思います。
──ゲストの皆さんには、ライブ当日への意気込みも聞いているんですけど、玉置さんはひと言「決着をつけよう」とおっしゃっています。
高橋 どういうことですか?(笑)
力毅 喫煙所で揉めたりした?
高橋 いやいやいや。まあでも、似たような音楽を聴いて育ってきた者同士、向かう場所は一緒だと思うので、ここで決着をつけたいと思います。
マツモトクラブさんの世界に引きずり込んでほしい
──続いては、MONO NO AWAREと同日に出演するピン芸人・マツモトクラブさんです。
Cody・Lee(李)の魅力とは?
曲ひとつひとつにどこから溢れているのかわからないような温もりがあり、その先に、思いがけない強さを感じたり。どこに連れていかれるかわからないけれど、そこは絶対に素敵な場所だと安心しているので、私をどこへでも、いろんなところへ連れていってください。
原 なんか気持ちいいですね……。この企画、毎週やってほしい(笑)。
──マツモトクラブさんはどのようなきっかけでオファーすることになったんですか?
高橋 ピン芸人の方を1組は呼びたいと思ってお声がけしました。独特の雰囲気を持っている方なので、「すももハイツ」をマツモトクラブさんの世界に引きずり込んでほしいですね。芸人さんには、ネタの指定などはなく「とにかく好きなことをしてください」とお願いしているので、どんなことをされるか楽しみです。
──マツモトクラブさんのネタは、4分前後の尺の中で情景を切り取って、そこにいろんな感情を立ち上がらせるという、ある意味ポップミュージックの表現方法と近いものがあるように感じます。そういう点において、マツモトクラブさんのネタはアーティストである皆さんから見てどのような印象ですか?
力毅 確かに曲っぽさはあるかもしれないですね。でも、音楽は曲を書いている自分自身が主人公になりがちな気がしていて。一方でマツモトクラブさんのネタは脇役の引き立たせ方がとても上手なんですよね。出てくる登場人物全員が主役であり脇役でもあるというか。だからこそ描ける面白さみたいなものがある。そこが音楽とはまた違う視点というか、芸人さんならではだなと思います。
高橋 僕らの曲とマツモトクラブさんのネタで言うと、ノスタルジックな雰囲気は共通しているかもしれないですね。
──ほかの方々は、マツモトクラブさんを対バン相手に迎えるにあたってどのような心境ですか?
原 僕の兄がハラマコンテンツという名前でPodcastをやっているんですけど、実は「マツモトクラブ」という字面を意識して命名したらしくて。それぐらいマツモトクラブさんのことが大好きなんですよ。だから、僕らが対バン相手を発表したときに「うらやましい」ってLINEが来ました(笑)。
ニシマ それで言うと、僕の家族も普段「誰々と対バンするの?」とか絶対に言ってこないんですけど、今回ばかりは「マツモトクラブいるの?」って連絡をくれて。それはちょっとうれしかったですね。家族にもちゃんと通じるんだと思って。
力毅 やっぱり僕らよりちょっと上の世代の方からの支持が厚いのかもしれないですね。そういう意味でも、普段のライブとは違う層の方々が来てくれそうなので楽しみです。