ものすごいレコーディングマジック
──ドラマチックに展開していく壮大なサウンドも素敵ですね。歌詞の世界観と相まって胸をグッとつかまれます。
小幡 僕らはわりと自分たちだけでトラックを作り切るスタイルでやっているので、演奏していただくプレイヤーの方にお任せする部分をこれまではあまり作ってこなかったんですよ。でもこの曲は歌詞がそうであるように、隙間や空白を大事にアレンジしていきたいと思ったので、あんにゅの仮歌が流れる中でドラム、ベース、ギターを「せーの」で録っていただいて。その結果、ものすごいレコーディングマジックが起きたんです。
あんにゅ ビックリしたよねえ。イメージがガラッと変わりましたから。歌詞の言葉1つひとつに寄り添ったプレイをしてくださったことで、曲自体の説得力が増したというか。楽器がしゃべっているような感覚を味わえたんですよ!
小幡 うん、楽器が歌ってたね。サビの最後に出てくる「ありがとう」にかぶってくるドラムのフィルは、実際に「ありがとう」って歌ってるようだし。
あんにゅ 私が「ありがとう」に込めた思いと、まったく同じ気持ちで叩いてくださったんだなと思って感激いたしました。
小幡 プレイヤーの方々に命を宿されたオケを聴いたとき、「この曲ってこんなに躍動感があって、こんなにキラキラしてたんだ!」って改めて教えてもらえた気持ちにもなったりして。で、そうなると必然的にその上で歌うあんにゅの気持ちの入り方も変わっていったんですよね。
あんにゅ うん。オケ録りの後に本番の歌入れをしたんですけど、歌い方はまったく変わりました。この曲のメロディを家で作ったときはボソボソ歌ってる感じだったんですよ。まさかここまで大きな世界観を持ったエネルギーのある曲になるとは思ってなかったから。でも完成したオケを聴きながら歌ったら全然違う声が出てきて。自分で書いた言葉たちが新鮮な気持ちで心に入ってくる感覚もありましたね。
大切に歌い続けていきたい曲
──優しさやせつなさといった感情が見えつつも、1曲を聴き終えたときに感じるのはしっかりと前を向いた強さだったんですよね。そういう意味でも非常にエモーショナルな歌声になっている印象がありました。
あんにゅ 案外、音源としては今までありそうでなかった歌い方になった気がしますね。レコーディングでは自分の中の“ビューティフルデイズ”をはっきり心の中に思い浮かべて歌いたかったので、おばあちゃんとの思い出、友達と遊びにいったこと、言われてうれしかった言葉とかを書いたメモを持ってブースに入ったんです。そういった思い出すべてを歌としてちゃんと録音できたなって思います。
──美しい日々の思い出があるからこそ僕らは強く歩んでいけるってことですよね。
あんにゅ そうですね。戻りたいと思っても過去には戻れない。同じ経験は2度とできない。だからこそ過ぎ去ったビューティフルデイズは絶対に忘れないようにしたいっていう。そういう強い気持ちをしっかり込めて歌えましたね。
──柔らかなコーラスが鳴り渡るアウトロがふくよかな余韻を感じさせてくれるところもすごくよかったです。
あんにゅ ああいったコーラスは意外と今までやったことなかったもんね。
小幡 うん、アウトロでひたすら鳴り続けてるコーラスね。かけがえのないビューティフルデイズに対しての「ありがとう」の余韻を感じさせつつ、高ぶった感情を抱きながら前へ進んでいく感じが表現できたと思います。思い出についてひたすら歌ってる曲ではあるけど、その思い出に背を向けて前へ進む意志がちゃんと見えますからね。ポジティブな感情で曲が終わっているところが僕としてはすごく気に入っています。今後も大切に歌い続けていきたい、演奏し続けていきたい曲になりました。
何気ない一瞬一瞬のすべてが“ビューティフルデイズ”
──ミュージックビデオは森の中で演奏する映像になっていて。コアラモード.は自然との相性がいいですよね。
あんにゅ 今回は千葉の森で撮影しました。監督さんが曲の世界観をしっかり汲み取って大切に作ってくださったのがうれしかったですね。かわいい色合いだけど、その中に温かさが見えてくるところがすごくいいなって。ホントに気に入ってます。
小幡 あんにゅが額縁を持っているシーンがあるんですけど……。
あんにゅ あれ、思い出を切り取ってるってことなんですよ!
──あー、なるほど。
小幡 その何気ない一瞬一瞬のすべてが僕らにとっての“ビューティフルデイズ”になるんだよっていうことを表現しているんですよね。映像によって、曲自体をより引き立ててくださった感じですね。撮影当日はかなり寒かったんですけど、その寒さも映像にいい形で出てるような気がします。
あんにゅ 撮影は12月だったからね。寒かったけど、雪が降らなくてよかったよ。雪が降りがちですからね、コアラモード.のMV撮影は(笑)。
小幡 そうね。降りがちだね(笑)。
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仲のよかった友達に向けて
- コアラモード.「ビューティフルデイズ」
- 2019年3月6日発売 / アリオラジャパン
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初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / BVCL-954~5 -
通常盤 [CD]
1200円 / BVCL-956
- CD収録曲
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- ビューティフルデイズ
- カンパイ!
- 地区センターに行こうよ
- ビューティフルデイズ Instrumental
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 「ビューティフルデイズ」ミュージックビデオ
- コアラモード.
- ボーカルのあんにゅとサウンドクリエイターの小幡康裕からなる神奈川・横浜出身の男女2人組ユニット。2013年の結成以来、横浜を拠点に精力的なライブ活動を行い徐々に注目を集める。2014年11月には自主制作の4曲入りシングル「メモリーズ」をリリース。2015年2月にフジテレビ系“ノイタミナ”アニメ「四月は君の嘘」後期オープニングテーマ「七色シンフォニー」でメジャーデビューを果たした。2016年は愛知学院大学のCMソング「拝啓、5年後の私」を収めたシングル「さくらぼっち」や、tvk「saku saku」のエンディングテーマとしてオンエアされていた「雨のち晴れのちスマイリー」、NHK「みんなのうた」への提供曲「ママのママのママのママ」などを発表。2017年2月にこれらの楽曲を収めた1stアルバム「COALAMODE.」をリリースした。2018年4月にテレビ東京系アニメ「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」のエンディングテーマ「花鳥風月」を発表したのち、5月に2ndアルバム「COALAMODE.2~街風泥棒~」を発売。11月に新プロジェクト「Coalamode.Labo 2018→2019」を始動させ、2019年3月にニューシングル「ビューティフルデイズ」をリリースする。