- パーソナリティ
- 菅野結以
「Coming Next Artists」第30回には、4月18日にメジャー1stシングル「ウララ」を発表したビッケブランカが登場する。インタビューはラジオで共演経験のある菅野結以が担当。歌詞に対するこだわりなどビッケブランカの制作にまつわるスタンスや、メジャーデビュー前に彼が経験した挫折に関するエピソードなど、さまざまな話を聞いた。
取材 / 菅野結以 文 / 倉嶌孝彦 撮影 / 須田卓馬
- ビッケブランカ
- 愛知県出身の男性シンガーソングライター。高校卒業と同時に上京しピアノを習得した後、本名の山池純矢としてソロ活動を開始する。2012年にビッケブランカに改名。その後はライブを中心に活動を続け、美麗なファルセットボイスとピアノが紡ぎ出すポップチューンを武器に各地のイベントなどに出場し話題を集めている。2014年7月に先行配信シングル「追うBOY」をリリース。同年10月に1stミニアルバム「ツベルクリン」を発売した。2015年8月には2ndミニアルバム「GOOD LUCK」を発表。2016年10月にミニアルバム「Slave of Love」でavex traxよりメジャーデビューを果たす。2017年1月にワンマンツアー、5月にツーマンツアーを行い、各公演のチケットはソールドアウトを記録。7月に1stフルアルバム「FEARLESS」をリリースし、8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017」や「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO」といった大型フェスに出演。9月から行われたワンマンツアー「FEARLESS TOUR 2017」は、10月の東京・赤坂BLITZ(現:マイナビBLITZ赤坂)でのツアーファイナルを含め満員御礼となった。2018年4月にメジャー1stシングル「ウララ」を発表。6月に全国6カ所を回るライブツアー「ビッケブランカ ULALA TOUR 2018」を開催する。
続いているのは音楽だけ
──以前、私がパーソナリティを担当してるラジオ番組「RADIO DRAGON -NEXT-」に出演していただいたのが2015年8月だったので……。
もう2年半以上も前なんですね。おひさしぶりです。
──確かそのときは釣りの話をしたんですよ。
あの頃はよく釣りをしてたんですけど、今はもう全然やってないんですよ。時間的な余裕もそんなになくなっちゃったし、ちょっと飽きちゃって(笑)。
──あんなに夢中になってたのに! 今は、何か違う趣味があるんですか?
今は運動全般が趣味みたいな感じです。
──具体的にはどんな運動を?
ジョギングもしますし、バスケしたり、野球したり。泳ぐこともありますね。例えばテレビで格闘技を観たときに「あ、やってみよう」と思って、友達を集めてボクシングをやったこともありました。
──すごい行動力ですね。
でもそういうのはだいたい1回やったら満足なんですよ。ひさしぶりに人を集めて野球をやったときも、1回やったらもうそれで満足しちゃって。基本的には飽き性なんですよね。
──何か続いているものはあるんですか?
続くのは音楽だけですね。人生を振り返ってみて、根気よく続いているのは音楽しかないんです。僕「音楽をやっていこう」と思ったのって中学3年のときなんですよ。もともとアコースティックギターは弾いていたんですけど、ベースとかドラムにも触り始めて。しょぼい音だったけど録音して「あ、俺はこれでやってこう」って思ったのが中3。
──当時はバンドを組んだりしてましたか?
もちろんバンドも組んでいたんですけど、僕は当時から自分のやりたいようにしかやらない人間だったから、バンドメンバーの個性を潰しちゃってたんですよね。もっとみんなの個性を生かすようなことができればよかったんですけど、そのときの僕にはそれができなかったから、バンドは全然続かなくて。
──ただ、自分1人でも音楽がやれる手応えはあったわけですよね。
そうですね。ギターだけじゃなくて、ドラムもベースもまずは全部自分で理解してから使いたかったから、それなりにどの楽器も扱えたんです。だからまあ1人でもなんとかなるかって。
──どちらかと言えば1つの楽器を突き詰めていくアーティストさんのほうが多いと思うんですけど、なぜビッケさんは複数の楽器を扱うようになったんでしょうか?
僕は特定のギタリストやスーパープレイヤーに憧れて音楽を始めたわけじゃなくて、小さい頃からいろんな曲を聴く中で「音楽ってすごいな」って思いで楽器に触れ始めたんです。どちらかと言うと「楽器が弾きたい」という思いより「曲を作りたい」っていう思いが初期衝動だったんですよね。だから1つの楽器を極めるんじゃなくて、いろんな楽器を理解していきたかった。
──もしかして「歌いたい」という欲求より「曲を作りたい」という欲求のほうが早く芽生えたんですか?
そうですね。歌うこと自体は好きだったんですけど、やっぱり自分で作った曲であることは前提として考えてました。最初は人前に出てライブを披露して盛り上げる、みたいなこと自体にそこまで興味がなくて。「曲を作りたい」「すごい音楽をCDで出したい」って欲求のほうが強かったですね。
音源を作るときはライブのことを一切考えない
──ビッケさんは2016年10月にリリースしたミニアルバム「Slave of Love」でメジャーデビューを果たしました。何か大きく変わったことはありますか?
メジャーになったことで僕の周りで動いてくれる人が増えたから、そこは変わった部分なんですけど、僕自身がやってることはインディーズでもメジャーでも変わっていないんです。家にある2畳くらいの防音室の中で、今も昔も同じように曲を作ってる。まあ強いて言えば、タイアップで曲を書くことが増えたから、曲を書くときの頭の使い方がちょっと変わったくらいで、そのほかの生活は別にそんなに変わってないですね。
──メジャーデビューしてからの1年半で特に印象的だったことはなんですか?
一番印象に残っているのは、昨年10月の東京・赤坂BLITZ(現・マイナビBLITZ赤坂)での「FEARLESS」ツアーファイナルですね(参照:ビッケブランカ、みんなで歌った全国ツアー満員の赤坂BLITZで幕)。アンコール中にしみじみ思ったのが、「今日が人生の中で一番楽しい日だな」ってことだったんです。
──ただ、さっきは「人前に出てライブを披露して盛り上げることには興味がなかった」とも話してました。どこかでターニングポイントがあったんでしょうか?
僕はもともとライブというものが好きじゃなかったんです。曲作りが好きで音楽を始めたこともあって、音源を作るときはライブで再現できるかどうかは一切考えてなくて。だから昔は「自分の作った音源がしっかり再現できないライブなんてやる意味があるのか」くらいに思ってたんです。ただこうやって音楽を仕事としてやっていくと、自分が作りたいもの100%で作った音楽が、意外とみんなにも好かれるってことに気付くわけですよね。それがうれしいし、その反応がダイレクトに返ってくるのがライブなんです。だからだんだん目の前のお客さんを楽しませたいなって思うようになってきて。
──ライブに対する意識が変わって、作る音楽にも変化は出てきましたか?
それが、あんまり変わってないんですよね。今も昔も音源を作るときはライブのことは一切考えてないです。その代わりと言ってはなんですけど、ライブの制作に入ったら音源がどうかはいったん置いておいて、どうやったらみんなと楽しめるかを100%で考えてます。完全に切り分けてますね。
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「ウララ」の歌詞はダサくて深い
- ビッケブランカ「ウララ」
- 2018年4月18日発売 / avex trax
- CD収録曲
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- ウララ
- Get Physical
- Black Rover
- 今ここで逢えたら
- 初回限定盤DVD収録内容
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「FEARLESS TOUR 2017 at Akasaka BLITZ」
- OPENING
- Take me Take out
- アシカダンス
- Broken
- 追うBOY
- Want You Back
- さよならに来ました
- Stray Cat
- THUDERBOLT
- Moon Ride
- Slave of Love