超ときめき♡宣伝部「最上級にかわいいの!」インタビュー|“ロックオン”してバズらせたポジティブな失恋ソング

超ときめき♡宣伝部のニューシングル「最上級にかわいいの!」がリリースされた。

「最上級にかわいいの!」はコレサワの提供曲。「君に振られて最上級に可愛いの これが乙女の逆襲だ!」という歌詞、槙田紗子が手がけたキャッチーな振付が特徴のポジティブな失恋ソングで、もともとは今年1月に発売された最新アルバム「ときめく恋と青春」の収録曲だったが、TikTok上でヒットを記録したことを受けてシングルカットという形でCDリリースされた。

超とき宣は2021年にも「すきっ!~超ver~」がTiKTokでブームになったが、この曲はもともと2018年発表の楽曲だった。今回、彼女たちは新曲で“バズ”を生み出すことに成功し、TBS系「CDTVライブ!ライブ!」などの音楽番組への出演も果たしている。音楽ナタリーではメンバー6人にインタビューし、TikTokでのバズに至るまでの背景、7月にスタートする海外公演を含むライブツアーや、年末に控える埼玉・さいたまスーパーアリーナ公演に向けての心境などを語ってもらった。

取材・文 / 近藤隼人撮影 / 曽我美芽

TiKTokバズはすべてがうまく重なった結果

──2021年に「すきっ!」がTikTokでバズったときは過去の楽曲が意図しないところで突然注目を浴びた形でしたが、今回の「最上級にかわいいの!」は最新曲です。かなり戦略的にバズを狙いにいったんでしょうか?

坂井仁香 狙って火を点けました。

辻野かなみ 狙いに狙って(笑)。

坂井 「すきっ!」がバズったあとは、新曲を出すたびに「この曲もバズったらいいな」と思いながらTikTokにダンス動画を上げていたんです。「最上級にかわいいの!」についても「これちょっといけそうじゃない?」という話をしつつ、積極的に動画をアップしていて。そしたら見事命中しました。

坂井仁香

坂井仁香

辻野 「最上級にかわいいの!」は1月の横浜アリーナワンマンで初披露したんですけど、公演が終わってすぐこの曲のライブ映像をYouTubeにアップして(参照:超ときめき♡宣伝部「私たちを横アリに立たせてくれてありがとう!」夢の舞台に1万6千人動員)。さらにTikTokを頻繁に更新するようにしていました。

──「最上級にかわいいの!」は、もともと1月にリリースされたアルバム「ときめく恋と青春」の収録曲です。今回はアルバムからのシングルカットという形ですが、「これちょっといけそうじゃない?」と気付いたのはアルバムリリース後だったんでしょうか?

坂井 いえ、リリース前からその予感はありました。アルバムリード曲の「ハピラブルー!」についてもたくさん広まってくれたらうれしいねってメンバーやスタッフさんと話していたんですけど、横アリのあとからは「最上級にかわいいの!」のダンス動画を多く上げるようにして。紗子先生に振り入れしていただいたときから、「これ学生に受けそうじゃない?」という話はしていたんですよ。

小泉遥香 TikTokで女子高生たちが制服で踊ってくれたらいいねって。そしたらホントに踊ってくれる子がいてうれしかったです。

小泉遥香

小泉遥香

辻野 やっぱり、コレサワさんの楽曲提供というのが大きかったんだと思います。コレサワさん自身の曲もTikTokでバズってるものが多かったりするので、曲を書いていただけたら多くの人に注目してもらえるんじゃないかと思っていました。槙田紗子先生の振付も真似しやすくて踊りたくなる感じになっていますし、そういう要素がすべて合わさって「これならいけるんじゃないか」という予感がありました。

──当初、コレサワさんは“振られる”バージョンと“振られない”バージョンの2パターンの歌詞を用意していたそうですが、とき宣の運営が“振られる”バージョンのほうで即決したとか。結果その選択は大正解だったのでは?

菅田愛貴 絶対にそうだと思います。TikTokで踊ってくださっている方も「歌詞がよすぎる」と言ってくれていて。「すきっ!」のとき以上に曲自体が注目されている印象があります。ホントにこのバージョンの歌詞で大正解だったと思います。

──歌詞、メロディ、振付と、いろんな要素がマッチした結果のバズりだと。

坂井 やっぱり全部がうまく重ならないとダメみたいで。「最上級にかわいいの!」はすごく耳に残りますよね。「君に愛されて最上級にかわいいの」だったら「うんうん、確かに」っていう印象だけど、「君に振られて最上級にかわいいの」なんてほかで聞いたことがないフレーズじゃないですか。

──どのくらいのタイミングでバズりの手応えを感じました?

菅田 横アリが終わってすぐに上げたダンス動画の再生数がけっこう伸びたんですよ。そのときに「いけるかも!」と思いました。そこからいろんな方がTikTokで「最上級にかわいいの!」を使ってくれるようになって。

吉川ひより メンバーみんな、TIkTokに上がっている動画の数を毎日確認していたよね(笑)。それに対して“いいね”を付けたり、コメントしたり、自分たちも動画を上げたりして、この勢いで盛り上げていこうという意識が強かったです。

小泉 次第に有名な方々が「最上級にかわいいの!」を踊ってくださるようになって。「ちょっと来てるんじゃない……!?」と確信が芽生えてきました。

杏ジュリア いろんなアーティストさんや有名なインフルエンサーの方が踊ってくださっていたんですけど、NiziUのMAKOちゃんとMAYUKAちゃんが踊ってくれているのを観たときは特にうれしかったです。

杏ジュリア

杏ジュリア

──この曲をきっかけに宣伝部員(超とき宣ファンの呼称)になった人も多い?

坂井 そうですね。「最上級にかわいいの!」を好きになってとき宣のことを知るっていう現象が今回は起きているのかなと思います。

菅田 Instagramとかに「ひと目惚れしちゃいました!」とか「大好きになりました!」っていう声がたくさん届くようになりました。

 「今までアイドルを推したことなかったけど、この曲がきっかけでととき宣を推すことにしました」という声もあってうれしいです。

辻野 そこから特典会に足を運んでくださる方もいます。

小泉 「この曲に元気をもらえた」という声もあって。YouTubeに上がっているライブ映像に「振られた元カレのことを忘れたくてこの曲に聴いたらすごく元気が出ました」というコメントが付いてました。

──グループの外側、既存のファン層以外のところに届いている実感があると。

坂井 そうですね。でもここに至るまでにTikTokの難しさを痛感しました。ホントに簡単じゃないです(笑)。

辻野 TikTokにもそのときどきの流行りがあるんですよね。アップのダンス動画が主流だった中、全身のダンス動画が流行り始めたりして、それに合わせて全身の動画の投稿を増やしたりしたものの、そう思うように反響が得られなくて。

辻野かなみ

辻野かなみ

──今のアイドル界はTikTokでバズることが人気グループになるための必須項目になっていて、歌やパフォーマンスのクオリティと関係ないところで競争が起きているとも言えますが、とき宣としては、ライブを観てもらえればTiKTokに懐疑的な人も黙らせられるという自信があるわけですよね。

坂井 はい。SNSに力を入れてはいるけど、やっぱりライブが一番だと考えていて。ライブがあってのアイドルなので、ステージを何よりも大事にして、ボイトレやリハーサルに励んでいます。とき宣のことをSNSで知ってライブを観に来る方はきっと驚くんじゃないかな。こんなにカッコいい曲もやって、熱いライブをするんだって。SNSでバズったとしても、とき宣はとき宣のままで、今までのファンの方を置いてきぼりにする気もまったくないです。そこのベースの部分は何も変えずに活動しています。

──「すきっ!」のときもそうでしたけど、一過性のバズで終わらせず、グループ自体の人気拡大につなげられるのがとき宣の強みですよね。

坂井 1回釣ったら離さない。離したくないです(笑)。

フェスに持ってこいの「ときめきパーティ」&ちょっと怖い「ししし!」

──シングルのカップリング曲についても話を聞かせてください。まずは4月のワンマンライブ「ときめき♡春の晴れ舞台 2024 ~自分史上1番ときめき放つわ~」で初披露された「ときめきパーティ」について(参照:超ときめき♡宣伝部のロックな生バンドライブ!コレサワ登場やSSA公演発表に沸いた「春の晴れ舞台」)。

 歌詞で伝えていることはシンプルで私たちらしくて、「この地球じゃ足りないくらいときめきがあふれてるんだよ」っていうことを歌ってます。振りはすごくわかりやすくて、サビは左右に手を振る簡単な振付になっているので、ライブでは私たちの動きを見ながらその場ですぐ盛り上がれると思います。

菅田 初めて聴いた方でも誰でもパーティ気分になってときめくことができる、フェスに持ってこいの1曲ですね。お客さんと一緒に空間を作り上げるような、ライブ映えする曲だと思います。

辻野 スタッフさんとしても、フェスで誰でも盛り上がれる曲を作りたいというイメージが最初からあったらしくて。初めて聴く曲ってその場の盛り上がりについていくのが難しかったりするじゃないですか。実際、とき宣がフェスでパフォーマンスしているときに、お客さんの反応を見てスタッフさんがそう感じたらしいんですよ。だから、誰でも体が勝手に動いちゃうような曲を目指して「ときめきパーティ」を作ったそうです。私はほかのメンバーより先に完成した音源を聴かせてもらったんですけど、この曲を初めて聴いた人が乗れるかどうかを試されていたらしくて(笑)。その作戦にまんまとハマっちゃったというか、見事にリズムにノッて体が動いちゃいました。私がノれるくらいなので(笑)、誰でも楽しめる曲だと思います。

──「(ときめきが鳴るパーティ)」「(弾ける~ わっ)」など、歌詞の()でくくられている部分は、お客さんに歌ってもらうことを想定して書かれている?

坂井 そうです。その想定で作って、「春の晴れ舞台」で宣伝部員さんにも歌ってもらいました。みんな完璧でしたよね。

辻野 宣伝部員さんの対応力、ホントにすごいです。

吉川 フェスでは宣伝部員さんが率先して歌ったり踊ったりしてくれたら、私たちのことを知らない方もノりやすくなるかなって。そういういい循環ができるはずなので、早くフェスで披露したいですね。海外の公演でも、言葉が通じなくてもみんなノッてくれるかも。

吉川ひより

吉川ひより

──続いて、片思いしているときの焦りや気持ちの揺らめきを描いた「ししし!」についても伺います。

坂井 この曲はメロディラインが大好きです。ちょっと不思議な空間にいるような雰囲気で。でもレコーディングはすごく難しかったですね。音程が1番と2番で違うし、全部バラバラというか、細かすぎて大変でした。

菅田 レコーディングではメンバーみんな1曲通して歌うんですけど、私は「ししし嫉妬しちゃった」の「ししし」がなかなか言えなくて苦戦しました。「し」が多くなっちゃって(笑)。

辻野 私は「じじじTHE ENDでしょうか」の「じじじ」が「じぇじぇじぇ」に聞こえるってスタッフさんに言われました(笑)。

坂井 (笑)。この曲の主人公は「『嫉妬』でいっそ検索してみても何にも答えは出てないわ」と歌っている通り、好きな人の片思い相手に嫉妬してるんですけど、すごく必死なんですよね。「最上級にかわいいの!」が振られても余裕な感じなのに対して、「ししし!」はこの必死さがいいなって。

菅田 女の子って誰しもこういう気持ちを一度は抱くと思うんです。この曲を聴いて共感してくれる人はきっと多いと思います。

菅田愛貴

菅田愛貴

坂井 脳内で考えていることがすべて歌詞になっている感じです。

辻野 ちょっと怖いけどね(笑)。

坂井 「すぐ告って失敗しちゃえって」とか歌ってるからね(笑)。愛貴ちゃんのパートで一瞬かわいくなるけど、すぐシリアスなトーンに戻るし、そのメンヘラ感がこの曲のいいところです。

吉川 「ししし!」ってタイトルを最初に見たとき、ちょっとふざけたかわいい曲だと予想していたんですよ。宣伝部員さんも曲を聴いていい意味で裏切られると思います。