ナタリー PowerPush - チャットモンチー

バンドの進化を示す傑作が完成 3rdアルバム「告白」を語る

チャットモンチー3枚目のフルアルバム「告白」がついにリリース。シングルチューン4曲を含む計13曲を収録した本作は、彼女たちの新機軸を切り開く傑作となった。

いしわたり淳治、亀田誠治がサウンドプロデュースを手がけた楽曲に加え、セルフプロデュース曲も2曲収録。今回はこの充実のアルバムについて、橋本絵莉子(G&Vo)、福岡晃子(B&Cho)、高橋久美子(Dr&Cho)の3人にインタビューを行った。

取材・文/小野島大

 
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「ライブを見ればわかる」っていうのはちょっと違うかな

アーティスト写真

──アルバムが完成した今の心境はいかがですか。

橋本 1曲ずつ録り終わるたびに聴いて、できあがってからも何回も聴いていて、今は4月からのツアーまでに自分のものにしようとしている最中です。ツアーに出るとどんどん自分に入ってくるんですね。作ったときとはちょっと違う感覚になるんですけど。だから今は「うわーいいのできたなあ」って思ってるのをちょっと越えたくらいです。

福岡 このアルバムは3人で流れも作って、すごく集中して制作できたんです。今までは偶発的にできたものだったり、レコーディングでしか出せないものだったりを楽しんでいた部分もあったんですけど、今回は本当に過程もすべて集中してやったので、できた瞬間も本当に嬉しかったし。今現在の気持ちとしては、取材をいろいろ受けてお話していくうちに、ライブのことが気になってきて。こんなにいい曲ができたから、いいライブをやってツアー回りたいなって思ってます。CDとライブは全然ちがうものだから。CDは作品っていう意識が強くて、ライブはステージひとつでお客さんに楽しんでもらうもので。絶対にアーティストよがりなものではないし、本当にエンタテインメントで、私たちの作品の展示会ではないから。お客さんがいいって感じてくれたらそれが全てだし、それがライブだと思うんです。

──はい。

福岡 でも今まではなんかその、ライブで証明するみたいな部分があったんですよね。「とにかくライブ来てください!」みたいな。テレビに出ても「ライブ来てください!そしたらわかります」って。でももう、それは違うかな、と思って。もちろんライブに来なきゃわからないこともいっぱいあるけど、どういう角度からどう切られても私たちです、って言えるようなものを作るのが、今私たちが目指していることなので。ライブに来た人にしかチャットの本質がわからん、みたいなのは寂しいから。

──極端に言えばレコード作らないでライブやっていけばいいのかって話になりますもんね。

福岡 うん、だからそれを全部近づけるっていうか、私たちが発信するものは私たちの分身である、ぐらいのものじゃないといかんなと思ってるから。チャットモンチーの名前がついてるものの間の距離感はなくしていこうって、そう思ってます。

深く話し合ったことが実を結んだ

高橋 デビューしてからはいろんなことがあったし、いろんなことで深く話し合ったりとかあったけど、それがすべて実を結んでこういう形で、すごくいい結果を出せたっていうところに結びついてて。

──そんなにいろんなことが。

高橋 そうです(笑)。意外と自分たちがまじめだったのか、優等生的にやってきたところもあるんです。でも3人の中ではどんどんこう「なんか違うね」みたいなのがたまってきてて。お客さんとのギャップもあったし、スタッフさんとの意志疎通ができてなかったこともあって。みんなチャットモンチーを愛してくれてたんですけどね。だから誰も悪くないんですけど、自分たちがチャットモンチーっていうものを作り上げて、自分たちがみんなを引き上げていかなければ誰も幸せにはなれないっていうのを、すごく、いろんなことから私は感じて。そういうものが全部いいほうに転がって、話し合えるようになった。それで今作を出せたって思います。

──まじめなことが活動していくにあたって良くない面もあると思うんですか?

高橋 いえ、全然そんなことは思ってないんですよ。まじめに、誠実に音楽に向き合うことが、ミュージシャンとして第一にあるべきところなんですけど、なんて言うのかな……人の意見に左右されすぎないってことです。「これがいいよ」「だったらそうしようかな」じゃなくて、自分たちで自分たちをプロデュースしていくってこと。みんなで作っていくだけじゃなく、自分たちでプロデュースしていく力がなければならないっていうことだと思ってます。

──今回セルフプロデュースの曲が2曲ありますが、そういう決意の表れ?

高橋 そうです。セルフプロデュースは前からやりたかったんですけど、今回は力も付いてきてるからできるだろうと思って。今までだったら、やっぱり(いしわたり)淳治さんがずっと傍にいてくれてて、「chatmonchy has come」も「耳鳴り」のときも、「生命力」のときもいてくれてて、その、名目はサウンドプロデュースってなってますけど、トータルのプロデュースをやってくれてたと思うんですよね。でも、今回は亀田(誠治)さんと淳治さんは同じ、曲のプロデューサーさんとしてだけついていてくれて、総合のプロデュースは、自分たちが見せたい自分たちの姿っていうのは3人で全部やったと思うから。

セルフプロデュースを経験して音が強くなった

──具体的にどういう作業の違いがあったんですか?

高橋 曲順だったり曲のセレクトだったり、この曲は誰にプロデュースしてもらうとか、この曲は自分たちでやるとか。以前はアレンジも淳治さんがけっこう入ってくれてて、「こっちのほうがいいよ」って言われたら、そっちに向いていくことも多かったんですけど今は3人でちゃんと固めて、そこに淳治さんに来てもらうっていうやり方に変化したと思います。

──レコーディングの期間はかなり長かったんですよね。シングルの曲もあるし。その間に自分たちの気持ちが変わってきたり、制作に対する姿勢が変わってきたりは?

橋本 ありましたね。やっぱり亀田さんと初めてやったってことと、武道館のライブをしたっていうことと、あと、セルフプロデュースをもっとしたいと思うようになって。それによって自分たちの出す音がより強くなったと思います。この曲にこのアレンジでよしって決めるのって、セルフだと自分たちじゃないですか。この曲はここまででオッケー、ここまで録ってできあがりって決めるのも全部自分たちだから、やりたいことをやり通すには、強い気持ちとか、考えがないとダメで。そういうのが音になって表れたなって思います。

──自分たちで決める場合は多数決?

橋本 3人が納得したら、です。誰か1人でも、「うーん?」っていう人がいるとそっから先には進まないです。

──すぐ一致するものなんですか?

福岡 そこは以前よりもジャッジが早くなった。やっぱり今まで培ったものがあるなあっていう感じがしましたね、今回のアルバムに関しては。

──例えば今回の曲の中で1番完成するのに時間がかかった曲ってどれですか?

福岡 ものすごい長いスパンで言うと「あいまいな感情」は4、5年前の曲なので、その間に何回かアレンジをやっては元に戻し、みたいなのがあって。そういう意味では4、5年かかってますよね。

──ライブでは演奏してたんですか?

福岡 昔はやってました。そのときは、そのアレンジがベストだと思ってやっていて、でもCDには入らなかった。でも昔の曲をアレンジし直すっていうのが私たちすっごい苦手で。曲としてかっこいいからもう一回掘り直したいって思ってるのに、どこをどう直していいかわからなくて、すごい難しかったんですけど、そういう作業も自分たちの手でやらないと。こういう曲こそ他の人に関与してもらうと、本当にやりたいことが見えなくなるから、完全セルフで成仏させてやろうって(笑)。ホントにそういう曲がいっぱいあるんですよ。眠ってしまった曲とか、好きなのにタイミングが合わなくて出せない曲。だからこの曲をこういう風に出したことによって、これから昔の曲もできるようになると思うし。

──何曲くらいあるんですか、そういう未発表の曲って。

福岡 うーん。昔からので言うと20曲くらいはあるんじゃないですかね。

──当分曲作りしなくていいくらい。

福岡 うん、けどやっぱ新しくやりたいこともあるから、新曲はできる。それで、どんどん昔の曲は昔になってしまうし。でも思い入れはあるからとっておきたいし。そんな風になるのは私たちの中で寂しいことで、すごくいい曲って思ってるのに出せないのが残念だから、こうやってアルバムで日の目を見るっていうのはすごく嬉しいことです。

3rdアルバム「告白」 / 2009/03/04発売 / 3059円 / Ki/oon Records / KSCL-1303

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CD収録曲
  1. 8cmのピンヒール
  2. ヒラヒラヒラク秘密ノ扉(Album Mix)
  3. 海から出た魚
  4. 染まるよ
  5. CAT WALK
  6. 余談
  7. ハイビスカスは冬に咲く
  8. あいまいな感情
  9. 長い目で見て
  10. LOVE is SOUP
  11. 風吹けば恋
  12. Last Love Letter(Album ver.)
  13. やさしさ
チャットモンチー

橋本絵莉子(G&Vo)、福岡晃子(B&Cho)、高橋久美子(Dr&Cho)の3人による徳島出身のロックバンド。デビュー前から“未完の大器”として音専誌で大々的に紹介され、2005年11月にミニアルバム「chatmonchy has come」で即ブレイク。J-POP/洋楽ギターロックの良質な部分を、ガーリーかつ豊かな感性で表現する世界観が幅広いリスナーを魅了し続けている。