音楽ナタリー Power Push - チャラン・ポ・ランタン
入門にも最適! チャランポを紐解く7つの鍵(キーワード)最新版
「女の46分」のイチオシ曲「時計仕掛けの人生」では、女の一生を24時間に換算して見事に表現したチャランポ。このほかにも「サイテーな女」「美しさと若さ」など、女性ならではの情念や怨念、哀情を題材にした曲が数多く存在する。「女」もまた、チャランポの世界観を構築する重要なワードの1つ。
──生まれ変わっても女になりたいと思いますか?
もも 男に憧れる部分は多々あるんですけどね。男性だけのロックバンドとかを見ていて、ライブで激しく動いたり、汗を飛び散らしながら頭振ったり、物壊したり、裸になったり、ギター燃やしたり、そういうのがカッコいいな、うらやましいなって思うこともあって。
小春 でも、ももが突然ブタを燃やしてもね(笑)。
もも 私はチャラン・ポ・ランタンのコンセプトとしてこういう衣装で、化粧してまつげとかもちゃんと付けて、ヅラ被ってやってて。それを壊したいとかいうわけでもないんですが、なんかウワーッて頭振りたいっていうか、そういうスタイルでやってるのを忘れたくなるタイミングがあるんですよね、最近。The Whoとかジミヘン(Jimi Hendrix)みたいに、爆発したくなるっていうか壊したくなる衝動に駆られる。男の人が暴れるのにも限度がありますけど、男であるカッコよさみたいなものに憧れはあります。あと、最近はプロレスの動画を朝起きたら観るのが日課で。新日本プロレスの棚橋(弘至)選手と中邑(真輔)選手の試合観て泣いてます。憧れます。でも生まれ変わっても女がいいですね。
小春 あれ、ここまで言ってて!? そうなんだ。
もも 女はすっごいめんどくさいですけど。女を辞めたいとは思わない。
──小春さんはどうですか?
小春 生まれ変わったらってなるとね、死ぬまでだからね。試しに男になってみたいっていう気持ちはすごくあるけど。
もも 試しにはなってみたいね。
小春 とにかく私、立ちションがしたいんだよね。
もも 立ちションしてみたいね。
小春 あと突然全裸になっても、女ほどおかしいヤツって思われないでしょ。「あー脱いじゃったよ」みたいな感じ。あれを体感してみたい。女って隠すよさが褒め称えられてるからね。私もここ何年、足を出してないんだけど(笑)。
もも 年齢は付きまとうよね。「○歳なのにこれしてるね」とか、そういうのが一生付きまとう。
小春 女のアイドルは卒業が来るのに男は来ないしね。
もも 「もう○歳なんだから○○は卒業すべき」とか、そういう空気になったりするもんね。
小春 あれは男が作り上げてるものだと思うけどね。「この年齢まででいてほしい」みたい男の理想。女って儚いね(笑)。
もも 儚さねー。
──チャランポでそれを歌った曲もけっこうありますよね。
もも そうですね。今やってることは女じゃなきゃできないことなんです。
小春 生まれ変わったら男、女……どうだろうなー。性にとらわれないオカマでもいいけどね。
活動開始から約7年。その音楽性とキャラクターで独自の立ち位置を築きつつあるチャラン・ポ・ランタン。今の小春とももが考えるチャランポの“ジャンル”と、将来の目標、今年叶えたい夢とは?
小春 私たちの曲がポップかポップじゃないかって言われると……もちろんポップなつもりではあるんですけど、果たしてどういうのがポップなのか、どのフレーズがキャッチーなのかはいまだに自分の中で模索中なんだよね。
もも キャッチーだと個人的には思ってますけど。別に難しいことをやりたくてやってるわけじゃない。自分たちの世界に浸りたくて、こういうのみんな知らないでしょ、難しいでしょ、解読できないでしょって見せつけたいわけじゃ全然なくて。
小春 そう、メンヘラっぽいことをしてるわけでもないし、アンダーグラウンド感を出したいわけでもない。NHK Eテレで鳴ってて全然いいけど、結局アコーディオンと歌だとしょっぱなから取っ付きづらさ満点ですからね(笑)。「普通のJ-POPではなさそう」だなって。
もも 何系かに分類できないと、人間って取っ付きにくいみたいね。
小春 自分たちでもいまだに「ジャンル:???」みたいな感覚。ロックがいろんなジャンルに分類されてるように、私たちに適したジャンルの名称が付いたらいいなって思うね。東京スカパラダイスオーケストラ先輩が自分たちの音楽を「東京スカ」って名乗ってるみたいな。
もも もう「ジャンル:チャラン・ポ・ランタン」ぐらいに。私たちだけの世界に浸ってもらいたいっていうことでもないので、こういうサウンドをどんどん広めたいっていう気持ちがあります。
小春 夢としては、CDショップで私たちのカテゴリーができて、そこのCDが増えたらいいなって思うね。
──なるほど。最後に今年叶えたいことがあったら教えていただけますか?
もも 最近言い始めたことなんですけど、紅白に興味があるんですよね。
──おお!
小春 紅白とかの、普通にせんべいを食べながら観てるお茶の間のテレビ番組にうちらが出てくるの。
もも なんかお茶の間にトラウマを与えたいっていうか。普段チャランポに触れないだろうなっていうところに、放送事故的な感じの私たちが登場できたらどんなふうになるんだろうなって。その反応が見たい。
小春 普通に「紅白出たいです」とか「武道館目指します」とか言ってるアーティストとは、思惑がちょっと違うかもしれないけどね。
もも 紅白に立ってそこからの景色が見たいっていうより、紅白に出てる私たちを見た人たちの反応が見たいって感じ(笑)。そういうふうに「もっと広い世界に出てみたい」って気持ちは最近特に出てきてますね。
小春 アウェーな現場に行きたいよね。最近少なくなってきたし。去年のアメリカ公演は久々にアウェーで楽しかったな。ごはん屋さんでたまに流れているJ-POPのお琴バージョンとかオルゴールバージョンとかあるじゃん? 私はあれに自分の曲が使われるようになりたいな。あれってメロディだけでいい曲じゃないと成り立たないからね。
もも そうなったら売れてるってことかもね。今まではショーをたくさんやりたい、私たちのやってる音楽を好きな人たちにどんどん観に来てもらいたいっていう気持ち重視で活動してきたんですけど、ワンマンショーのチケットを買うお客さんじゃない、何も接点がない人たちの目に触れられるようなタイミングをもっと増やしたい。増えたらどうなるんだろうなって思っています。今年は私たちのビジュアルを知らない人でも私たちの曲だけ知ってるっていう、曲がひとり歩きするような状況が作りたいと思ってます。
- ニューアルバム「女の46分」2016年1月6日発売 / avex trax
- 「女の46分」CD+Blu-ray
- CD+Blu-ray / 4860円 / AVCD-93322/B
- CD+DVD / 3780円 / AVCD-93321/B
- 「女の46分」CD
- CD / 2916円 / AVCD-93323
CD収録曲
- 時計仕掛けの人生
- メビウスの行き止まり
- アダム
- 私間違ってた
- 男のサガ
- テイラーになれないよ
- この先のシナリオはあなた次第
- ミルクティー
- 好き同士
- 欲
- ちゃんとやってるもーん
- 貴方の国のメリーゴーランド
- ハバナギラ
CD+Blu-ray盤Blu-ray収録内容
- 貴方の国のメリーゴーランド(Music Video)
- メビウスの行き止まり(Music Video)
- テイラーになれないよ(Music Video)
- ぎんなん楽団カルテット(Music Video)
- ムスタファ(Music Video)
- 忘れかけてた物語(Music Video)
- 私の宇宙(Music Video)
- フランスかぶれ(Music Video)
- スーダラ節(Music Video)
- 71億ピースのパズルゲーム(Music Video)
- 美しさと若さ(Music Video)
- ワーカホリック(Music Video)
- 戦う女(Show Movie)
- さよなら遊園地(Show Movie)
- Oppai Boggie(Show Movie)
- チャラン・ポ・ランタン ニューヨークへ行く[Road Movie]
CD+DVD盤DVD収録内容
- 貴方の国のメリーゴーランド(Music Video)
- メビウスの行き止まり(Music Video)
- テイラーになれないよ(Music Video)
- ぎんなん楽団カルテット(Music Video)
- ムスタファ(Music Video)
- 戦う女(Show Movie)
- さよなら遊園地(Show Movie)
- Oppai Boggie(Show Movie)
- チャラン・ポ・ランタン ニューヨークへ行く[Road Movie]
チャラン・ポ・ランタン
1993年生まれのもも(Vo)と1988年生まれの小春(Accordion)による姉妹ユニット。2009年に結成。2010年8月に「チャラン・ポ・ランタンと愉快なカンカンバルカン」名義でアルバム「ただ、それだけ。」をリリースする。2012年6月にはZAZEN BOYS、group_inouらとのカナダツアーを大盛況に収めるなど海外での活動も多数。2012年9月に約2年ぶりの新作アルバム「つがいの歯車」を発表すると同時に、ももが20歳の誕生日を迎える2013年4月9日までに3枚のアルバムをリリースすることを公約し、それを達成。2014年7月にシングル「忘れかけてた物語」でエイベックスからメジャーデビューを果たして以降も精力的にリリースやライブを重ね、2016年1月に2ndアルバム「女の46分」をリリースした。