ナタリー PowerPush - CASCADE

作詞家・森雪之丞とのコラボも! 個性炸裂の新作が誕生するまで

1995年11月にデビューし、7年間の活動と7年間の休止期間を経て復活したCASCADE。以前から一貫して、音楽的な整合性や統一感よりも、そのときどきの趣味嗜好を最優先させた曲作りをしてきた彼らだが、最近はある意味パンキッシュな歌謡ディスコ路線を突き進んでいる。

9月14日にリリースされる「マゾヒスティック・ガム」は新曲7曲と5曲のライブ音源で構成され、作詞家・森雪之丞とのコラボレーションも実現。今回は、現在のCASCADEがきっちりとバランス良く収められたこのアルバムに至るまでの道のりについて語ってもらった。

取材・文 / 佐々木美夏 撮影 / 平沼久奈

無我夢中だった2009年の復活ライブ

──2009年6月6日、LIQUIDROOM ebisuでの復活ライブはどんな心境だったんでしょう。

インタビュー風景

TAMA(Vo) こんなことってあるのかなと思ったんですけど、1曲目の「KILL ME STOP」から最後まで覚えてないんですよ。真っ白。こういうライブもあるんだ、って思うくらい、光の速さで突き抜けたような感じですね。不思議でした。

MASASHI(G) リハーサルでみんなで合わせたときは、なんかイケる感じだな、って思ったけど、実際やってみたらお客さんの“待っていてくれた感”に若干飲まれつつ、みたいな。

HIROSHI(Dr) ステージに出てった瞬間の「わーっ!」ていう歓声と熱が、今まで経験した中で一番一気にきた感じ。ライブ自体は結構長めでしたよね。それでもすごく短く感じました。記憶はありますけど(笑)。

──チケットは即日完売で。

MASASHI ちょっと焦りましたね(笑)。入れなかった人たちをどうしようか、っていう。ゴメン、で終わらせるわけにはいかないので。でも、とにかく夢中でした。1回止まった時間がまた動き出すんだな、っていうのはすごいうれしかったし、またいろんな新しいことができるんだ、って希望も出てきましたね。

ライブを重ねることで感覚を取り戻した

──そのライブに先立って「VIVO」(2009年4月リリースのミニアルバム)がリリースされたけど、今思うとこの頃は手探り状態だったのではないかと。

HIROSHI 最初に話したよね。どういうのやる?って。

MASASHI 別にそんな特別深い話はしてないんじゃないかな。TAMAちゃんの歌声を聴いた瞬間と、HIROSHI君のドラムを聴いた瞬間は、良い意味で変わってないなと思いましたね。と同時に、曲のアレンジも新しい形だったんで、こういう魅力も出てきたなあ、って思う部分もあったし。

──そのあとどんどん派手になっていったからだとは思うけど、今聴くと新曲2曲はちょっと地味ですよね(笑)。

MASASHI 面白いっすよねえ。そのあとは「パーティフルサルマンライフ」(2010年4月リリースのシングル)だから、再結成していくつかライブを重ねていくうちに何かを思い出したんですよ。そこでまた火がついたんだよね?

HIROSHI そうそう。ライブで盛り上がる曲を作ろう、って。「VIVO」を作ってたときはまだライブやってなかったからね。「パーティフルサルマンライフ」を作るときはライブで盛り上がる曲をやりたいよね、って言って、火がぽっとついてできた。

──ライブをやる前に作った曲と、ライブをしてから作った曲では意識が違う?

MASASHI うーん。そうですねえ、そこもあまり考えてはいないんですけど、やってみたあとでの盛り上がり方が違いました。

TAMA あとCASCADEはライブバンドだな、と思いましたね。ツアーを回ってリハビリができたっていうか、後半でもっと盛り上がる、掛け合いができる曲が欲しいなって思ったし。

レコーディングがきっかけでダンスモードにシフト

──今のダンスモードはいつ頃から明確になったんでしょう。

HIROSHI 「メガラニカ」(2010年5月リリースのアルバム)からかな。

──「Mr.ポー」で振り付けをし始めてから?

MASASHI そうです。

TAMA 思ってたよりウケちゃって(笑)。

HIROSHI レコーディングしてるときにすごい盛り上がって。

インタビュー風景

MASASHI プロデューサーの岡野(ハジメ)さんと「これはホモディスコ路線でいこうな」って。

HIROSHI それが裏テーマ。

MASASHI それで僕らも盛り上がって、「じゃあ振り付けが必要でしょう」って振りを作ってもらって。ライブでやったら、またそういう曲がいくつか欲しい、ってなって。

TAMA それで「煩悩白書パート2」ができて、2010年のO-WESTの15周年記念ライブでやったら思いのほか盛り上がって。そしたら最近は「自信満々で踊ってるからイタい」って言われて(笑)。

MASASHI 一生懸命やってるのにできてない感じが面白かったんですよね。でも完璧にできてしまうと面白くないという(笑)。

TAMA 天才だから完璧にできちゃうんです。

一同 (笑)。

HIROSHI ということにしておきましょう。

──でも今でも顔は必死だよね?(笑)

TAMA 必死ですよ! 歌いながらですよ? ライブの後半なんかヒーコラヒーコラですよ。でも楽しんでやってますけどね。ちゃんと振りが決まったときは気持ちいいし。

ニューアルバム「マゾヒスティック・ガム」 / 2011年9月14日発売 / 2200円(税込) / アミューズ / ASCM-6091

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CD収録曲
  1. 我武者羅WARS
  2. あなたのベッドで眠りたい
  3. DANCE☆SENSE☆ZANSU
  4. ハイパーロミオとジュリージェット
  5. なないろグラフィティ
  6. 止まらないバトン
  7. 星降る街のセレナーデ

<BONUS TRACK>
ダンスモードコレクション ('11.07.18 CASCADE TOUR 2011サディスティック・グミ ~踊る!恋愛環境庁 The Final~ at SHIBUYA BOXX)

  1. しゃばなガールズ (Live)
  2. パーティフルサルマンライフ (Live)
  3. 煩悩白書パート2 (Live)
  4. スモモかじってカリフォルニア (Live)
  5. スーパーカー ~アルティメットエアロ version~ (Live)
CASCADE(かすけーど)

CASCADE

TAMA(Vo)、MASASHI(G)、HIROSHI(Dr)の3人からなるバンド。テレビ朝日系で放送されていたオーディション番組「えびす温泉」への出演を機に注目を集め、1995年11月にアルバム「VIVA」でメジャーデビュー。1998年にリリースされたシングル「FLOWERS OF ROMANCE」「YELLOW YELLOW FIRE」のヒットを機に、一躍人気バンドの仲間入りを果たす。個性的なサウンドとカラフルなビジュアルで幅広い層に愛されるも、2002年に解散。その後メンバーは個々に音楽活動を行っていたが、2009年にTAMA、MASASHI、HIROSHIの3人で復活する。同年4月に新作ミニアルバム「VIVO」をリリースして以降、精力的に活動している。