さまざまなイベントに出演し、じわじわと知名度を上げている平仮名4文字のアイドルグループがいる。昨年2月に鈴木花純、牛山もも、ひろかによる3人体制での活動を開始した“ばっぷる”だ。ソロ活動で名を馳せた鈴木を筆頭に、高い歌唱力を武器としており、“実力No.1”という大きな目標を掲げて精力的にライブ活動を行っている。
そんなばっぷるが、2月4日に東京・ADRIFTで2ndワンマンライブ「ピース フォーエバー」を開催する。これはグループの現体制始動1周年を記念して行われるもの。入場料はなんと無料で、3人は「アイドルファンなら観といたほうがいい」と自信たっぷりだ。
音楽ナタリーでは噂の歌唱力を確かめるため、新曲「Pick Up」のレコーディング現場を取材しつつ、純朴な雰囲気の3人にインタビュー。グループの成り立ちや自信のワケをじっくりと聞いた。
取材・文・レコーディング風景撮影 / 臼杵成晃撮影 / 曽我美芽
私たちが“ばっぷる”です!
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鈴木花純(すずきかすみ)
誕生日:1995年1月16日
出身:東京都フラワーの花に純水の純と書いて鈴木花純です!
ソロ活動を主にしていましたが、このたびアイドルグループのメンバーとして楽しく活動し始めて早3年が経とうとしています! 趣味は料理! でも一番は歌うこと! 「ドラえもん」が大好きなので「ドラえもん」の主題歌を狙ってます! 尊敬する人はKANさんです! KANさんのようなエンタテインメントをしていくのが夢です! 「やる気元気鈴木」をモットーにみんなを笑顔にしたいです!
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牛山もも(うしやまもも)
誕生日:1996年4月21日
出身:静岡県ぐっともーもー牛山ももです!
3歳からダンスを習っていて、ばっぷるの振付を担当しています! かわいい&コミカルな振付が私の特徴かなと思ってます! 美術館に行ったり、映画を観たり、インスタで服や部屋の装飾を眺めることが好きです! 老若男女みんなに愛される人になりたいです! そして私のパフォーマンスでみんなをハッピーにしてあげたいですっ!
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ひろか
誕生日:2001年8月14日
出身:石川県ひ3かです!
14歳からご当地アイドルをしていました! 一昨年、夢のために上京して、いろんな縁があり、去年ばっぷるに加入しました! ゲーム、アニメ、TRPG、演技が趣味で、特技はルービックキューブです! 超インドア! バカ真面目な性格なんですけど、すぐ忘れ物するし、子供っぽいところがあります! 将来の夢は声優になることです! 歌や演技、表現することがとにかくすごく大好きなので、一生やっていたいです! こんにちはー!!!
「歌がうまい」って本当?レコーディング現場を取材
ばっぷるが普段レコーディングを行っているのは、東京・中野サンプラザホールの下にあるスタジオ、ベースオントップ。メンバーの鈴木花純は、ばっぷる結成前からここで音源の録音を行っており、エンジニアの宮本裕幸氏とは7年もの付き合いになるという。
1月某日、メンバー3人は12:00にスタジオ入り。宮本氏とリラックスした雰囲気で談笑したあと、12:30頃から新曲「Pick Up」のデモ音源のレコーディングに取りかかった。まずは楽曲の大まかな雰囲気を宮本氏に伝えるため、3人全員でブースに入り、1曲通して歌唱。サウンドプロデューサーのSAWAが自ら歌った仮歌音源をもとにメンバー各自しっかりと練習してきたこともあってか、そのままリリースできそうな仕上がりだ。
今回のトップバッターはもも
レコーディングの順番は、楽曲の特徴や歌割りによって決まるとのことで、今回は歌い出しや落ちサビを担う牛山ももがトップバッターを務めた。前回のレコーディングでは「自信を持って、もっと前に出ていいんだよ」という宮本氏の激励に目を潤ませていたという牛山。「パッと聴いた感じ、ももちゃん上手になってるよ」と声をかけられると、笑顔を見せ「がんばろ」と意気込んだ。
新曲「Pick Up」のポイントはリズム。1番Aメロのリズムでさっそく苦戦してしまう牛山だが、宮本氏のアドバイスを受けて即座に修正していく。最初こそ何度か録り直したもののレコーディングは順調に進み、牛山が明るい楽曲にピッタリなかわいらしい声でサビを歌い上げると、宮本氏は「めっちゃいいね」「最高だと思う」と絶賛。鈴木も「(ユニゾンするサビの音量を)7割ももにしといてください」と冗談交じりで牛山を褒めていた。
懸命に練習していたひろか
2番手は最年少メンバーのひろかだ。牛山のレコーディング中、やや不安げだった彼女は、「歌ってきな」という鈴木の指示に従い、個室に入って懸命に練習。牛山のレコーディング後、「何も考えるな。ありのまま行け」と鈴木に背中を押されてブースに入ると、「あーあー!」と発声練習を行い、レコーディングに入る前に自分のパートを何度も歌っていた。
緊張気味のひろかだったが、最初の1番Bメロは一発OK。「とてもいいよ!」と声をかける宮本氏に「イェイ!」と元気に答える。続くサビでは何度か歌を飛ばしてしまうミスがあったものの、音程を外すようなことはなく、宮本氏によれば以前は「オケを置き去りにするくらい合っていなかった」「Bメロなのにサビを歌い出すくらい気合いが入ってた」という課題のリズムも今回はバッチリ。「大人になった」と褒められ、うれしそうに笑っていた。
コミカルな面も見せた花純
最後は、ばっぷるの中でも特に高い歌唱力を誇る鈴木。宮本氏との関係も長いことから、やはり余裕のある様子で、「『天国』の“て”、もうちょっと立てられる?」など指示があれば「切りすぎってことね。OK」と難なく応えてみせる。
レコーディング中、鈴木がやや興奮気味だったのが2番Bメロ。「ぴーひゃらら」という歌詞がお気に入りのようで「小学生の気持ちでいく」と意気込むが、「ぴーひゃらら」に意識を集中しすぎたせいか、「そこだけ逆によくないわ」と宮本氏から指摘されてしまう。
そんなコミカルな場面もありつつ、感情を込めて歌う最後の「そばにいて」というフレーズでは、先に歌った2人のニュアンスに合わせて自身の歌い方を修正。グループのボーカルリーダーとしての力をしっかりと示した。
和気あいあいのセリフパート
各メンバーの録音はそれぞれ10数分で終わり、3人は全員でブースに集まると、「Pick Up」の大きな見せ場であるセリフパートのレコーディングへ。このセリフパートは声優志望であるひろかの要望から盛り込まれたもので、3人がにぎやかな寸劇を繰り広げる。
やや緊張感のあった先ほどまでとは異なり、3人そろったブース内は和気あいあいとした雰囲気。ピッタリとタイミングを合わせるのが難しそうなセリフパートだが、ニコニコ楽しそうな3人は、勢いあふれる掛け合いを過不足なく尺に収めてみせ、抜群のチーム力を見せた。
こうしてレコーディングは無事終了。ここまですんなり終わることも珍しいそうで、3人それぞれが成長を実感した様子だった。
レコーディングを終えて
牛山もも
今回はカメラがあったんで、ちょっと緊張しちゃうかもと思ったけど、なんかいつもより緊張しなかった気がして。楽しくできました(笑)。苦労したところがあるとしたら、やっぱりリズムですかね。あと、ちょっと私的に高いキーのところがあるんで、裏声を混ぜつつ、がんばりました!
ひろか
「Pick Up」はすごい楽しい曲なんですけども、リズムがもうパッ!パッ!って感じで。私はリズムをとるのがとても苦手なので「わぁ、どうしよう」って思いながら必死に練習してきたら、今日は褒めてもらえたし、成長できたかなと思えて楽しかったです! イェイ!
鈴木花純
今回はリズムを重視したかわいらしい曲なんですけど、私は地声が低めなので、テンションを上げることを意識して歌いました。私は最初に歌うことが多いんですけど、今回は最後に歌ったんですよ。そしたら、ももとひろかの歌のニュアンスが見えてきて面白かったし、勉強になったと思います。ありがとうございます!
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ばっぷるインタビュー 歌がどんどんうまくなってる理由