ばっぷるインタビュー
歌がどんどんうまくなってる理由
──ばっぷるはもともと歌唱力に定評のあるグループですけど、ここまでレコーディングがスムーズなのは本当にすごいなと思いました。活動していく中での成長もありつつ、そもそもの水準が相当高い人たちなんだろうなと。
鈴木花純 ありがとうございます。レコーディングは練習の場所じゃなくてもう本番なので、そこでしっかり自分を出せるように家でちゃんと練習してこい、ってずっと叩き込まれてきたんですよ。
──練習の成果でもあったんですね。ボーカルのディレクションについて、事細かに指示を出すのではなく、基本はメンバー任せに見えましたが。
花純 ディレクターからアドバイスはいただくんですけど、基本的にはありのままの自分をぶつけるというか。「こうしなさい」とカッチリ指示されることはないよね。
ひろか やっぱり「自分たちで練習してきて」ってことが多いですよね。
牛山もも そうですね。
花純 そもそも私たちはボイトレをしたことがないんです。ボイトレをしたら、トレーナーの色に染まってしまって自分の個性を失ってしまうかもしれない。だったらボイトレじゃなくて、歌の難易度を上げた曲を作って、その曲を練習させることによって、どんどんレベルアップさせようって方針なんです。私たちも知らない間に新しい技術が身に付きますし、何より楽しくレベルが上がっていってるのを実感してます。
──なるほど。今回レコーディングした音源はデモとしてファンに配りつつ、ライブで何回も歌ったあとに、改めて正規にリリースする音源のレコーディングをするそうですね。
花純 自分の精一杯の力で歌ったものを出せるようにしていただいていて、めっちゃ恵まれてるなと思います。
──リリースしてからライブで磨いていく一般的なパターンに比べて、ひと手間増えてしまうものの、理にかなってるなと思いました。最初に歌った音源とライブを経てリリースする音源だと、だいぶ違いがあるものですか?
ひろか そうですね……ははは!
花純 笑っちゃうくらい違うよね。
ひろか ヤバいですね(笑)。たくさん歌うってやっぱ大事なんだなって。あとみんなの前で歌うってことも大事だと思うんです。
花純 ひさびさに会った人に「えっ、なんかよくなったね」ってよく驚かれるんですけど、2、3カ月後には歌声が変わってるようなグループだと思いますね。
ひろか うんうん! 私も地元に帰ったときに毎回「うまくなったね」って言われます。
花純 なので、2カ月に1回くらいは観といてほしいね。
もも そうね(笑)。
──歌唱力を磨くための独自のトレーニング方法は特にないんですか?
ひろか ないですよね? あります?
もも ディレクターさんに教えてもらったのは、歌うだけじゃなくて、自分の歌をちゃんと聴くことですね。ライブがあれば動画を観直します。
花純 あとは何より幸せに生きることだよね。それが歌に出ると思います。
ひろか うん、幸せに生きてる。
──その話で言うと、いわゆるチェキバックが100%で、お客さんが物販で撮影したチェキの代金がそのままメンバーの収入になるというちょっとびっくりな話も聞きました。
花純 はい。アルバイトをしなくても生活に支障がないようにというディレクターの配慮で。そのおかげで練習に打ち込む時間をより多く取れるし、ステージで100%の力が出せているんだと思います。
ひろか なかなかないですよね。
──本来みんなそうあるべきだと思いますが、大きな事務所やメジャーレーベルでないと、アイドル活動だけで暮らせるような環境を整えるのは難しいのが実情ですよね。
ひろか すごくいい環境で活動できていることもやっぱり成長につながってるんですかね。
花純 私は長く活動していますけど、昔からこういう環境だったわけじゃなくて、今のディレクターに出会って、歌に全力を注げるようになったんですよね。それで本当に成長したと思います。
3人の1人も欠けちゃダメ
──3人の声質や歌い方が違うのもグループの面白さだと思います。それぞれの歌声の特徴について、自分たちではどう思っていますか? それぞれのアピールポイントや、ヒーロー戦隊モノでいうところのポジション分け、必殺技みたいなものがあれば教えてください。
花純 どうぞ。
もも うふふ、難しい!(笑)
花純 たぶん自分から言うと変な感じになるんですよね。
──では、ほかのメンバーについて紹介する形にしますか。
ひろか じゃあ、ももさん! ももさんはハスキーボイスなんですけど、高めの声も出るんですよね。
花純 ももは地声がけっこうかわいらしいんですけど、歌うとハスキーさが出て、若干色っぽい部分もあるといいますか。サビでカッ!と歌うよりはAメロとか歌い出しの部分で、スローペースで歌い始めるのが得意だと思います。
もも ふむふむ。
花純 ひろかは声優を目指していることもあって、声色を変えて歌にキャラクターを出せるんですよね。ひろかの歌があると、ももとウチの声も生きる。すごくいい役目。
ひろか ホントですか!?
花純 まあみんないい役目なんだけどね。で、自分で言うのもおかしな話なんですけども、歌について言えば、私はアカレンジャーです。私にあるのは本当に歌だけなんで。
もも そんなことないよ(笑)。
花純 「歌だけは誰にも負けたくない」という気持ちでやってるので、難しい音階のところだったり、魅せなきゃいけなかったりするところは任せていただいて、しっかり歌うポジションにいます。
ひろか メロディアスな部分とか落ちサビとか「バーン!」って決めたいときは、やっぱり花純さんですよね。
花純 そういう立ち位置がそれぞれありつつ、3人の声がそろって、ようやくばっぷるの歌になるので、1人も欠けちゃダメだなって思いますね。
ちょっとコミカルなダンスもポイント
──アイドルグループとして、ダンスにもこだわりはありますか?
花純 振付は基本的にももが担当しているんですが、ももが意識してくれていることとして、やっぱり「歌を殺さない」ということがあって。例えば、サビでピョンピョンするって“アイドルソングあるある”ですけど、そういう歌に支障が出そうな振りは入れずに作ってくれています。
──振付を作るうえで、牛山さんがほかに考えていることや参考にしていることなどはありますか?
もも かわいさがありつつ、コミカルさも入れるようにも意識してますね。ばっぷるはかわいいだけじゃないグループかなと思うんですよ。ちょっと変な感じ(笑)。でも、その変な感じがかわいらしさにもつながるかなって。参考にしているのは、ディズニーランドとかテーマパークのダンサーですね。ばっぷるは“テーマパーク”がコンセプトの1つなので。
──ライブ映像を観ると、多彩な表情も含めて、ちょうどいいバランスでコミカルさが入っている気がしますね。
ひろか センスがいいんです、ももさんは!
もも ははは。
花純 ダンス込みでばっぷるの世界観ができているし、ももの振り付けには感謝ですよね。
ひろか 大きいですよね。
花純 新曲「Pick Up」の振り付けもなかなかユニークだと思います。踊っててすごく楽しんですよね。
ひろか かわいいです。
もも 2人に表情を注文したら、それもちゃんとやってくれるから、いい感じに見えてるんだと思います。
──ばっぷるでは歌に支障がないレベルに抑えているけど、牛山さんは本来バキバキに踊れる人なんですよね?
もも えっ、バキバキではないです(笑)。
花純 って本人は言いますけど、ひろかが入る前は、ももともう1人のメンバーだったひめかちゃんの2人でバキバキに踊ってもらっていて、それが私の歌と並ぶ見せ場だったんです。ただ、1人で魅せるダンスというよりは、フォーメーションを組んで踊る形だったので、ひめが抜けちゃってからは、それが難しくなって。
もも 自分が踊るよりも、自分の振付を見てもらえることのほうがうれしいから、今の形で満足しています。
花純 今ライブで歌っている「フリーパスライセンス」という曲には、もも1人で踊ってもらうパートがあるんですよ。「ここはもものソロダンスじゃなきゃダメでしょ!」ってところだけはこれからも踊ってもらうつもりです。秘めてる力を引き出してあげるみたいな感じで。
──長尺のライブをやるようになったら、牛山さんがワンコーナーだけガッツリ踊るのを恒例行事にしてもいいかもですね。
もも 面白そう(笑)。
花純 もも並みにダンスができる人とコラボしたりね。
ひろか 観たいです!
ばっぷるにすべて懸けて終わろうと思ってます
──グループの大まかな特徴はわかりましたが、そもそもどういうところから結成に至ったんですか?
花純 どっから話したらいいんだろ……。私はソロ活動が長いんですけど、昔からアイドルが大好きで、アイドルに勇気をもらって生きてきて。私もアイドルとして皆さんに笑顔を届けたい、ちょっとでも力をもらってほしいってすごく感じていたんです。年齢のこともあるし、これがラストチャンスだなと思って私が動いたところが始まりですね。
──アイドルとして活動するのは、これが最後という気持ちなんですか?
花純 はい。私はばっぷるにすべて懸けて終わろうと思ってます。
──歌い手として活動する手段はいろいろある中で、そこまでアイドルにこだわる理由はなんなんでしょう? 花純さんの中でアイドルとはいったいどういうものなんですか?
花純 えっ、なんだろ。アイドルとは……とにかく最高なものなので……難しいな。
ひろか AKB48とか見て育ったんですよね?
花純 うん。いろんなアイドルを見て育って、自分もあんなふうになりたいなと思ってた。アイドルって“青春モノ”な気がするんですよね。ソロアイドルの方もいるから一概には言えないんですけど。チームとして集まることで、1人ひとりの個性がより生きる。そういう感動を生み出すことはソロでやってた頃の自分には難しかった。
──ソロ活動をしてきたからこそ、グループアイドルの青春感により憧れたと。
花純 はい、アイドルは青春です!
次のページ »
不登校でも修学旅行とかは全然行くタイプだった