──前作「Beautiful Chaser」は「すべての終焉へ」と歌うダークなハードロックでしたが、今作「Yell」は門出を祝うウエディングソングになっており、前作とは世界観ががらりと変わりました。最初に「Yell」を聴いたとき、どんなふうに感じましたか？

ユーキ　ミディアムバラードが来ると思わなかったからびっくりでしたね。「おお」って、意表を突かれたような。だから振り付けも「どんなふうになるんだろう？」って最初はまったく想像できなかった。

タカシ　本当に、「Beautiful Chaser」と全然違うなと。しかも超特急初のウエディングソングじゃないですか。僕は「結婚ってなんなんだろう？」ってまだハッキリとわからないから、レコーディングに入る前にいろいろ調べたりしましたね。

──どんなことを調べたんですか？

タカシ　Wikipediaを見てみたんですけど、めっちゃ難しい説明がいっぱい書いてあったんで……結局それは参考にしなかったです（笑）。

──そうだったんですね。「Yell」はどんな楽曲に仕上がりましたか？

タクヤ　最初に聴いた印象だと「超特急らしくない」って思われるかもしれないです。「ikki!!!!!i!!」や「Believe×Believe」のように、1回聴いただけで印象に残る曲とは違って、歌詞やメロディに温もりや優しさがある感じ。ボーカルのトーンもいつもと少し違って、柔らかさを強く感じます。あと、「Yell」はタイトルが表すように「人生の応援歌」としても捉えられる曲だと思う。超特急のメンバーもユースケまでが成人を迎えて、やでちゃん（タカシ）も今年成人するし……この曲で大人になった超特急を感じてもらえるかなあって思います。

──確かに、これまでの超特急の楽曲群と比べるとポピュラーソング的というか、耳なじみのいいナンバーですね。今回の楽曲で超特急がまた新しい表現に挑戦したようにも受け取れました。皆さんの中には、そういった感覚はありましたか？

カイ　そうですね。僕らはまだ結婚を知らないっていう部分で背伸びをしてはいるけど、年齢で言うと結婚はありえることだから、ある意味設定としては等身大じゃないですか。その“等身大”っていうことが、超特急にとってはすごく新鮮でした。今までは吸血鬼とかアンドロイドとか、現実的にはありえないものに曲の中でなりきっていたから。

──結婚はまだ遠い感じがします？

タクヤ　そうですね。

──結婚にまつわる印象的な思い出って、何かあったりしますか？

ユーキ　僕は姉の結婚式に行きましたよ！ 地元の徳島で挙げた身内だけの小さな式だったんですけど、光に満ちあふれてる感じで……そのときの姉は一番輝いてたし、本当に幸せそうでした。なんだろう、やっぱり誓いのキスのところはすごい恥ずかしかった（笑）。でもいいなあって。すごくいいなあって思いました。

タカシ　僕は小学校6年生のときに姉が結婚式を挙げて、そのときに姉と一緒に絢香さんとコブクロさんの「あなたと」って曲を歌ったんですよ。それをすごく覚えてる。そのときはまだ自分が超特急に入るなんて思ってもいなかったけど、「歌って楽しいな」って思いましたね。結婚式ってそのときにしか感じられない空気感があって、すべてが幸せに包まれてるじゃないですか。だからずっと笑顔だったのを覚えてます。姉が結婚するってことが幸せだしすごくうれしいから「笑顔で見送ってあげよう」って。そんな気持ちでした。