ナタリー PowerPush - BUCK-TICK
櫻井敦司&今井寿が明かすバンドの在り方
僕らはいい意味でダラッと続いてるのかな
──BUCK-TICKは25年間メンバーチェンジもなく、長い活動休止もなくコンスタントに作品をリリースし続けています。BUCK-TICKのようなペースで長年活動を続けているバンドって少ないと思いますが、そのモチベーションってどこから生まれたものなんでしょう?
櫻井 うーん……よくわからないけど、まあ飽きたらそのモチベーションみたいなものはなくなってきますよね。
──じゃあ今はまだ飽きない感じ?
櫻井 それもわかんないですね。
──バンドを始めた頃、ここまで活動が続くと思ってましたか?
櫻井 いや、続くとか終わるとか、そういうこと自体を考えてなかったですね。
──そのときにやりたいことをとりあえずやり続けていたら、今になったみたいな?
櫻井 最近特にというか……20周年のときもそうでしたけど、メンバーチェンジなしでこれだけやってるのはすごいことだって言われるんです。でも僕たちとしては「ああ、長く続けてるとそういうことを言われるもんなんだ」っていう。そんな簡単に解散したりバンドを辞めたりするなら、その人にとっては多分その程度の意識だったのかなって思う。だから僕らはいい意味でダラッと続いてるのかなって(笑)。
──例えば今までバンドが分裂しそうになったり活動が止まりそうになったりみたいなことってなかったんですか?
今井 ないですね。まあ僕は1回だけ活動休止がありましたけど。
櫻井 ……と、自分で言ってくれると助かる(笑)。
自分たちのポジションが無意識にわかっていた
──1980年代後半にはバンドブームが勃発して、その中にBUCK-TICKの名前が挙げられることが当時からあったと思います。バンドブーム自体は一過性のものとしてすぐに終わってしまいましたが、でもBUCK-TICKはその後もコンスタントに活動を続けて、とても刺激的な作品を出し続けてきました。そうやって続けてくることができた秘訣ってなんなんでしょう?
櫻井 自分たちはバンドブームより少し早いタイミングにデビューしたから、ちょっとピントがズレてるといえばズレてる。そういうものを自分たちで意識したわけでもなく、ブームに乗ってああだこうだってやることに対して危険な臭いを感じてましたし。そういうところでこれ以上踊らされるのは怖いなって当時から思ってましたから。ヴィジュアル系が騒がれた頃も一緒でした。自分たちは自分たちのポジションが無意識にわかっていたんでしょうね。そういった流行と関係なく続けて周りと一緒くたにされなかった結果、今こういうふうになっているのかなと思います。
──もうひとつBUCK-TICKの面白いところは、特定のジャンルだけでなくさまざまなジャンルのアーティストからリスペクトされているところで。
櫻井 リスペクトされてるとすれば、やっぱり今井さんのメロディセンスだったり、その時代その時代の最も刺激的な音楽を取り入れてきたことだったり、ビジュアル面だったりするんでしょうかね。「当時まだ日本の音楽シーンで誰もやってなかったことをBUCK-TICKがやってくれた」「BUCK-TICKがいたおかげで、いろいろやりやすかった」って若い人たちからよく言われるんですけど、そういうふうに影響を語ってくださることはすごくうれしいですね。
──10月からは全国ツアーも始まりますね。今年はツアーの一環ですけど、年末には恒例の武道館公演もありますし、こうやって毎年武道館でライブをやり続けることができるのも正直すごいと思います。皆さんの中では武道館っていう会場に対するこだわりってあるんですか?
櫻井 僕らの時代ですと武道館でライブをすることはひとつの終着点みたいな感覚で言われてましたけど、初めて武道館でライブをしたときはすごく地に足がついてない感じがしました。でもだんだん慣れてくるとすごく気持ちがいい、やりやすい場所だなって思うようになって。ただそこにしがみついたり、何がなんでも武道館でやるんだっていう気持ちはないです。お客さんが入らなくなったらまたライブハウスでやればいいぐらいに思ってますけどね。
ニューアルバム「夢見る宇宙」 / 2012年9月19日発売 / Lingua Sounda
CD収録曲
- エリーゼのために -ROCK for Elise-
- CLIMAX TOGETHER
- LADY SKELETON
- 人魚-mermaid-
- 夢路
- ONLY YOU -WE ARE NOT ALONE-
- 禁じられた遊び -ADULT CHILDREN-
- 夜想
- INTER RAPTOR
- MISS TAKE –I'm not miss take-
- 夢見る宇宙 -cosmix-
初回限定盤DVD収録内容
- 「CLIMAX TOGETHER」ビデオクリップ
- Live at 日比谷野外大音楽堂 2012.6.10
SE
1. エリーゼのために
2. REVOLVER
3. 疾風のブレードランナー
4. 夢見る宇宙
5. MY FUCKIN' VALENTINE
BUCK-TICK(ばくちく)
櫻井敦司(Vo)、今井寿(G)、星野英彦(G)、樋口豊(B)、ヤガミ・トール(Dr)の5人からなるロックバンド。現在に至るまでメンバーチェンジをすることなく活動を続けている。1987年にメジャーデビューし、翌1988年にシングル「JUST ONE MORE KISS」のヒットにより本格的なブレイクを果たす。ダークな世界観を追求する一方で、グランジやブレイクビーツ、ドラムンベース、エレクトロニカ、ポストロックなど常に音楽要素を積極的に取り入れている。2005年には初のトリビュートアルバム「PARADE ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」をリリース。2007年には同アルバムに参加したアーティストたちとともに、初の主催フェス「BUCK-TICK FEST 2007『ON PARADE』」を横浜で開催して大成功を収めた。デビュー25周年を迎える2012年には、新レーベル「Lingua Sounda(リンガ・サウンダ)」を設立。シングル「エリーゼのために」「MISS TAKE ~僕はミス・テイク~」、トリビュートアルバム「PARADE II ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」に続いてニューアルバム「夢見る宇宙」をリリースした。さらに9月22、23日には千葉ポートパークにて主催フェス「BUCK-TICK FEST 2012 ON PARADE」を開催する。