BRIAN SHINSEKAI特集 第3回|BRIAN SHINSEKAI×GLIM SPANKY 「閃光ライオット」から8年、共感し合う2組の同世代鼎談

BRIAN SHINSEKAIが持つデヴィッド・ボウイ感

──今回は鼎談という形では初の顔合わせですが、これまでお互いに好きな音楽について話すような機会は? 

亀本 ほとんどなかったかも。でもそういうのってしゃべるよりも、お互い出している音を聴いて判断しろ、みたいな感じもあるじゃないですか。

松尾 そうだよね。でも私は一度だけSkypeのチャットでブライアンと話したことがあって(笑)。

亀本 そうなの!?

松尾 確か2011年か12年かな。当時Skypeが流行っていて、ときどきチャットもしていたの。ブライアンがデヴィッド・ボウイとかイエモン(THE YELLOW MONKEY)の話をしていたこともあって、私はブライアンに対してはグラムロック的な人というイメージが強かったな。いろんな音楽が好きな中で、ちゃんと打ち込みとか自分なりのサウンドで表現しながらも、そういうロックな部分が感じられるのがすごいなあと思っていた。

左からBRIAN SHINSEKAI、松尾レミ(Vo, G / GLIM SPANKY)、亀本寛貴(G / GLIM SPANKY)。

亀本 僕もブライアンにはボウイ感があると思う。

BRIAN それはうれしいなあ。

松尾 今回の新譜もそうだけど、ロックの歴史に縛られず、ミュージカルかと思うくらいに言葉に対する精神が自由だよね。いろいろと飛び超えていると思う。

──例えば今回の一連のアー写やジャケットデザインなどはご自身もディレクションに参加しているんですか?

BRIAN 今回は基本的に自分の描いたコンセプトでやりたかったので、ほとんど自分で決めました。コンセプトを書いた文字資料やマトリクスの図を作って。自分は大体こういう位置で、こういうブランディングでやっていきたいということとか。僕はいろんなことをやりたくなっちゃうので、気を抜くとメタルとか始めかねないんで(笑)、ブレないように。そういう部分は、コンセプトは音楽ありきではなくアイデアありきで発想しているのかもしれないですね。

亀本 なんかそういう感じもちょっとボウイっぽいよね。

BRIAN ありがとう(笑)。僕は自分とグリムの音楽体験の共通項って、「ウッドストック」(Woodstock Music and Art Festival。1969年、アメリカ・ニューヨークで3日間にわたって行われたロックフェス)の頃の音楽はありつつも、2000年代に入ってからのガレージロックのリバイバルに感じるよ。例えばMGMTとか。

松尾 MGMT、めちゃくちゃ大好き! 早く活動再開してくれ!ってぐらい(笑)。

BRIAN もちろん「閃光」から進化はしているんだけど、グリムにはずっとグリムにしか出せないものが色濃くあってうらやましい。どんどんパワーアップしているけど、基本的には最初に「閃光」で聴いたときの衝撃と、最近の新曲を聴いたときの衝撃がほとんど変わらないと言うか。

松尾 それはすごくうれしい言葉だなあ。

BRIAN 僕はトラックメーカーという言葉のお陰で、いろんなトラックやアレンジに手を出して歌っても説明しやすくなったと言うか救われた部分があって。下手すると宅録オタクみたいな印象で受け取られかねないから(笑)。ロックも好きだし、ジョン・レノンがソロ作品で歌っていたようなポリティカルな表現も大好きなんだけどね。最近だとカルヴィン・ハリスがアシッドハウスからいきなりソウルフルな作品を出したけど、ああいうモードチェンジの仕方は自分にとってすごく参考になるし勇気が湧く。「俺もなんでもできるぞ」という気になれたからね。ああいう人たちがいなかったら、まだ“迷い”という名の森で彷徨っていたかもしれない(笑)。

松尾レミがBRIAN SHINSEKAIに聞きたいこと

松尾 私、ブライアンに聞きたいんだけど……私はずっと自分の周囲に、ロックの趣味が合う人がまったくいなかったの。で、今でもそうなのね。もちろん、数ある好きなバンドの中で、そりゃ10や20はかぶる人もいるんだろうけど、かなり近い人にはまだ出会ったことがないの。ブライアンはどう?

BRIAN ああ、僕もまだ1人もいないかも。

松尾レミ(Vo, G / GLIM SPANKY)

松尾 例えば、じゃあブライアンが高校生とか大学生の頃って、ロックとか好きな音楽についてしゃべる友達っていたの? 

BRIAN いなかったし、いたとしても共通項を探り出してしゃべるくらいだったと思う。仮に同じアーティストが好きでも、好きなポイントが違ったりとか。

松尾 私も。しかも意外とミュージシャンでも難しくて。むしろDJのほうが近い人に会ったりするなあ。ブライアンは出会った頃からマニアックだったから、どうしていたのかなあと思って。

BRIAN どこかの時点で語り合うことはあきらめて(笑)、自分の中でのライブラリをどんどん増設して、さらに深く潜っていたのかも。そのうえで、常に誰かとのクロスポイントを見付けると言うか、時代とのクロスポイントを見付けようと思っていた気がするなあ。

松尾 長野にいた頃、「バンドを辞めろ」ってすごく言われたの。親はなんでもOKって感じだったんだけど、田舎の村だったから“バンド=不良”みたいな図式がまだはびこっていて。親の前で「親不孝者」と言われたり、「早くバンドを辞めて村の工場に就職しろ」とか言われてね。

BRIAN そうなんだ?

松尾 私は美術系の大学に進んだんだけど、地元にそんな人はまずいなかったから「お絵描きでどうやってご飯食べていくの?」とかも言われたしね。その悔しさは、東京に行って曲を書こうというモチベーションの1つにはなったんだけどさ。ブライアンは東京の人だから、そういう経験はないでしょう?

BRIAN そういう戦いはなかったけれど、僕の場合は最近、まさに去年の11月までやっていたバンドを解散したあと、1カ月ぐらい音楽から完全に離れていた。もう音楽を辞めて、普通に生活しようかなあと思っていて。でも1カ月後に曲が出てきて、それをなんとなく最近の邦楽、それこそtofubeatsさんとか水曜日のカンパネラさんの曲と混ぜてプレイリストにして聴いたとき、かなりなじんで聴こえたんだ。そこからもう1回やってみようかなと思えた。だからそのタイミングはすごく大きかったね。

「ルーシー・キャント・ダンス」

先行配信中楽曲プレイリスト

BRIAN SHINSEKAI「Entrée」
BRIAN SHINSEKAI「Entrée」

2018年1月24日発売
Victor Entertainment / AndRec

Apple Music

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 首飾りとアースガルド
  2. TRUE/GLUE
  3. 東京ラビリンス ft. フルカワユタカ
  4. FAITH
  5. ゴヴィンダ
  6. バルバラ
  7. ルーシー・キャント・ダンス
  8. CICADA
  9. クリミアのリンゴ売り
  10. Loving the Alien
  11. 2045(Theme of SHINSEKAI)
  12. トゥナイト
BRIAN SHINSEKAI(ブライアンシンセカイ)
BRIAN SHINSEKAI
2009年、17歳のときにブライアン新世界名義で出場した「閃光ライオット」でファイナリストに。2011年に1stミニアルバム「LOW-HIGH-BOOTS」、2012年に2ndミニアルバム「NEW AGE REVOLUTION」を発売した。2013年にはバンドBryan Associates Clubを結成してライブ活動を展開。2016年11月に活動を休止したのち、2017年9月に新プロジェクトとしてBRIAN SHINSEKAIを始動させた。2018年1月にビクターエンタテインメントよりデビューアルバム「Entrée」をリリース。収録曲をアルバムの発売に先駆けてサブスクリプションサービスで順次先行配信するという試みで話題を集めている。
GLIM SPANKY(グリムスパンキー)
GLIM SPANKY
松尾レミ(Vo, G)、亀本寛貴(G)による男女2人組のロックユニット。2007年に長野県内の高校で結成。2009年にはコンテスト「閃光ライオット」で14組のファイナリストの1組に選ばれる。2014年6月に1stミニアルバム「焦燥」でメジャーデビュー。その後、スズキ「ワゴンRスティングレー」のCMに、松尾がカバーするジャニス・ジョプリンの「MOVE OVER」が使われ、松尾の歌声が大きな反響を呼ぶ。2015年7月には1stアルバム「SUNRISE JOURNEY」をリリース。10月には東京・赤坂BLITZにてワンマンライブを実施した。7月20日に2ndアルバム「Next One」を発表。収録曲「怒りをくれよ」は映画「ONE PIECE FILM GOLD」主題歌に起用された。2017年4月に3rdミニアルバム「I STAND ALONE」を、9月には3rdフルアルバム「BIZARRE CARNIVAL」をリリースした。
GLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018」
  • 2017年10月14日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2017年10月15日(日)長野県 ALECX
  • 2017年10月20日(金)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2017年10月22日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年10月28日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年11月3日(金・祝)京都府 磔磔
  • 2017年11月5日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年11月11日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2017年11月12日(日)新潟県 NEXS Niigata
  • 2017年11月17日(金)宮城県 Rensa
  • 2017年11月18日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
  • 2017年11月23日(木・祝)大阪府 なんばHatch
  • 2017年11月25日(土)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2017年11月26日(日)島根県 LIVE&STUDIO 松江B1
  • 2017年12月2日(土)高知県 X-pt.
  • 2017年12月3日(日)香川県 DIME
  • 2017年12月9日(土)静岡県 SOUND SHOWER ark
  • 2017年12月10日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2018年1月5日(金)東京都 新木場STUDIO COAST
  • 2018年1月6日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
GLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018 in Hong Kong」

2018年1月13日(土)香港 Music Zone @ E-Max

GLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018 in Taipei」

2018年1月20日(土)台湾 台北 The Wall


2018年1月24日更新