BRIAN SHINSEKAI特集 第3回|BRIAN SHINSEKAI×GLIM SPANKY 「閃光ライオット」から8年、共感し合う2組の同世代鼎談

BRIAN SHINSEKAIというプロジェクトを解き明かす特集の3回目は、彼とGLIM SPANKYとの鼎談をお届けする。両者は2009年の「閃光ライオット」の最終選考の場で出会った。この年の「閃光ライオット」は、彼らのほかにもThe SALOVERS、ズットズレテルズ、挫・人間、関取花ら名だたるアーティストが多数参加していた、言わば“当たり年”だった。そんな当時の思い出から互いの音楽観までを大いに語り合った同世代鼎談を楽しんでほしい。

取材・文 / 内田正樹 撮影 / 松木宏祐

「閃光ライオット 2009」で名言を残したブライアン新世界

──BRIAN SHINSEKAI(当時はブライアン新世界名義)とGLIM SPANKYは2009年の「閃光ライオット」で出会ったということですが。

亀本寛貴(G / GLIM SPANKY) 東京で行われた最終審査って同じ日だったんだっけ?

松尾レミ(Vo, G / GLIM SPANKY)

松尾レミ(Vo, G / GLIM SPANKY) 違うよ。確かブライアンは次の日の最後じゃなかったっけ? でさ、名言を残したんだよね。

亀本 そうそう! ステージから「(客席の)後ろのほうも盛り上がれ! サボるな!!」って言ったんだ!

BRIAN SHINSEKAI そういえば言っていた気が(笑)。

亀本 あのあと、下やん(下川リヲ / 挫・人間)とかオカモトレイジくん(OKAMOTO'S)とかがずっとネタにしていたよ(笑)。

松尾 そうそう「アイツはヤバい」って(笑)。そりゃそうだよ。 まだ「ライブも初めてです」みたいな高校生なのに、なかなかそんなセリフは吐かないよね。

BRIAN ほかに煽り方を知らなかっただけ(笑)。学校で使うようなワードしか思い浮かばなかったんだよ。自分の生活範疇の狭いボキャブラリーでもいいから、とにかく場を盛り上げなくちゃと思って(笑)。

松尾 そうだったんだ? こっちは超場慣れした都会のヤツだと思っていたよ(笑)。あのとき、確かステージにブライアンの弟という設定で“ブライオン”とかいう着ぐるみが登場したんだよね。ブライアンのライブは、着ぐるみは出るし、衣装もめちゃくちゃちゃんとしていたし、アーティスト写真もすごくしっかり撮ったヤツだった。と言うか、出場者で何もかもが一番ちゃんとしていた(笑)。音楽性もすでにもっとも確立されていたと思うよ。

亀本 そうそう。

BRIAN アー写はマイケル・ジャクソンがちゃんとした写真を撮っているのを見て、自分も撮らなきゃと思って、とりあえず安く写真が撮れるお店に行って準備した。着ぐるみはその頃にミーカがイギリスでデビューして、着ぐるみを着てライブをやっていたんで「これがポップスターだ!」というイメージで用意したんだけど、なんか一部でお笑い芸人みたいな捉えられ方をされちゃって(笑)。自分が思い描いていたのと違うイメージで受け取られるという経験も初めてだったので、そういう意味でも楽しかった。あの頃、僕はバイトも屋内に篭る系の仕事内容だったし、ぶっちゃけあまり社会との接点がなかったんです(笑)。だから「みんなこういう写真じゃないんだ!?」とか「着ぐるみとか着ないんだ!?」と、初めて自分とほかの人の違いを認識したと言うか。

亀本 そうだったんだ!? ヤバいなブライアン(笑)。

松尾 当時のGLIM SPANKYは4人編成で、長野県から出て来て本当に何もわからなかった。そんな状態であの場に立っていた私らにとって、ブライアンはすごく興味深い存在だったの。ウチらなんて、あの「閃光」の場で初めてMARSHALLのアンプを触ったというレベルだったからね。ブライアンとはまた別の意味でヤバかったと思う(笑)。

亀本 ヤバかったし、しかも下手だった。だって高校生だもん、基本みんなまだ下手だったよね(笑)。

BRIAN SHINSEKAI

BRIAN 僕は僕で、あの頃は1人で音楽を作っていたけど、本当はバンドをやってみたいと思っていた頃でもあったんだよね。で、やるとしたら、強い声のボーカルありきで、曲に太い芯があって、ギターが前に出ていて、トラディショナルなロックの要素が入っているようなバンドをやりたかったし、そういうヤツが同世代にいたらいいのになあと思っていた。だからグリムを観たときはガツーンとやられた感じだった。そのとき「ああ、もうこういうロックはこのバンドが全部引き受けてくれる。自分にはこれ以上のロックは無理だな」と思ったんだ。でも一方でソウル的な部分で近いものを感じていたから、仲良くなりたいなあと思っていたんだよね。

松尾 マジで!? 知らなかった。

GLIM SPANKYとは音楽性こそ違うけど同胞意識がある

亀本 今の話といい、やっぱりブライアンはあの頃からプロデューサー的な視点が備わっていたよね。

BRIAN でも逆に言えば「自分は何ができるんだろう?」と探している状態でもあった。だからグリムは自分にないものを確実に持っていていいなあといううらやましさもめちゃくちゃ感じていたなあ。

松尾 なんかうれしいなあ。あのときの「閃光」で親同士が挨拶して、ブライアンの実家とウチの実家は今も交流があるんだよね(笑)。

BRIAN 一度、林檎を送ってもらったりしてね(笑)。

──それにしても今思えばこの両者とThe SALOVERS、ズットズレテルズ、挫・人間、関取花など、2009年の「閃光」のファイナリストはすごい面々だったんですねえ。

亀本 確か「閃光」はウチらが出た1年前から始まったんですが、初回はねごと、Galileo Galilei、Brian the Sunが出ていたしね。

松尾 D.A.N.のメンバーがやってたバンド(MOL SCIENCE FICTION)とか、みんな仲間だったんです。あと、今SuchmosにいるYONCE(Vo)もOLD JOEで出ていたし、SHE'Sもそうですし。片平里菜さんやマイヘア(My Hair is Bad)も出ていた。

亀本 yonigeも出ていたらしいね。

──ちなみに、ブライアンとグリムで一緒に飲みに行ったことは?

松尾 何度かありますよ。「閃光」からちょっと間が空いてから初めて行ったんだよね?

亀本寛貴(G / GLIM SPANKY)

亀本 BRIANが2010年頃に新代田FEVERでライブしていて、僕らは下やんなんかと観に行って、その帰りにみんなで飲んだんだ。そのライブにはブライアンと同じ日に「閃光」の三次審査に出ていたSmoolullもいて。そこで今GLIM SPANKYのサポートベースを弾いてくれてる栗ちゃん(栗原大 / ex. Smoolull)とも知り合った。あとSmoolullのギターだったヤツが、今never young beachにいる松島皓なんですよ。

BRIAN そうだったね。グリムの2人とは同世代だから、同じ学校の同級生みたいな関係性でもあるし、音楽性は違うけど同胞意識みたいな気持ちもあって。

亀本 あるある。お互い話していて安心感があるね。

松尾 私も。地元の友達みたいな安定感があるもん(笑)。

「ルーシー・キャント・ダンス」

先行配信中楽曲プレイリスト

BRIAN SHINSEKAI「Entrée」
BRIAN SHINSEKAI「Entrée」

2018年1月24日発売
Victor Entertainment / AndRec

Apple Music

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 首飾りとアースガルド
  2. TRUE/GLUE
  3. 東京ラビリンス ft. フルカワユタカ
  4. FAITH
  5. ゴヴィンダ
  6. バルバラ
  7. ルーシー・キャント・ダンス
  8. CICADA
  9. クリミアのリンゴ売り
  10. Loving the Alien
  11. 2045(Theme of SHINSEKAI)
  12. トゥナイト
BRIAN SHINSEKAI(ブライアンシンセカイ)
BRIAN SHINSEKAI
2009年、17歳のときにブライアン新世界名義で出場した「閃光ライオット」でファイナリストに。2011年に1stミニアルバム「LOW-HIGH-BOOTS」、2012年に2ndミニアルバム「NEW AGE REVOLUTION」を発売した。2013年にはバンドBryan Associates Clubを結成してライブ活動を展開。2016年11月に活動を休止したのち、2017年9月に新プロジェクトとしてBRIAN SHINSEKAIを始動させた。2018年1月にビクターエンタテインメントよりデビューアルバム「Entrée」をリリース。収録曲をアルバムの発売に先駆けてサブスクリプションサービスで順次先行配信するという試みで話題を集めている。
GLIM SPANKY(グリムスパンキー)
GLIM SPANKY
松尾レミ(Vo, G)、亀本寛貴(G)による男女2人組のロックユニット。2007年に長野県内の高校で結成。2009年にはコンテスト「閃光ライオット」で14組のファイナリストの1組に選ばれる。2014年6月に1stミニアルバム「焦燥」でメジャーデビュー。その後、スズキ「ワゴンRスティングレー」のCMに、松尾がカバーするジャニス・ジョプリンの「MOVE OVER」が使われ、松尾の歌声が大きな反響を呼ぶ。2015年7月には1stアルバム「SUNRISE JOURNEY」をリリース。10月には東京・赤坂BLITZにてワンマンライブを実施した。7月20日に2ndアルバム「Next One」を発表。収録曲「怒りをくれよ」は映画「ONE PIECE FILM GOLD」主題歌に起用された。2017年4月に3rdミニアルバム「I STAND ALONE」を、9月には3rdフルアルバム「BIZARRE CARNIVAL」をリリースした。
GLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018」
  • 2017年10月14日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2017年10月15日(日)長野県 ALECX
  • 2017年10月20日(金)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2017年10月22日(日)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年10月28日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年11月3日(金・祝)京都府 磔磔
  • 2017年11月5日(日)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年11月11日(土)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2017年11月12日(日)新潟県 NEXS Niigata
  • 2017年11月17日(金)宮城県 Rensa
  • 2017年11月18日(土)福島県 郡山HIP SHOT JAPAN
  • 2017年11月23日(木・祝)大阪府 なんばHatch
  • 2017年11月25日(土)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2017年11月26日(日)島根県 LIVE&STUDIO 松江B1
  • 2017年12月2日(土)高知県 X-pt.
  • 2017年12月3日(日)香川県 DIME
  • 2017年12月9日(土)静岡県 SOUND SHOWER ark
  • 2017年12月10日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2018年1月5日(金)東京都 新木場STUDIO COAST
  • 2018年1月6日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
GLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018 in Hong Kong」

2018年1月13日(土)香港 Music Zone @ E-Max

GLIM SPANKY「BIZARRE CARNIVAL Tour 2017-2018 in Taipei」

2018年1月20日(土)台湾 台北 The Wall


2018年1月24日更新