ナタリー PowerPush - BRAHMAN

バンドの“今”が焼き付けられた3年半ぶり最新作「霹靂」

誤解や軋轢があるからこそ、人は人をちゃんと理解するのかな

──ライブと楽曲と生活が一体になっていってるんですね。

うん。それがもっともっと一緒になっていけばいいと思う。社会的な付き合いもそうだけど、ここだけの話みたいなものがいっぱいあるのは良くないよね。その結果が、今の社会の歪みを生んでるわけだから。

──情報操作とか言われたり……。

そうそう。でも、政治家じゃなくてもできることはいっぱいあって、自分に素直に生きるだけでも世の中は変わるんじゃないかな。恥ずかしいじゃん、愛してるぜっていうのも。でも、まず隣にいる人を大事にするだけでも世の中は変わると思うし。そういう意識の積み重ねだと思う。まあ、その前に自分が変わったと思う。自分で作り上げる“自分像”なんか必要なくて、これまで作ってもらったのが俺だから、もうどう思われてもいい。でも、今までやってきたことと同じで、今日のステージをどんだけやり切るかっていうことに命を懸けていくだけだけどね。がんばってうまくならずに(笑)。

──がんばって(笑)。

そうだよ。何回もやったら、うまくなっちゃうでしょ。やっぱりルーティンになったらダメだと思うから。

──BRAHMANのライブって、本数が本当に多いし、MCもなかったにかかわらず、ルーティンワークに見えたことって1回もないんですよね。

安定感がないからね(笑)。

──なんで悪いほうに捉えるんですか(笑)。

事実だから(笑)。だから余計に、思いを伝えるためにはどうすればいいか考えるよね。説明しちゃえば簡単だけどね。言葉って武器にもなるし足を引っ張ることもあるから。でも、誤解や軋轢があるからこそ、人は人をちゃんと理解するのかなって。

──その気持ちとも関係するのかもしれませんが、今作は全曲が日本語詞ですよね。

そこも向き合ったよ。だって、曲名が「賽の河原」だよ、ダサくね?(笑) 多分、17歳がこれを見て「買っちゃおうかなー」とは思わないでしょ?

──そうかもしれない(笑)。でも、TOSHI-LOWさんの中では、この言葉だったんですよね。

そう、そこからも逃げないということ。これで耳触りのいい別の名前に置き換えても、意味がないから。ん?って思う人がいても、曲を聴いて、ライブを観て、最終的にタイトルにじんとくればいいって話で。

──総合的に受け止めると、より今作の人間臭さも感じられる気がします。優しさも厳しさも内包している今作の歪な形は、人間そのものというか。

優しさもあれば厳しさもあるし、いいところもあれば悪いところもある。なのに、みんな断片的なところだけを見て判断するし、相手に求めるよね。だけど、自分は歪だっていうのは主張してるわけじゃん。自分は変えたくないし、文句も言うわけで。最近は特に、みんな間違いを許さないよね。突っ込みどころを探しているっていうか。だから、自分は歪だっていうことをわかるべきだとは思うよ。誰も完璧な人なんかいないんだから。

ニューシングル「霹靂」 / 2011年9月7日発売 / TOY'S FACTORY

BRAHMAN「霹靂」アルバムジャケット

  • 初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円(税込) / TFCC-89343 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 [CD] / 1200円(税込) / TFCC-89344 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 賽の河原
  2. 最終章
  3. 霹靂
DVD収録内容
  1. PV「賽の河原」
  2. LIVE「最終章」
  3. PV「霹靂」

BRAHMAN

BRAHMAN(ぶらふまん)

1995年に東京で結成された4人組ロック / パンクバンド。ハードコアと民族音楽をベースにしたサウンドを特徴とする。1996年に初めての作品として「grope our way」をリリース。1998年に発表した1stアルバム「A MAN OF THE WORLD」はトータル60万枚以上のセールスを誇り、90年代後半にひとつの社会現象になったパンクムーブメントにて絶大なる人気を集める。日本以外にもヨーロッパやアジアでもツアーを行うなどワールドワイドな活動を展開している。