テレビ朝日「EX THEATER TV」主催のバンドコンテスト「ROAD TO EX 2017」で初代チャンピオンに輝いた4人組ロックバンドBOYS END SWING GIRLが6月5日にメジャー1stフルアルバム「FOREVER YOUNG」をリリースした。
メジャーデビューを飾る初のフルアルバムには、男女のすれ違いを描いたリード曲「Goodbye My Love」やバンドの代表曲「フォーエバーヤング」の新録バージョンをはじめ、激情的なロックナンバー、ピアノにシンセ、ストリングスを用いたポップな楽曲など、色とりどりの全12曲が収められている。
音楽ナタリーではBOYS END SWING GIRLのメンバー全員にインタビューを実施。アルバム「FOREVER YOUNG」の話はもちろん、結成から現在までの道のりを聞きながら、彼らがどんなバンドであるのかに迫った。
取材・文 / 田山雄士 撮影 / 長澤紘斗
アルバム完成後は菩薩の心境
──取材を受ける機会って、まだそこまで多くない感じですか?
冨塚大地(Vo, G) そうですね。メンバー全員でのインタビューはあまりなかったし、新作について聞いていただくのはこれが初めてなんですよ。
鍔本隼(G)・白澤直人(B)・飯村昇平(Dr) よろしくお願いします!
──メジャーデビューの発表から約半年が経ちました。今はどんな心境でしょう?(参照:BOYS END SWING GIRLが来春メジャーデビュー)
冨塚 初のフルアルバムだし、一生歌っていく曲もあるだろうし、熱が入っちゃって、制作は今までで一番時間がかかったんです。でも、完成してからはすごくスッキリした気持ちでメジャーデビューに対する不安もなく、逆にワクワクしすぎることもなく、「これだけ自分たちの全部を詰め込んだ作品ができたんだから、もう何があってもいいや」みたいな菩薩の心境になっていて(笑)。「やれることはやった、あとは世界に任せるだけ」と思えているのが、なんだか心地いいんです。
白澤 僕は最近ようやく実感が湧いてきましたね。自主でやっていた期間も長かったので、メジャーデビューって縁遠いものに思えてたんですけど、ちょうど昨日アルバムから2本目のミュージックビデオ「フォーエバーヤング」が公開されて、SNSやYouTubeのコメントとかでお客さんの反応を見てると、みんな楽しみにしてくれてるんだなって。
鍔本 このアルバムはすごくいい音で録れたので、そういった意味でも心配とかはないですね。今までと違ってギターのテックさんに入ってもらったりして、レコーディング環境がよくなったのがうれしかったです。
飯村 正直なところ、不安はまだあるけど、ワクワクもあるみたいな。なんとも不思議な気持ちですね。大地が言ったように、あとはドンと構えるだけだとも思います。
──冨塚さんと白澤さんは幼なじみだそうですが、バンド結成に至るまでの話も聞かせてください。
冨塚 BOYS END SWING GIRLは高2で結成して、もう9年目なんです。小学校のときにサッカーを通じて白澤と友達になって。高校でも同じサッカー部に所属してたんですけど、僕は中学でギターを始めていて、サッカーをやりながらもこっそり家で曲を作ったりしていたんです。その曲で「バンドが組みたい!」と思ったんですよね。で、ちょうどよく僕の言うことを聞いてくれそうな白澤に声をかけたっていう(笑)。
白澤 巻き込まれました。最初は家来みたいな感じでしたよ(笑)。
冨塚 しかも「ギターをやりたい」って言ってたのに、ベースをやってもらってね。
飯村 強引だな(笑)。
冨塚 隼もそんな感じだもんね。そのあとメンバーの変遷を経て、また僕の言うことを聞いてくれそうなクラスメイトの隼を誘ったんです。
鍔本 僕なんてそのとき野球部でギターを弾いた経験もないのに、「楽器はなんでもいいからバンドやろうぜ」って感じで誘われました。冨塚から好きな音楽をひたすら薦められ、白澤にギターを教わることから始まって、今に至ります。
飯村 そんなに初心者からだったんだ!
冨塚 そうだよ。隼に「俺はロックを聴いてるぞ」みたいな感じでCDを貸しまくってたよね。いろんな人にCDを貸したけど、反応してくれたのが隼だけだったからすごくうれしかったんです。隼にギターを買わせたくて、高校の情報の授業中にサウンドハウスのサイトをめっちゃ調べてたら、先生にその画面をモニターに映し出されたこともあったな。
鍔本 「誰だ! こんなの見てるのは」って超怒られてたね(笑)。
冨塚 で、最後に入ったのが昇平。白澤が大学で出会って連れてきてくれたんですけど、昇平が加わったことで自分たちらしい音楽ができるようになってきたと思います。
──当時はどんな音楽がやりたかったんですか?
冨塚 僕らはLUNKHEADが大好きで、「LUNKHEADになろう!」と思ってバンドを組んだんです。いろいろ曲を作ったりするうちに、オリジナリティを求めるようにシフトしていった感じですね。そんなときだね、昇平がメンバーになってくれたのは。
飯村 うん。僕はFoo Fightersとか洋楽のロック色が強いものが好きで、ちょっと違うエッセンスを加えられたみたいです。3人の共通項を絞ればLUNKHEADだったけど、好きな音楽は案外バラバラでもあったりするので、結果いろんなタイプの曲ができるんですね。それがこのバンドの強みだと思います。
冨塚 すごくバランスがいいんですよ、このメンバーは。それこそ、チームメイトとサッカーをやる感じに近いというか。何かを一緒にやるのが昔から染み付いてる関係性なんですよね。
飯村 僕以外の3人は千葉県の成田市出身で高校も同じで、最初こそ距離を感じてなじめるかなというのもあったんですけど、こうして長く一緒にやれてるのは誇りに思っています。
カッコいいバンドになりたいけど、人間らしさがある
──BOYS END SWING GIRLは地元愛も強いバンドだと聞いてます。
冨塚 はい。成田って、東京に近くも遠くもない場所なんですよ。高校時代はその「上京できない感じ」が嫌だったものの、音楽を地元でやるうちにいい面がたくさん見つかったんですよね。夢を追う人たちをすごく応援してくれるし、地域のお祭りにも呼んでいただいて。そこでのライブはロックフェスみたいに盛り上がるんですよ。個人的には、都会に憧れを持ってがんばろうとしている街だと思います。その中で人とのつながりを大切にするところが、僕らの音楽にも通ずるというか。カッコいいバンドになりたいけど、人間らしさがある。そんな成田らしい部分は今後も変えずにいたいです。
──バンド名は冨塚さんが付けたんですか?
冨塚 いえ。ちょっとややこしいんですが、白澤にバンドを組もうと持ちかける前、中学のときに友達と2人で曲を作っていたことがありまして、そいつが付けてくれたんですよ。彼はのちに音楽を辞めてしまったけど、MTRを買って家でいろいろ音を入れてみたりしてた時間が僕はすごく楽しかったから、せめてバンド名だけはずっと使おうと思って。これはメンバーにもマネージャーにも今まで言ってなかったね。
飯村 知らなかったわー!
白澤 冨塚が考えたとばかり思ってた。そこに俺が入る形で一時期は3人でやってたこともあったもんね。
冨塚 メジャーデビューできたら言おうと思っててさ。やっぱり心境の変化というか。何を話しても大丈夫だし、どんどん伝えていこうって気持ちになってるのかも。
飯村 バンド名の由来も諸説ある感じだから、本当のところはわかってなかったりするんです(笑)。
冨塚 「BOYS」と「GIRL」が付くバンドは全部カッコいいと思ってたんですよね、当時。銀杏BOYZやNUMBER GIRLがめっちゃ好きだったし、どっちも入れちゃおうみたいな。でも、「BOYS & GIRL」だとありきたりだから「END」にしようとか。「SWING」はその友達が映画の「スウィングガールズ」を観たって話をしてたので、そこから取ったんじゃないかな。
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自分とバンドを救ってくれた曲
- BOYS END SWING GIRL
「FOREVER YOUNG」 - 2019年6月5日発売 / Imperial Records
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[CD] 2800円
TECI-1644
- 収録曲
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- フォーエバーヤング
- Goodbye My Love
- 縋 -sugare-
- Boo!! Let it go!!
- 毛布の中で抱き合って
- Wonder Light
- クライベイビー
- ストライド
- MORNING SUN
- リベラル・セブンティーン
- ナニモノ
- Alright!! ~令和若者讃歌~
- BOYS END SWING GIRL
(ボーイズエンドスウィングガール) - 千葉県成田市の小学校に通っていた冨塚大地(Vo, G)と白澤直人(B)の幼なじみ2人を中心に2010年に結成されたバンド。2012年に鍔本隼(G)、翌2013年に飯村昇平(Dr)が加入し、現体制となる。10代の頃から「RO69JACK」「HOTLINE」など数々のバンドコンテストで入賞し、2016年9月に自主レーベル「NazcaRecords」から1stミニアルバム「KEEP ON ROLLING」をリリース。2017年には88Music、Village Again associationと契約し、ミニアルバム「TRANCE」「CLOCK」を発売した。また同年テレビ朝日「EXシアターTV」で放送されたコンテスト企画「ROAD TO EX 2017」にて優勝し、初代チャンピオンの座に輝く。2019年6月にImperial Recordsからメジャーデビューアルバム「FOREVER YOUNG」をリリースした。