音楽ナタリー PowerPush -BLUE ENCOUNT
“永遠のルーキー” 満を持してメジャーへ
2014年2月にリリースしたフルアルバム「BAND OF DESTINATION」がスマッシュヒットを記録。6月に行われた全国ツアーは各地でソールドアウトとなり、夏フェスでも厚い支持を得ているBLUE ENCOUNTが、ついにメジャーシーンに進出する。メジャーデビュー作となる「TIMELESS ROOKIE」には結成10年目にして迎えたターニングポイントに対するメンバー4人の強い思いが反映されている。また、“次世代型エモロック”と称されるスタイルを大きく進化させた音楽性にも注目が集まりそうだ。
今回ナタリーではメンバー全員にインタビュー。「TIMELESS ROOKIE」の制作、メジャーデビューに対する思いなどを奔放に語ってもらった。
取材・文 / 森朋之
いろんなジャンルのバンドとやることで自分たちのハートも強くなってる
──アルバム「BAND OF DESTINATION」のリリース以降、急激に知名度が上がりましたよね。
辻村勇太(B) 自分たちは全然実感がないんですけどね(笑)。「そんなに変わったかな?」っていうくらいで。
田邊駿一(Vo, G) この前、九州のフェスに出させてもらったとき、中学のときの友達からいきなり連絡がありましたけどね。「湘南乃風と対バンって、すげえな」って(笑)。
江口雄也(G) 対バンではないけどね(笑)。
田邊 あとライブの反応は少しずつ変わってきました。
江口 うん。曲を知ってくれてる人が明らかに増えたので。
──ライブのサウンドもさらにパワーアップしてますからね。
辻村 機材もいろいろと増やしてるんですよ。以前は「こういう音が出したい」と思っても、やり方がわからないこともあったんです。今はツアーに関わってくれる人も増えて、いろいろ話していく中で「なるほど、そうすればいいのか」ということも多くて。
田邊 身銭を切ってますからね。アンプを36カ月ローンで買ったり。
江口 生々しいな(笑)。でも、音作りに対する意識は高まってきてますね。それに伴って機材も増えてきて。
田邊 たぶん、ライブにおけるBLUE ENCOUNTのスタイルが確立してきたんでしょうね。以前はエモ寄りにしようと思っていたところもあるけど、今はそこから逸脱した音作りになっているので。
江口 今年のワンマンツアーから、同じPAさんと一緒に回ってるんですよ、全会場。自然と「どういう音にしたいか」という話もできるようになってきて。
田邊 対バンのライブもそれぞれ刺激があったし、横のつながりも増えてきて。いろんなジャンルのバンドとやることで、自分たちのハートも強くなってると思うんですよね。本当に成長させてもらえる場所だと思います、ライブは。
メジャーは諦めてた
──そして9月には満を持してメジャーデビューも果たします。皆さんの今の心境はいかがですか?
田邊 もちろんとてつもなくありがたいことだと思ってます。僕ら、21歳くらいの頃にメジャーに行けそうなタイミングがあったんですよね、実は。そのときは想像してた通りのメジャーの感じというか、「今日のうちに何曲か書いて」とか、ホテルに缶詰めにされて歌詞を書いたりしていて。
──“メジャーってこういうものなんだな”と思ってた、と。
田邊 そうです。でも、だんだん自分のキャパシティを超えてきて、タイアップが決まりそうというタイミングでお断りしたんですよ。で、以前から知ってたインディーズレーベルの方と話をして、1stミニアルバムの「the beginning of the beginning」を出させてもらって。そこが始まりだったんですよね、BLUE ENCOUNTは。
高村佳秀(Dr) うん。
田邊 そのとき「この先、人気が出たとしても、メジャーデビューとかはないだろうな」と思ったんです。お断りしたっていうことも“噂は千里を駆け巡るだろうな”と思ってたし……。
江口 「あいつら、断ってきやがった」って。
田邊 まあ、そもそも無名だったから、何もなかったんですけどね。
辻村 結果的にはね(笑)。
田邊 それからいろんな苦労をして、がんばってきて。2年前に今の事務所の人と知り合ったんですけど、そこからはすごいことの連続だったんですよ。去年の1月に渋谷O-Crestのワンマンで初めてチケットを売り切って、夏にはサマーソニックに出て、いろんなフェスに呼んでもらえるようになって。そういう経験の中で「やべ、もっといい景色が見たい」って思い始めたんですよね、4人共通して。で、「もし可能性があるんだったら、メジャーの世界に飛び込んでみたい」って思うようになって。それからメジャーのレコード会社の方ともお会いするようになったんですけど、ビックリするくらいライブについて熱い人がたくさんいらっしゃったんですよ。「あれ? 自分が思っていたのと違う」っていう。
江口 メジャーに対してはヘンなイメージを持ってたからね、こっちが(笑)。
田邊 それでも「いや、俺は信じない」って思ってましたけどね、最初は。「俺はわかってるんだぞ。その仮面をいつ外すんだ?」って。
──どんなトラウマですか(笑)。
田邊 (笑)。でも、事務所のスタッフさんは自分たちの傷も知ってくれてるし、話していく中で、少しずつ気持ちも軽くなってきて。メジャーのチャンスがあるからと言って、ヘンに喜んだりしないで、「このタイミングだからこそ、しっかりしなくちゃいけない」と思えたというか。あと、本当に好きなレーベルだったんですよ、キューンミュージックって。
江口 憧れのバンドがたくさん所属してますからね。
田邊 高校のとき、ドラム(高村)と初めて組んだバンドで文化祭に出たんですけど、1曲目がL'Arc-en-Cielさんだったんです。
高村 「Driver's High」ですね。
田邊 そのあとアジカンさんにハマって、「チャットモンチー、ヤバい」ってなって。
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- メジャーデビュー作「TIMELESS ROOKIE」/ 2014年9月10日発売 / Ki/oon Music
- 「TIMELESS ROOKIE」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1750円 / KSCL-2460~1
- 通常盤 [CD] 1458円 / KSCL-2462
CD収録曲
- MEMENTO
- ロストジンクス
- NEVER ENDING STORY
- AWESOME
初回限定盤DVD収録内容
- NEVER ENDING STORY
- アンバランス
- HANDS
ツアー情報
TOUR2014 ROOKIE'S HIGH
- 2014年11月15日(土)宮城県 HooK SENDAI
- 2014年11月21日(金)広島県 CAVE-BE
- 2014年11月23日(日・祝)香川県 DIME
- 2014年11月28日(金)福岡県 DRUM Be-1
- 2014年12月6日(土)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2014年12月7日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
- 2014年12月13日(土)東京都 TSUTAYA O-EAST
BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)
田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年、3人の進学先である都内の音楽専門 学校で辻村と出会い現体制となる。2010年の1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリース。「HALO EFFECT」収録の「HALO」がYouTubeで120万回以上再生されるなど、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」、MY FIRST STORY、SWANKY DANK、AIR SWELLとのスプリットアルバム「BONEDS」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演ともソールドアウトさせている。またその一方で同8月の「SUMMER SONIC 2013」や、12月の「COUNT DOWN JAPAN 13/14」「GT2014」と大型フェスにも立て続けに出演。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」をリリースした。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。